令和4年度

校長より

感受性

作家の独創性から生み出される漫画。随分以前になりますが、その生みの親の一人である漫画家はらたいらさんは、「創造的で面白い生活を送るためには、心の中の受信機、つまり、ものの感じ方や捉え方を磨き、この世界に飛び交っている見えない電波を心でキャッチすることが肝心」と話されていました。生徒の皆さんの周囲には、電波を発する存在として保護者の方や先生方がいます。その電波を是非キャッチしてほしいのです。学問的な面で、人間性の面でその電波をしっかりと捉え、自らの受信機に収めてほしいと思います。

10月8日(金) 川俣高等学校長

偶然の発見、必然の発見

ペニシリンは、イギリスの細菌学者アレキサンダー・フレミングによって発見されました。ブドウ状球菌を培養していた皿の一つに青カビが生え、その周りのブドウ状球菌を溶かしているのを偶然目にしたことによるものでした。こうした偶然を見逃すことなく発見できた背景には、フレミングの日頃からの意識の高さがある、とも考えられます。観察の領域においては、偶然は予め備えた人にしか幸いしない、と言われます。生徒の皆さんも、周囲に目を配り、気を配り生活することにより、何らかの新たな発見ができるかもしれません。自らの努力により発見した事象は、たとえそれが小さなことであったとしても、うれしいものです。

10月7日(木) 川俣高等学校長

他者の喜び、自分の喜び

受験など進路目標達成に向けた取組は、よく団体戦と言われます。不安を感じる友人を励まし、時に心の支えとなるなど、皆の力で環境作りに努めることからそう言われます。団体で取り組む意義は他にもあります。他者の喜びの中に、自分の喜びも見出すことができます。お互いの強い信頼関係の下、全員の進路目標達成を図ることができたとき、このクラスでよかったな、この学校でよかったな、と心から思えるし、また、そう思えたら最高の幸せです。

10月6日(水) 川俣高等学校長

情報判断

情報化社会の現在、資料として表やグラフが多用されます。その際に、気をつけてほしいことがあります。調査対象となった母数はどのくらいあるのか、または、表やグラフの目盛りや単位はどの程度なのか、等のことについても、是非確認してほしいのです。ほんの数十件の調査対象であったとしても、パーセント表記をすることで、あたかも世の中全体がそうなっているかのように見せることもできます。私たちに求められること、それは情報の正確な判断力です。

10月5日(火) 川俣高等学校長

悩むか、それとも考えるか

社会人になると、新たな企画等を求められるケースがあります。でも、何日かけても良いアイディアが浮かばない、ということもあります。どうしてでしょうか。様々な要因の中で一つあげられるのは、ただ悩んでいるからです。悩みとは、解決策が見つからず、自分の持つ情報や付随して生じる感情が頭の中でぐるぐると回っているだけ、ただ現状に困っていることを指します。一方で、考えることにより打開策は生まれます。この行為は、まず考える対象となる課題があり、それに対する分析や解釈、検証というプロセスを踏みながら行われます。まさに、適切に頭を働かせる活動なのです。今月に行われる本校の校内文化祭企画に係り、生徒の皆さんは、何にしたらよいのか、ただ悩んではいませんか。

10月1日(金) 川俣高等学校長

ひらめきは思いつきか

特に芸術分野など、創造的な活動に取り組まれると、よく「ひらめき」を感じる方がいらっしゃいます。そうした体験ができる人は特別な存在だからでしょうか。いや、少し異なるようです。ひらめく力には、過去の知識や経験の蓄積による判断が必要とされます。こうした過去の知識や経験が多ければ多いほど、頭の中に多くの「引き出し」が作られます。さらに多くの知識や経験をとおして、「ひらめき」の輝きが増します。取り組まねばならない目の前にある事柄とは、一見すると無関係にも思える「引き出し」をいくつも開けて、掛け合わせることでユニークな発想が生まれる、これこそが「ひらめき」です。頭の中に少しでも多くの「引き出し」を作成できるよう、知識を増やし、経験を積んでみませんか。

9月30日(木) 川俣高等学校長

運 命

人の性格は様々な要因により、その多くを幼少期に規定づけられるとされています。でも、心がけにより、何歳になっても変えることもできます。では、どういったことを心がける必要があるのか。このことについて、マザー・テレサは次のように述べています。「思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。」

9月29日(水) 川俣高等学校長

情報の持つ複数の顔

2012年5月の金環日食を伝える新聞には、その見出しに大きな違いが見られました。全国紙では、「金環日食 列島興奮 932年ぶり広域観測」とありましたが、ある地方紙では、「282年ぶり 金環日食観測」とされていました。すでにお気づきのように、全国紙では、東北から九州までの広範囲で観測されたのは平安時代以来932年ぶり、と伝えている一方で、その地方においては、その地方での観測という観点から報道がなされるために、年数も異なるなど、表現に差が生じることとなります。同じ現象を取り上げるにしても、焦点の当て方により、伝わる内容も印象も大きく異なります。1つの情報には複数の顔がある、と念頭に置く必要があります。

9月28日(火) 川俣高等学校長

国語力

生徒の皆さんは、川俣高等学校において様々な教科や科目の学習に取り組んでいます。その中で、国語に求められる力とは何でしょうか。日本語を読み、書き、そして話す。皆さんはいずれもできると思います。これを少しだけ掘り下げて考えれば、3つの学びの視点が見えてきます。第1に、把握する力です。情報を収集し整理する力のことです。第2に、思考する力です。収集した情報を基にして考える力です。そして第3に、伝達する力です。前述した第1及び第2の取組をとおして、適切に表現する力です。大学入試はもちろん、灘中や開成中、筑波大附属駒場中といった中学入試にも、この傾向が見て取れます。こうした力の伸長は、ちょっとした心がけで実践が可能です。たとえば、第1と第2を強く意識しながら読書をして、まだ本を読んでいない友人に、その内容の伝達を試みてください。そして、友人がその本を読み終わったときに、事前に伝達された通りの内容であったかどうか、確認し合ってみてください。知識を得ながら、国語力の向上と深化を図ることができます。

9月27日(月) 川俣高等学校長

確信を高める

生徒の皆さんは、自信がないから取り組んでいることをやめる、といった決定をしたことはありませんか。これは、あまりにももったいない話です。自信がなければ、たとえば本を読むなどして確信を高めればよいのです。今はうまく成果が出ていなくても、自らの取組に間違いはない、という確信さえあれば、何でもやり続けることができます。学びの継続を図り、一層成長することができます。

9月24日(金) 川俣高等学校長

学びの継続

以前、自分が高校生だった頃に、ある分野の学習が終わりに近づくと、心の中に、小さなさざ波が立ったことを記憶しています。それは、理解した分野を離れ、未知なる次の分野に飛び込むことへの不安だった、今ではそう思っています。学べば学ぶほど、自分の知らない範囲が広がっていく。でも、こうした気づきは、次なる学びの意欲を高めることにもなります。大切なのは、知りたいという意識を持ちながら、そして、その意識を忘れることなく常に念頭に置き、学び続けること、と理解しています。生徒の皆さんの中で同じような経験があるのであれば、是非伝えたいことがあります。決して知的好奇心を失ってはいけない、と。

9月22日(水) 川俣高等学校長

気づき

学びをとおして、わからないことには直面したくはないかもしれません。知的探求心も萎えます。でも、物事には必ず見えない面が存在します。これこそが重要なのです。真実の発見よりもむしろ、見えない面、言い換えれば、自分にはわからないことがある、ということへの気づきです。

9月21日(火) 川俣高等学校長

自分を信じる

生徒の皆さんは自分に自信を持ち、日々過ごしていますか。周囲には、確かに不安を感じる要素があります。でも、その不安を払拭できるくらいの大きな力が、人には備わっているのです。哲学者ニーチェは次のように述べています。「残念ながら、多くの人は知らなすぎる。自分に溢れるほどの豊かな才能があることを。何にだってなれる。何だってできる。言葉のあやではなく、全くそのとおりの意味で、現実として。」

9月16日(木) 川俣高等学校長

登校指導

今週は月曜日から金曜日まで、全教職員による登校指導を実施しております。良き表情で登校する生徒の皆さんから、教職員が元気をもらっています。本日の充実した教育活動を期待し、心からの声かけを行っています。

9月15日(水) 川俣高等学校長

進 歩

生徒の皆さんは、今の自分が最高値と思っていませんか。「自分なりに努力している。これ以上は無理」と思ったら、他にがんばれる余地は本当にないのか、自己検証を試みてください。加えて、保護者の方や先生方に、今の自分の在り方について聞いてみてください。人類の進歩はそのほとんどを、不可能を受け入れることのなかった人々により達成されています。

9月14日(火) 川俣高等学校長

幸をつかむ

生徒の皆さんは、人が満足いく人生を歩むために必要なこと、それは何だと思いますか。目の前にある学校での学びで精一杯、まだ、そうしたことを考えるまでの時間はないかもしれません。でも、意外に身近なことで、その達成を図ることができます。諸説あるとは思いますが、夢、理想、信念、計画、そして実行もその一つです。渋沢栄一氏は次のように述べています。「夢なき者は理想なし。理想なき者は信念なし。信念なき者は計画なし。計画なき者は実行なし。実行なき者は成果なし。成果なき者は幸福なし。ゆえに、幸福を求むる者は夢なかるべからず。」

9月13日(月) 川俣高等学校長

不可能の壁

3年生の皆さんにとっては、就職や進学など自らの進路を決める大切な時期となりました。面接・筆記を問わず、試験に臨む際に不安を感じない人はいません。でも、自分の人生を決めるのは皆さんです。もしも、自分で作り上げてしまった不可能という壁があるとしたら、それを乗り越えることができるのも、やはり皆さん自身です。すべての力が、皆さん自身の中にあります。

9月10日(金) 川俣高等学校長

授業風景(政治経済編)

2年生を対象とした政治経済の授業におじゃましました。今回は、日本経済の課題、及び、それに係る政府の対応についての学びでした。本校は各教室にプロジェクタが完備されていることから、先生方は自分のパソコンを教室に持ち込むことで、ICT機器を活用した授業を即座に展開できます。生徒の皆さんは、教科書や資料集、そしてスクリーンに映し出される内容をとおして知識の定着を図ります。加えて、授業中に配布された確認プリント(本授業では2枚)に必要事項を書き込むことにより、知識の一層の深化を図ります。

 

板書とプロジェクタを併用した

授業スタイルにより授業展開を行います。

 

 

 

 

板書部分のみを映してみました。

 

 

 

生徒の皆さんは先生の話を

熱心に聞いています。

 

 

 

プロジェクタをとおして

授業内容が映し出されます。

 

 

9月9日(木) 川俣高等学校長

与えられた道

生徒の皆さん一人ひとりに、与えられた道があります。尊い道です。他の人には歩むことのできない、自分だけしか歩むことのできない、そして、二度と歩むことのできない、かけがえのない道です。川俣高等学校における学びもまた、この道の上にあります。人生から見るとたった3年間、でも、とても貴重な3年間。本校は、皆さんの学びを全力で支援します。

9月8日(水) 川俣高等学校

誰かのため

山登りをする方に聞いたことがあります。山を登る途中で一歩も歩けないほど疲れているときにすること、それが、もっと苦しそうにしている誰かの荷物を持ってあげること、なのだそうです。自分のためなら出せない力が、誰かのためなら自然にわいてくるのだそうです。やらなくてはならないことをせずにいても、表面上は何事もなく過ぎた経験があるとしたら、それは、他の誰かが、密かに汗を流してカバーしてくれたおかげなのかもしれません。私たちは、誰かのためにいつかは自分が汗を流す、その思いを忘れてはいけないようです。

9月7日(火) 川俣高等学校長

現実の真実

渋滞に入るとイライラするものです。その原因について、多くの人は、2車線の道路が1車線に絞られるなどしたことによるもの、と考えます。確かにこれは、ボトルネックといって、渋滞を引き起こす一つの要因ではありますが、多くに当てはまる理由は別にあります。たとえば、誰もいない歩道を一人で歩いていれば問題はありませんが、多くの人が近い距離で並んで歩いていれば、何となく歩きづらくなり、そのスピードも落ちます。車も同じです。道路が狭くなるわけでもなく、先で工事をしているわけでもないのに、車の台数が増えて車間距離が短くなると渋滞に陥るのです。多くの車が走っている中を、早く目的地に着くためにスピードを上げて車を運転すると、前の車との距離が狭まりブレーキを踏むことになります。この1台から生じたブレーキの波が雪崩のように後ろの車にも影響を及ぼしていく、これが自然渋滞と呼ばれる現象の原理と言われています。複数の条件にもよりますが、結果として、ゆっくりとしたスピードで車間距離を取りながら走る方が早く着くこともあるのです。東京大学大学院教授西成活裕氏が、この渋滞学について研究されています。現実を成り立たせる真実は、思わぬ要因の場合もあるんですね。

9月6日(月) 川俣高等学校長

ゾーン

スポーツ心理学にゾーンという概念があります。自分でも信じられないような最高のパフォーマンスを発揮できる、突然訪れる瞬間のことです。アメリカの心理学者チャールズ・ガーフィールド氏によれば、ゾーンに入ると、やる気や情熱という心的エネルギーが非常に高まり、精神的にはリラックスしているにもかかわらず感覚は常に肯定的、意識は今に集中するのだそうです。生徒の皆さんは、こうしたゾーンを呼び込む体験をしたことはありますか。

9月3日(金) 川俣高等学校長

極める

生徒の皆さんは、「一を聞いて一を知る」のは当然のこと、「一を聞いて十を知る」ようになろうと指導を受けた経験があると思います。でも、心がけ次第では、一を極めることで十を知ることにもつながります。つまり、「一の中に十を知る」ようにもなれるのです。

9月2日(木) 川俣高等学校長

図式化

人の左脳は論理をつかさどり、右脳は視覚など五感をつかさどります。物事を論理的に考えることは大切ですが、人はすべて、それだけで動くわけでもありません。理解を深める際には、論理に加えて視覚なども必要とします。生徒の皆さんも、説明を受けて何か腑に落ちないときには、自らの手で図式化すること、言い換えればビジュアル化することをお勧めします。

9月1日(水) 川俣高等学校長

ノイズ

スマホやパソコンによりインターネットを活用し、自分の興味のある分野について調べることが容易にできる時代となりました。ある特定分野の深化を図りやすくなった、とも言えます。一方で、専門分野以外のことで意見交換をするなど、興味・関心や知識の幅が問われる場面も以前として多くあります。その対応を可能にしてくれるもの、その一つが新聞です。新聞を広げると、自分の興味を持つ分野だけではなく、他分野の記事も同時に目に飛び込んできます。思いがけなく目にした記事が、自分の興味・関心の範囲を広げるきっかけになることもあります。ちなみに、勝手に入ってくる情報、このことをノイズといいます。

8月31日(火) 川俣高等学校長

国語力の向上

国語力の向上、これはコミュニケーション能力の向上にも結び付く大切な要素です。しかし、どうやってその向上を図るのかは難しく、一朝一夕ではいきません。それでも、ちょっとだけ意識を持てば、改善する余地はあります。たとえば、小学生の書く作文には、「今日は遠足に行きました。お花がきれいでした。楽しかったです。」といった風の文章をよく目にします。一見すると何の問題もなさそうにも思えるこの文章ですが、どこに手を入れるとよいのか。「今日はいつ?どこに遠足に行ったのか?どんな花が咲いていたのか?なぜ花をきれいと感じたのか?以前に見た何の花と比較してきれいなのか?どう楽しかったのか?」こうした要素を文中に入れ込むだけでも、遠足に参加していない人に伝わる情報は格段に増します。私たちは話す際にも、そして書く際にも、漠然とした印象を優先してしまうことが多くあります。正確な事実の伝達を心がけ、論理を組み立てながら話したり書いたりすることをとおして、日々国語力の向上を目指しませんか。

8月30日(月) 川俣高等学校長

人として

私たちは、人という一種族メンバーであることから逃れることはできません。また、物心つく頃には、多かれ少なかれ、家庭・社会環境などをとおして得たことにより、精神形成上の刻印づけがなされている、とも言われています。であるならば、私たちが人としてあるためにも、ラッセルのいう人類史のうち、解決されたとされる第一段階の「人と自然との闘いの時代」を顧みるとともに、第二段階の「人と人との関係の時代」、そして第三段階である「人が自分自身とどう向き合いかが問われる時代」の在り方について、真剣に考える時期にさしかかっているのかもしれません。

8月27日(金) 川俣高等学校長

タフでグローバルであれ

本校では8月24日(火)に始業式を行いました。その際に、生徒の皆さんに話した内容を紹介いたします。

生徒の皆さんに、「よりタフで、よりグローバルであれ」ということを求めたいと思います。はじめに、「よりタフ」であることについてお話をします。これは、知識を身に付けることに加え、社会で確実に通用する力を鍛え上げること、つまり、社会的なコミュニケーションの場におけるたくましさを意味します。生きる環境や言葉の違いを越えて、知識を人に伝え、一方で知識を受け取り、互いに論じ合うことのできる力を備えることは重要です。併せて、自分が正しいと思う道を突き進むこと、失敗に挫折することなく繰り返しチャレンジを続けていくこと、慣れない環境においても生き抜くこと、そして、自分自身の内面にある精神的な弱さを克服しようと努力すること、これらのタフさを備えることは一層大切なことです。その本質は、自分の能力を精一杯使うことで、物事に正面から向き合い乗り越えようとする姿勢、そして、それを維持していく姿勢にあると考えます。生活をしていく上では、計算や予測の不可能な事柄、不合理で理不尽に思える事柄など、数え切れないほどの課題や困難に遭遇します。そうした課題等に臆することなく、新しい道や解決法、新しい仕組みや生き方、そして新しいものの見方を見出すために、力の限りを尽くすことを厭わないこと、これこそタフである証です。タフな精神は多様な経験の中で培われます。人は、自分とは異なる知識や価値、生き方に出会うことで衝撃を受け、それをもとに成長します。異なるものに刺激を受けて、それを受け入れることもあれば、反発することもあります。反発するときにおいても、自分という存在を再確認できるので、そこから成長の芽が育ちます。次に、「よりグローバル」であるということについてお話をします。これは、国境なき時代に対応できる存在たれ、ということを意味します。専門知識や語学力を駆使して世界を飛び回り、活躍することも重要ですが、それ以上に、国際社会に目を向け、自分がこれまで生きてきた世界とは異なる考え方や異なる行動様式、価値観と触れ合い、刺激を受けるよう心がけることで、自分を成長させていくこともまた重要です。この点において、多様性に満ちたタフさを育むという先ほどの内容とも重なります。私たちはそのほとんどを、家庭や職場、学校など、限られた地域で生活しています。しかし、世界の動きは、予期せぬときに予期せぬ場面で、私たちの生活にも影響をもたらします。特に今日、あらゆる意味においてグローバル化が進み、国境という壁がますます低くなっていることを考慮すれば、単に1つの国、1つの地域という枠の中だけではなく、国境を越えた新しい協調の仕組み、新しい国際社会の秩序や文化、そこに生きる人の人生のスタイルや価値観を理解する能力を持つことが私たちに求められています。一方で、1つの地域の出来事が国際社会に大きな影響を与えることもあり得ます。生徒の皆さんには、地域貢献が国際社会への貢献にもつながる、という意識を持つとともに、次世代を担う中心的な存在になることを期待しています。

8月26日(木) 川俣高等学校長

優しさ

人生をとおして、常に勝者ではあり得ません。一方で、敗者になって、初めて知ることは多くあります。明るい場所から暗い場所を見るのは難しいことですが、暗い場所からなら、明るい場所も暗い場所も見ることができ、そして、広い視野も、また、それぞれの立場を理解する優しさも身に付きます。優しさについて作家である太宰治氏は、「その字のとおり、人の憂いを知る心」と述べています。

8月25日(水) 川俣高等学校長

今を生きる

昨日の24時間は過ぎ去っていて、もう戻ってはきません。明日の24時間は、まだ手にしてはいません。生徒の皆さんの手元にあるのは、今日の24時間です。この24時間をどう使うのか。例えるならば、今日を振り返ったときに手にした収支決算が、皆さんの努力の証です。さあ、本日より2学期の始まりです。

8月24日(火) 川俣高等学校長

目的のすり替わり

以前、ある大学で、ビーカーに残った過塩素酸を爆発させる事故が起こりました。本来であれば、専門業者をとおして焼却処分をするところ、処理費を惜しみ、廃液の入った容器のフタを開けて蒸発させ、廃液自体の容積を減らすなどしたことによるものであったそうです。そうすることで、たまたま、過去に複数回うまくいったことから、こうした行為が常習化したことによる事故でした。そもそも、目的は薬品を安全に処理することにあったはずですが、いつのまにか、薬品を完全に蒸発させることが目的となってしまっていたようです。こうした目的のすり替わりは、あまりよい結果を導くことはありません。たとえば、商品開発は世の中の役に立つことを目的とすべきところですが、商品がヒットすると、その商品を作り続けることが目的となってしまうケースも同じです。こうした目先の結果のみを追おうとする傾向は、柔軟な変化に対応できなくなる、という大きな欠陥をもたらすことにもなります。

8月23日(月) 川俣高等学校長

人 生

輝く20代を過ごそうとしたら、10代の積み重ねにより、そうなります。充実した30代は、20代で何をするかにかかっています。40代のために、30代で足りないと思われることを補充することも重要です。ただ待っていて、何かが起きる可能性は少なそうですね。

8月20日(金) 川俣高等学校長

失敗から学ぶ

生徒の皆さんは常に、失敗したらどうしよう、と思いながら何かに取り組んでいませんか。確かに、失敗した自分の姿を誰かに見られるのは格好いいものではないかもしれません。でも、創業時からずっと、すべてがうまくいっている会社はそうありません。ビジネスにピンチは訪れます。そのときに、知恵を出し合いながらチャンスに変えている、そうした会社もまた数多くあるのです。皆さんは、失敗しても悩まないでほしいのです。失敗とは、「こうやったらうまくいかない」ことを知る、最大のチャンスです。いっぱい失敗して転んだとしても、いっぱい立ち上がればいいのです。そもそも失敗は、何かに取り組んでいるからこそ生じます。むしろ、何事にも取り組まずに傍観する、ノープレー・ノーエラーこそ、意味のないことと思います。

8月19日(木) 川俣高等学校長

小志を抱け

遠くに目標設定をしてテキパキと歩みを進めることは大切です。一方で、近くの目標に向けて、自分の足元を注意深く見ながら歩くと、沿道に咲く小さな花や、どこからともなく流れてくる音楽、また、道のくぼみに満ちた、昨夜の雨に映る青空の美しさに気づくかもしれません。それは、大志を抱いて取り組むことと同様に、小志を抱きながらも着実に物事をこなしていく、この大切さに重なることかもしれません。

8月18日(水) 川俣高等学校長

継 続

生徒の皆さんは、初志貫徹の大切さについて、保護者の方から、また、先生方から多く聞いていることと思います。当初、興味を持って取り組んだことを、途中から何らかの理由により止めてしまう、このことを私がもったいないと感じるのは、少しでも興味を持ったことは、皆さんにとって間違いなく必要であった要素、その可能性が高い、ということなのです。その要素を身に着けることにより、皆さんが一層、スキルアップを図ることができたはずなのです。詩経にも、初志貫徹と同様の意味を持つ、「始めあらざるなし、克(よ)く終りある鮮(すくな)し」という表現があります。これまでに興味を持ったことを思い出してみませんか。そして、前回歩みを止めた場所から、再度歩き出してみませんか。今回、また途中で止めてもいいのです。次回にそこから始めて、最終的に全うすればよいのですから。皆さんには、十分すぎるくらいの時間があります。

8月17日(火) 川俣高等学校長

苦 労

生徒の皆さん、「なぜ自分だけうまくいかないのだろう」と感じた瞬間はありませんか。周囲は容易にできていることを、自分は四苦八苦しながら結局はできない。こうした苦労、これは、どこにでも落ちています。誰にでも落ちてきます。苦労の伴わない人生なんてない、こう考えれば、人という存在は、少しだけ悲しいけれど、でも、とても興味深いですね。道を歩いている人が皆、独自の苦労を携えている。そして、その苦労に立ち向かっている。いわば、人は、人生のドラマを持ち歩いているわけです。人は、一人ひとりが長い人生の主役なんです。

8月12日(木) 川俣高等学校長

自分の存在

以前に、落語家の三遊亭円楽さんが述べていたことを紹介します。

「父は折に触れ、私にこんなことを言っていました。機嫌のいいときには愚痴をこぼすな。言い訳は、自分を正当化するための心の弱さを世間中に言いふらすようなもの、ひがみは進歩の妨げだ。毀誉褒貶(きよほうへん)は世の常、人の評価は時が経ってからわかるもの。どうせなら大木になりな。風当たりは強いが、多くの人が雨宿りもでき、憩いの場所にもなる。」

8月12日(木) 川俣高等学校長

一日即ち一生

生徒の皆さんは、自ら立てた計画の下、夏季休業を過ごしていますか。本校は昨日8月11日より、3日間の学校閉庁日に入っています。でも、登校する、しないに関わることなく、その日を一生懸命に生きる、こうした取組の継続が大切であることは言うまでもありません。作家の城山三郎さんは、かつて次のように述べています。「僕は一日即(すなわ)ち一生、という言葉が好きです。毎日を一生の思いで生きる。今日一日が楽しかったか、もしも楽しくはなくても深く生きたか、それが大切なのではないでしょうか。人生は、思い出の総量ですからね。」

8月12日(木) 川俣高等学校長

じゅうたん

生徒の皆さんは、まだそうした年齢には達してはいませんが、ある程度年を重ねると、これまでの人生を顧みる機会が増えます。「あのときに、こうしておけばよかった。」という反省ばかりではなく、「あのときはうまくいった。」という経験など、様々なことが思い起こされます。そういえば、人生はその過程で、自分の体験や経験を織り込みながら作成されていくことから、まさに、自分自身のじゅうたん作りにもたとえることができます。経験や体験の中には、自分にとって厳しいものも含まれると思います。でも、じゅうたんは、人に踏まれて美しくもなります。

8月10日(火) 川俣高等学校長

「でも」か「では」か

生徒の皆さんは、夏季休業に入る際に立てた計画の下、目標達成に向けた歩みを進めているでしょうか。

さて、後に、今の自分よりもスキルアップを図ることができるかどうかは、「でも」か「では」かの違いである、と考えています。「今からでもできる」と思えば、進歩が見えます。一方で、「今からでは無理」と思えば、それまでのことです。生徒の皆さんには、「でも派」であってほしいと思っています。

8月10日(火) 川俣高等学校長

部活動(バドミントン部)

バドミントン部の皆さんです。部員数が少ないので、日々の練習から、顧問の先生方も一緒に取り組むなどして、その技術力の向上を図っています。随時、生徒対教員によるダブルスの試合を行いますが、やはり圧倒的に、生徒チームの勝利の場面が多いようです。先生方の現在の目標は、試合中に生徒に走り負けないこと、だそうです。福島は連日35度を超える猛暑であり、加えて、体育館の中は一層過酷な環境にありますが、シャトルを追いかける生徒と先生方は、実に楽しそうです。 

8月2日(月) 川俣高等学校長

運気を上げる

花巻東高等学校野球部の佐々木洋監督は、チームの運気を上げる方法の一つに、選手が、何事に対しても感謝することを挙げています(「1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書(致知出版社)」より一部抜粋 一部改訂)。遠征時に利用したホテルでは、帰る際に、選手が皆できれいに掃除をするので、ホテル関係者からは、「花巻東高の使った後はベッドメイクが要らない。」とまで言われるそうです。現在は大リーグのマリナーズに所属する菊池雄星投手も、試合のできる感謝の気持ちを忘れることのないよう、常日頃から心がけていた選手の一人です。試合先の町で、道にゴミが落ちているのを目にすると、彼は、「神様が自分を試している」と思いながらゴミ拾いをしたそうです。感謝の気持ちが相手に伝わると、相手は自分たちを心から応援してくれる、そうした循環が、自然に運気を上げてくれるのだそうです。感謝の気持ちは、この瞬間からでも持つことができます。生徒の皆さんも実践してみてください。

7月29日(木) 川俣高等学校長

笑い

平均的な4歳児が一日平均300回笑うのに対して、大人はわずか15回しか笑わないそうです。笑うことで、気分の高揚を感じることができます。また、笑いには人を癒す効果もあります。心理学者ウィリアム・ジェイムズは、「私たちは幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ。」と述べています。

7月28日(水) 川俣高等学校長

授業風景(数学編)

2年生の皆さんが数学の授業に臨んでいました。まずは、配布された課題プリントに取り組みます。正解プリントは先生の手元にあるので、各自、解き終わった順に、教卓のところで解答合わせをするとともに、わからない箇所については、随時、先生に確認します。一定の時間が過ぎると、数人で机を合わせるなどして、グループ内で教え合う光景が見られました。先生による総まとめを行った後に、振り返りシートに記入することをとおして、本時の知識の定着を図ります。

7月27日(火) 川俣高等学校長

自分に対する信頼

夏季休業に入り5日が経ちます。終業式時に述べたように、生徒の皆さんは、自分自身をしっかりと見つめ直すことはできていますか。さて、3年生の皆さんにとっては、進路に関する大切な時期を迎えています。いつまでに何をやると決め、それに係るロードマップを作成し、その目標達成に向け取組を進める、その姿を、皆さんの中にいる「自分」も見ています。皆さんと「自分」との約束は、必ず守らなければなりません。最も大切にしなければならないこと、それは内なる自分との信頼関係です。

7月26日(月) 川俣高等学校長

1学期終業式時の校長からの話

7月21日(水)午前9時20分から、本校1学期終業式が行われました。その際に、校長から、生徒の皆さんに対して話した内容をお知らせいたします。

 昭和の時代には、大抵の家で七輪を庭に置き、金網の上で魚を焼いて食べていました。すると、少し目を離した隙に、魚を取って逃げていく猫の姿を多く目にしたりします。皆さんが魚を焼いていて猫に取られたとすれば、皆さんなら、その猫に怒りの矛先を向けるでしょうか。結構、そうする人は多いと思います。でも、猫に魚を取られるのは、開闢以来当たり前のことです。このケースでは、自分に非があった、と考えるべきかもしれません。自分の思ったことが正しいとは限らない、こうしたケースは多く見られます。そして、自分が正しいという思い込みに基づく言動により、周囲との軋轢を生むこともあります。一方で、誤った思い込みをしていた自分を知ってしまうと、悩み、落ち込むこともあるので、自分を見つめ直すことを避けたい、と考える場合もあると思います。誰でも好んで、悩みたい、落ち込みたい、とは思わないものです。しかし、自分を見つめ直す勇気を放棄すれば、現状維持あるのみ、少なくとも進歩は見られません。文豪と呼ばれるドストエフスキーやトルストイ、ゲーテであっても、想像もつかないくらい深く悩み傷つくなど、絶望に近い体験をした、と言われています。悩み、苦しむことなく、光と幸福に達することはできない、という点では、天才も我々も変わりがありません。「人間のプライドの究極の立脚点は、あれにもこれにも、ひどく苦しんだことがあります、と言い切れる自覚ではないか。」と、太宰治も本の中で述べています。

 自分を客観的に、様々な角度から考えることは大切です。自分に課題がないことを確認できたら、それは最もすばらしいことです。一方で、もしも課題が見つかり、そして、とことん考えて、一人ではその課題の解決策がわからないとしたら、家族の方や先生方に話し、相談してください。必ず、良きアドバイスをいただけるはずです。こうした自分について考えることこそ、自分を一層、大きな存在にしてくれる原動力です。そして、その解決を図れば、より一層、自分の魅力を引き出すことができます。

夏季休業中は、十分な時間があります。思いっきり、自分を見つめてください。事故には十分に気をつけながら、有意義な夏季休業であることを期待して、校長からの話とします。

7月21日(水) 川俣高等学校長

部活動(弓道部)

川俣高等学校弓道部の皆さんです。本校は、学級数減等により、部活動の再編を行っており、弓道部の活動は、今年3年生の皆さんの活動終了に伴い停止します。部員の皆さんは、今年も、インターハイや県総体など各種大会において、その実力を十分に発揮してくれました。感動をありがとう。そして、顧問の先生方、また、永きにわたり部員の活動を見守り支えてくれた武道場、大変お世話になりました。お疲れ様でした。

7月21日(水) 川俣高等学校長

授業風景(機械科編)

川俣高等学校には、普通科と機械科の2つの学科があります。今回紹介するのは、課題研究の授業に臨む機械科3年生の皆さんです。高等学校入学から学んできた2年間の知識や経験を活かしながら、何を作るのかを自分で決め、自分で計画し、仲間と協力しながら、ものづくりの実践に取り組みます。わからない箇所については先生方に聞く場合もありますが、そのほとんどは、生徒の皆さんの手により作成されます。自らが作成したものは、世界に一つしかありません。その達成感を最大限感じることができるよう、今日も、ものづくりに励みます。

7月20日(火) 川俣高等学校長

新たな習慣作り

新たな習慣を身に着けようとしたものの長続きしなかった、という経験は、誰にでもあると思います。変化に抵抗し現状維持するようプログラミングされている私たち人の脳、その特性にも継続が難しい一因があるようです。でも初期の変化にうまく慣れ、対応できれば、その後の取組は想像以上に楽なケースも多く見られます。たとえば、ロケットの場合、発射直後の数分間で使用する燃料は、その後の50万マイル以上を飛ぶために使う燃料とほぼ同量だそうです。また、「はじめは人が習慣を作り、それからは習慣が人を作る」という言葉もあります。

7月19日(月) 川俣高等学校長

部活動(フェンシング部)

本校フェンシング部の皆さんです。先月に開催されたインターハイ福島県大会をとおして、4人全員が、8月10日から福井県で行われるインターハイに出場します。昨年は、インターハイ代替大会において、本校男子生徒が全国3位、女子生徒が全国準優勝という成績を収めました。現部員は、今の実力を最高値と考えることなく、高き目標を持ちながら、昨日の自分に明日は勝つ、の精神の下、日々練習に励んでいます。

7月16日(金) 川俣高等学校長

霧の町 川 俣

掲載したのは、7月上旬の写真です。普段なら、遠くまで見通すことができる、きれいな川俣町の風景をほとんど目にすることができません。これは、霧によるものです。しばしば、夜中や明け方の時間帯に、空気中の水蒸気の増加と気温の低下により発生する霧。この言葉は、雨と務の組み合わせによりできています。「務」には「覆う」という意味があるので、霧とは、雨が辺りを覆っていることを指します。空気中に漂う無数の水滴を伴うことから、霧の中に入ると、やや涼しくも感じます。10キロ以下の範囲にかかるものを霧、それ以上の広範囲にかかるものを靄(もや)と言います。風情のある光景ではありますが、歩行者も車の運転者も、お互いに相手を確認しにくい状況となります。移動の際には一層の注意が必要です。

7月上旬の風景です。

普段の川俣町の風景です。

7月15日(木) 川俣高等学校長

部活動(ウェイトリフティング部)

卒業アルバム用写真撮影をしているところをお邪魔しました。本校ウェイトリフティング部です。3年生にとっては最後の大会となる、インターハイ県大会及び県総体において、いずれも自己ベストを更新するなど健闘しました。今後は競技を離れ、自らの持つ進路目標の達成に向けて取り組むこととなりますが、本校での競技をとおした思い出は、一層深いものとなりそうです。なお、本校ウェイトリフティング部顧問もまた、選手として県総体に出場し、見事優勝しました。

7月14日(水) 川俣高等学校長

 

執 着

学術的目的でチンパンジーを捕獲する際に、アフリカではウロ(空洞になっている筒のようなもの)の中に、バナナや木の実などチンパンジーの好物を入れておくのだそうです。チンパンジーは獲物を見つけると、穴の中に手を入れます。その穴は、ものを手でつかんだときには、引っ張り出せない程度の大きさになっています。手を放せば逃げることが可能なのに、チンパンジーの習性から一度つかんだものは放そうとはせず、結果として生け捕りにされてしまうのだそうです。こうしたことは、チンパンジーに限ったことではないようにも思えます。過度の執着から、大きな損失を生むことは、周囲にも多々ありそうです。時には、思い切って執着から解き放たれ、自由になる瞬間があってもいいのかもしれません。

7月12日(月) 川俣校長学校長

変えられないことへの心配

ある調査によれば、56%は起こりそうもないことについて、26%は変えることのできない過去について、8%は他者の意見について、そして4%はすでに解決済みのことについて、人は悩み、心配していることが判明したそうです。変えられないことへの心配が94%も占めているのに対して、真に考えなくてはならないことを考えている割合は6%であり、それでも人は、かなり充実した生活を送ることができています。であれば、もしもその割合を、6%から7%、そして8%と少しずつ増やすだけで、生活は一層楽しくなりそうです。

7月9日(金) 川俣高等学校長

復 習

心理学者エビングハウスによれば、人の脳は記憶したことのうち、20分後には42%、1時間後には54%、1日後には74%を忘れるのだそうです。忘却機能は、人の脳の容量を守る意味において重要なものですが、こと学習をする際には、あまり好ましいことではありませんね。そこで先生方は、復習、言い換えれば、繰り返すことの重要性について生徒の皆さんに話をするはずです。記憶には短期記憶と長期記憶があり、その判断は海馬と呼ばれる器官で行われます。海馬で重要な情報と判断されれば、長期記憶として扱われ、逆の場合には、忘れてもいい短期記憶とされます。そして、その判断の決め手となるのは、当該情報が何回も流れてくるのか、それとも単発なのか、ということによります。復習とはまさに、海馬に重要と判断させるための行為なんですね。

7月8日(木) 川俣高等学校長

 

文明の大変革その2

どうすれば、大変革の時代を楽しく乗り切ることができるのでしょうか。意外に難しいことではないかもしれません。文明の大変革とは、大小はともかく、究極、異なる見方の発見です。よって、川高生の皆さん、少なくとも、自分の周囲にあることをよく見て、よく考えて、疑問に思ったことを調べることから始めてみませんか。常に頭の中に、「なぜの嵐」を起こすのです。目の前の事象を当たり前と捉えれば、そこからは何も生まれません。「なぜ」と疑問に思うことで、自分の中に新たな視点が芽生えます。そしてその新たな視点を、できる限り論立てて、周囲の友人に話してみましょう。聞いた友人は笑うかもしれません。でも、後に多数派となる新たな考えの開拓者は、これまでの歴史を振り返ってみても、最初は受け入れがたいとされるなど、常に少数派でした。

7月7日(水) 川俣高等学校長

文明の大変革その1

中世の文明は、諸学の王と呼ばれたアリストテレスによる、学問体系の上に築かれていました。その物理学の分野が、ガリレオ・ガリレイの落体実験により否定され、天文学の分野がケプラーによりくつがえされ、アリストテレスの権威は大きくゆらいでいきます。そして、哲学の分野が、デカルトやフランシス・ベーコンにより凌駕されたとき、近世における知識体系の構築が始まるものの、その文明もまた、20世紀に入ると、再び大きくゆらぐこととなります。文明が、数十年、数百年規模で変革を迎え、それに伴い新たな文明が生じる構図は、これまでの歴史を紐解けば明らかです。そして、川高生の皆さんが生きる今もまた、その文明の大変革を迎える時代なのです。これを大変なことと感じてしまうのか、または、楽しそうだと考えるのかによって、大きな差が生じます。この続きは、また明日書きます。

7月6日(火) 川俣高等学校長

ICT機器を活用した授業(英語編)

校舎内を見て回っていると、偶然、生徒の元気な声が聞こえたので教室にお邪魔しました。ICT機器を活用した、2年生の英語の授業中でした。本校は、各教室にプロジェクタやスクリーン、モニターが完備されているため、先生方は自分のパソコン1つを持参すると、コンピュータ等をとおしたした授業を行うことができます。この授業では、生徒に教科書を読ませたり、予め配布したプリントに英文を書き取らせるなど従来の指導法に加えて、短時間でモニターから消える英文(その消すスピードも変えて演習を行っています)を早く読み込む練習や、モニターに映し出された英文内に適語を補充して英文を完成させるなど、かなり洗練された独自教材を使っていました。生徒は、様々な角度からの教員の問いに対応できるよう取り組むため、確実に知識の定着を図ることができます。生徒は、楽しく授業に臨んでいました。

本時の演習項目がモニターに映し出されます。

教科書による英文音読を行っています。

モニターに映し出された英文が一瞬で消え、次の英文が浮かび上がります。

生徒はそのスピードに付いていけるよう、一生懸命に音読を行います。

教科書をとおして読んだ全英文をモニターに映し、全員で音読に取り組みます。

英文内の日本語を英語に変えながら、英文の完成を目指します。

本時の内容を確認するプリントに取り組んでいます。

7月2日(金) 川俣高等学校長

 

ものを見抜く力

正しい判断をする際に、情報を収集し活用することは重要です。でも、恐竜の身体が大きくなりすぎて、脳のコントロールが、身体の末端に及ばなくなったことが恐竜絶滅の原因とする説があるように、現代は情報の洪水におぼれつつあります。人の抱える情報が巨大化しすぎるなど、人智の及ばないレベルにまできており、その弊害も生じていることは、常に念頭に置く必要があります。そして、こうした時代であるからこそ、ものを見抜く正しい眼が求められています。

7月1日(木) 川俣高等学校長

かわまたアンスリウム

皆さんは、アンスリウムという花を知っているでしょうか。熱帯アメリカから西インド諸島にかけて約600種が分布する、ハート型の花と、一見するとプラスチックにも見える鮮やかな葉を特徴とする花です。赤や白、ピンクに緑など、その色も多くあります。意外にも直射日光に弱く葉焼けを起こしてしまう一方で、暗すぎると花が咲かないなど、育成には多くの工夫を要します。川俣町では、震災復興を目指し、近畿大学支援の下、平成25年から栽培を始め、令和元年には東京に出荷するまでになりました。本校では、1年生を対象に行われた、福島イノベーションコースト構想人材育成事業の一環として、6月16日(水)に、アンスリウム栽培農家さんを訪問し、その栽培の歴史や育成法等についてお話を伺ったところです。また、栽培農家さんのご厚意で、学校にアンスリウムをいただきました。ありがとうございます。南校舎正面玄関に飾らせていただいております。

色鮮やかなアンスリウムが皆さんをお迎えします。

 

多くの色合いを持つアンスリウムがあります。

 6月30日(水) 川俣高等学校長

校地内の植物や植木

本校の校地内には、たくさんの植物や植木が育っています。植物の手入れは主にボランティア委員会の生徒の皆さん、そして植木の手入れは用務員さんによりなされています。特に、用務員さんは、その美しさを保つよう、ほぼ毎日水をやったり、剪定(せんてい)作業に取り組んだりしていらっしゃいます。雨の降らない日でも面倒を見てもらえて、植物や植木は喜んでいるようにも見えます。きれいにカットされた髪型ならぬ枝型により、生き生きと映える緑は、全生徒と全教職員の心を和ませてくれます。生徒の皆さんが気持ちよく教育活動に取り組めるよう、皆で教育環境の整備をしています。

正面玄関前

     

正面玄関前

 

 

 

中庭東側

南校舎南東側

正面玄関東側



 

中庭中央

 

 

6月29日(火) 川俣高等学校長

変革の時代を生きる

今は大変革の時。こうした時代を生き、さらに、これからの時代を切り拓く川高生の皆さんは、どう生きるべきだと考えますか。平穏無事に生きたいと思うのは、人として当然の思いです。でも、こうした「ことなかれかし」と考える人が変革の時代を生きるには、どうしてもより多くの苦労を伴います。一方、そう考えない人であっても、こうした時代では、多少の苦労を避けることはできません。どちらにしても伴う苦労があるのであれば、川高生の皆さんには是非、積極果敢に時代と向き合い、自分としての解決策を見つけようとする、いわば「ことあれかし」派であってほしい、と思っています。

6月28日(月) 川俣高等学校長

家族とつながる

携帯電話のなかった、公衆電話が当たり前の頃の話です。身体の不調から長期入院をしていた、ある幼稚園児の気持ちを和ませようと、看護師さんがクイズを出したそうです。「ここに、500円玉、100円玉、そして10円玉があります。どれが一番大きなお金ですか。」その子は即座に、「10円玉」と答えます。何度確認しても答えは同じ。その理由を尋ねると、その子はこう答えます。「10円は、家に電話のできるお金。家と私をつないでくれる、私にとって一番大きな、一番大切なお金。」

6月25日(金) 川俣高等学校長

年間行事をとおして

本校では、年間に多くの学校行事を計画しています。その一つである校内球技大会が先週行われました。授業を受けている普段とは異なり、生徒の皆さんの元気に声を出し、活発に動き回る一面を目にした機会でもありました。教職員チームも長縄跳びに挑戦するなど、楽しい一時を過ごすことができました。そういえば、校長室に「咬啄同時(そったくどうじ)」という書が掲げられています。「教える側と教わる側の意思が通じ合うこと」を意味する言葉だそうです。球技大会をとおして、体育館内で咬啄同時を感ずる瞬間は多くあったように思っています。明日は、これも大切な学校行事である、川俣町産業課さん主催の進路講演会が開催されます。多くの企業の方が来校され、丁寧な説明を行っていただけますので、自らの進むべき道を考える貴重な機会としてください。

6月24日(木) 川俣高等学校長

 年間行事計画です



川俣高校の教育活動

川俣高校は現在、3年生の機械科1クラスと、1年生から3年生までの普通科3クラスの合計4クラスから成る学校です。特徴として、普通科の生徒が工業科目を選択し、実際に機械に触れることでものづくりをすることができます。また、商業科目を選択して、簿記検定や情報処理検定、電卓検定やワープロ検定、ビジネスコミュニケーション検定など、各種資格取得をすることもできます。家庭科に係る選択科目も用意しており、調理実習等を体験することもできます。一方、機械科の生徒は充実した設備を十分に活用するなどして、かなりのレベルの、本格的な実習に取り組んでいます。

本HPでは、これまでの川俣高生に対する思いに加えて、こうした魅力ある教育活動や取組について積極的に紹介してまいります。

6月23日(水) 川俣高等学校長

始 末

ものに溢れる現代であるからこそ、「もののある、ありがたみ」を再認識することは大切です。かつて、顔を洗うために用いた手ぬぐいは、古くなったら折りたたんで雑巾とし、その雑巾がボロボロになれば、風呂を焚(た)くときに薪と一緒に使用するなど、何度も丁寧に使いました。新品をおろすときが「始まり」、捨てるときが「終わり(末)」、よって「始末」と言います。新品をおろすときには、今それが本当に必要なのか、ちょっと立ち止まって考える必要がありそうです。

6月16日(水) 川俣高等学校長

夢を持たない人は、人生そのものが味気ないものとなります。一方で、夢を持っている人は光輝いています。でも、夢の実現のために人生を歩むのではありません。むしろ、夢が人生を形作るのです。素敵な夢を持っている人は、自然に素敵な人生を歩みます。川高生の皆さんの中にも、そうした人が多くいるはずです。

6月15日(火) 川俣高等学校長

今週の学校行事

〇登校指導 6月14日(月)から6月18日(金)まで、今年度2回目の登校指導が実施されます。

〇企業見学会 6月16日(水)に、1年生を対象とした企業見学会が実施されます。

〇球技大会

 6月18日(金)に、フットサルやドッジボール、バスケやバレーなど、各種競技による球技大会が開催されます。

 

今週は行事が盛り沢山です。

気温の高い日が続きますが、健康に気をつけながら、取り組んでほしいと思います。

6月14日(月) 川俣高等学校長

 

子を思う親の心

皆さんは読売巨人軍大江竜聖投手を知っているでしょうか。現在、一軍のリリーフとして活躍する左腕です。父である広志さんによれば、「とにかく強そうな名前」として竜、また、自分がファンである松田聖子さんから一字をいただいて付けた名前だそうです。広志さんが監督を務める少年野球チームの昼休みに、「お弁当を作ってもらえて、みんないいな。」と話す我が子の言葉を耳にし、広志さんは慣れない手つきで弁当作りを始めます。大江投手の大好物は、不格好で火が通っていないときもある手作りハンバーグです。また、広志さんは、仕事を休んでも学校行事には行こうと決め、そして最後までやり通す、とにかく熱血漢。我が子のユニフォームに背番号を縫い付けるのが楽しみにもなりました。甲子園を目指した東東京大会では準決勝で敗退し、その夢はかないませんでしたが、どの試合でも全力で応援する父の声は、登板する大江投手にもしっかりと届いていたそうです。ドラフトの前日に取材を受けた大江投手は、「ここまで成長できたのは父のおかげです。ありがとうございます。」と、父への感謝の言葉を述べています。テレビをとおして放映された、巨人から6位指名を受けた瞬間の広志さんの大泣きする姿、そしてその後、うれしそうに我が子と握手する姿が、今でも強く印象に残っています。

6月10日(木) 川俣高等学校長

インターハイ県大会を終えて

 本校生出場に係るインターハイ県大会が終了しました。全力で試合に臨んだ全選手に対して、敬意を表します。その中で、本大会で、選手全員の全国大会出場を決めたフェンシング部の皆さん、おめでとう。なお、8月10日までは、まだまだ十分すぎるくらいの時間があります。現在の競技レベルを自己最高のものと考えるには早すぎます。取り組む姿勢により、今の数段階のレベルアップを図ることは可能です。自らの課題を明確にして練習に励んでください。

 また、各種競技において、次の大会も間近に迫っています。一つの大会の終了は、次の大会への準備期間の始まりです。備えを十分に、そして、競技をできる喜びを胸に、また、同じ競技に関わる他校仲間への尊敬の念も忘れることなく、試合に臨んでください。

6月9日(水) 川俣高等学校長

世界海洋デー

海は、私たちの生活にとって、身近で欠かすことのできない存在です。平成4年に開催された地球サミットにおいて、カナダから提案されたことをきっかけとして、6月8日は世界海洋デーとされました。海の恵みに感謝するとともに、自然保護の観点からも、再度、海を意識する日としたいものです。加えて、世界は海でつながっています。世界規模の協力の在り方についても問われる日だと思います。

6月8日(火) 川俣高等学校長

アイデアが降りる瞬間

企業は新商品の開発を目指して、日々新しいアイデアを考案し、実現に向けた検討をしています。私たちが目にするものは、その数千分の一、数万分の一程度であり、せっかく出されたアイデアのほとんどは、日の目を見ることなく消えていきます。でも、思い付きではなく、毎日、本気で考えている人からのみ、ヒット商品は生まれます。USJ元CMOの森岡毅さんもその一人です。パークの新企画が浮かばずにいた森岡さんは、かなり追い込まれた状態を過ごします。でも、森岡さんによると、追い詰められて重圧がかかり続けると、自分でも意識していない遺伝子が覚醒するのだそうです。ある夜の夢で、ジェットコースターが逆再生されている映像を見た森岡さんが、それをヒントに開発したのが、「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」です(1日1話。読めば心が熱くなる365人の教科書 致知出版社より。一部抜粋一部訂正)。アイデアが降りるのは一瞬でも、そこに至るまでには、計り知れない努力があるんですね。

6月7日(月) 川俣高等学校長

ニーチェの言葉

哲学者ニーチェの言葉を、教育学者の斎藤孝先生が、「君は君の道をゆけ(ワニブックス)」の中で次のように紹介されています。

ニーチェ

人生の坂道を辛苦してのぼってゆく間は、めったに脚を折ることはない。しかし、甘く見て、安易な道を選び始めるときがいちばん危ない。

齋藤孝先生

人というものは、「ラクな道だな」「下り坂だから余裕」と思ったときこそ転ぶもの。坂道のスロープを上りながら転ぶ人はほとんどいません。要するに、「ラクだなあ」と思ったときこそが危険なのです。

齋藤孝先生は、本の中でこのようにまとめられるとともに、徒然草の「高名の木登り」にも通じることと指摘されています。

6月4日(金) 川俣高等学校長

人との関係性

生徒の皆さんは、人との関係性が大切であることは認識していることと思います。これまでは、生徒諸君と保護者の方との、いわば「タテの関係」、生徒諸君同士の「ヨコの関係」に目が向けられていましたが、これからは、生徒諸君と地域の方々、または生徒諸君と祖父母の方などとの関係、いわば「ナナメの関係」が重視されようとしています。これは、本校が今年より取り組んでいる、コミュニティ・スクール制度の趣旨とも一致するものです。豊かな経験を持つ様々な方々からのアドバイスを受けて、何かを考える際のチャンネルが増えるなど、生徒諸君にとって、今後の人生において宝物となれば幸いです。

6月3日(木) 川俣高等学校長

あくなき探究心

1969年7月に、アポロ11号が人類史上初めて月面着陸に成功します。宇宙飛行士の一人エドウィン・オルドリンさんが、地球帰還の直前に地球に向け送ったメッセージを紹介します。

「この飛行の成功は、乗組員3人の力でもなく、アメリカの力でもない。未知の世界の謎を解き明かそうとする、人類のあくなき探究心がさせたことである。」

人の持つ潜在能力は計り知れないのです。今週末に行われるインターハイ県大会においても、同じことが言えます。あくなき探究心の下、これからの練習に臨むことにより、これまでの数倍、数十倍の力を発揮することができます。そして、その瞬間はもちろん、試合中にもあります。大会に出場する全生徒諸君の健闘を祈ります。

6月2日(水) 川俣高等学校長

間もなく梅雨入り

梅雨の季節がやってきます。植物にとってはまさに恵みの雨です。今年4月から農園をお借りして、多種の野菜を育てています。家族皆で種を植え、水をやり、草を取るなど手入れをしたところ、約1か月半で青梗菜やホウレン草、白菜の収穫をすることができました。ミニトマトやトウモロコシ、大根やオクラも大きく育っています。自らの手により育てた野菜の味は格別です。野菜に限ることなく、皆さんは、家で何かを育てていますか。時間等制限はあろうかと思いますが、手塩にかけて育てる経験はなかなか貴重です。

6月1日(火) 川俣高等学校長

五月晴れ

今日はまさに五月晴れです。もともとは梅雨の晴れ間を意味していたとされるこの言葉は、今では、4月後半から5月にかけての晴天を指すようになりました。同じ言葉であっても、その意味する内容は時代とともに変化します。そして、その時代を形作るのは、その時を生きる人の意思です。これからの時代をより良きものとするよう、生徒の皆さんに大いに期待します。

5月31日(月) 川俣高等学校長

発 明

今の私たちの生活はその多くを、先人の発明によって支えられています。発明に至るまでには、数えきれないほどの失敗を繰り返したものと思います。発明王と称されるエジソンでも、1個の電球を発明するのに5千回の失敗をした、とされています。とはいえ、彼がその失敗について問われると、「私は、5千通りの、うまくいかない方法を発明したのだ。」と言い返したそうですが。

さて、私たちの周囲にあるものを、じっくりと眺めてみてください。その一つひとつから、先人の残した、その発明に係る思いを感じ取ることができるかもしれません。

5月27日(木) 川俣高等学校長

感 謝

自分でしようとしていることがうまくいかず、イライラすることは誰にでもあります。川高生の皆さんは、その気持ちを、たとえば、試合中であればチームメイトに、また、日常生活であれば保護者の方に向けたりしてはいませんか。そうする前に、してほしいことがあります。試合に臨むことができたのはどうしてか、また、日常生活を送ることができているのはなぜか、ということを考えてほしいのです。自ずと、癇癪(かんしゃく)の気持ちから、「く」の字が取れて、「感謝(かんしゃ)」の気持ちに変わります。

5月26日(水) 川俣高等学校長

発想の転換

キャッシュレスの時代において、カードの存在は日に日に高まっています。あるカード会社の社長さんは、次のように話しています(「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より 一部抜粋 一部改訂)。

「一枚でも多くカードを獲得するにはどうすればいいか、と何につけても考えます。割引が付いているとか、ポイントに有効期限がない、といった要素が、お客様から見たお得な印象です。自分ならサインレスがいいな、と思いました。サインをするのが業界の常識。サインレス導入にあたり、弁護士からも「何を考えているんですか。」と言われましたが、お客様の利便性が図れるなら、それを阻止する規定や固定概念はすぐに壊してしまったほうがいい、と譲りませんでした。」

この話は、他者(他社)とは異なる点に着目することこそ大切であり、「目の前の非常識、将来の常識」という考え方を表しているんでしょうね。

5月25日(火) 川俣高等学校長

いつもと違う光景

目の前にあるものを常に正面からのみ見れば、その光景は常に同じです。たとえば、川高生の皆さんは、毎日登校して校門を抜けると、そこには南校舎が見えますね。両側に多くの花が植えられたプランターが置かれている、その階段の上には正面玄関があり、また、2階や3階には、自分のクラスの窓やベランダも見えます。でも、真東側から校舎を見ればどうでしょうか。真西側や真上からの光景もまた、正面からのそれとは異なります。多くの人が通る道の上のみを歩くと、真新しい発見はありません。一方で、誰も立ち寄ることのない場所にも、何かがあります。これは、ビジネスに関わる人が大切にしている考え方です。「人の行く裏に道あり花の山」です。

5月24日(月) 川俣高等学校長

次の一手

将棋の世界では、手詰まりになったときに、最も端にある歩を進めることがあるのだそうです。これを「手詰まりにはし(端)歩をつく」と言います。しかし、その一手から、これまで拮抗していた局面が一気に、自分にとって不利に展開する場合があります。棋士の中には、「最もよい選択としてはし(端)歩をさすのではなく、相手の出方を探るための、とりあえずのはし(端)歩は、相手に付け入るスキを与えるだけの愚手」と指摘する人もいます。勝負には、一息つく瞬間もない厳しい一面があることを再認識させられます。

5月21日(金) 川俣高等学校長

進路を決めるのは生徒の皆さん自身であっても、そこにたどり着くまでの保護者の皆さんや先生方、多くの友人による協力や支援があってこそ、その達成は図られます。だから、進路決定はチーム力による、とよく言われます。チーム力を発揮するには、チームワークを欠かすことはできません。言い換えれば、チームの和です。そういえば、ワカメやネギなどに味噌や酢、ゴマなどをまぜることで料理の風味は格段に高まりますが、これを「和(あ)えもの」と呼ぶのは、こうした由来からだと思います。「今日は楽しい一日だったなぁ。」と感じるのは、もしかしたら、「うまく和(あ)えることができた日」だったからかもしれませんね。

5月20日(木) 川俣高等学校長

ものの見方は人により

同じものを見ても、人の感じ方や思いは異なりますよね。俳句に関わる人の場合には、その感覚が一層顕著だそうです。川高生の皆さんは、テレビに出ている、俳人の夏井いつきさんを知っていますか。夏井さんが「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」の中で、次のように話をされています(一部抜粋 一部改訂)。

俳人の世界では生憎(あいにく)という言葉はありません。「きょうは生憎の雨で桜を見ることはできない」という一般的な感覚は、俳人にすれば、「これで雨の桜の句を詠める」と考えます。雲に隠れて仲秋(ちゅうしゅう)の名月が見えないときには「無月を楽しむ」、雨が降ったら「雨月を楽しむ」と捉えます。

なんとも前向きな考え方だとは思いませんか。夏井さんは、これまでマイナス思考であっても、俳句に出会うことで生き生きとした人生を送るようになった人もいる、とも述べています。

5月19日(水) 川俣高等学校長

新緑の季節

ふと窓の外の山並みに目を向けると、木々の強い緑色が目立つ季節となりました。まさに新緑の季節の到来です。

そういえば、(私だけかもしれませんが)通常5月に使うものと思っていた新緑という表現は、3月頃から6月頃にかけても使うのだそうです。ちなみに、新緑は初夏の季語です。

冬に枯れたかのように見えた木々は、この季節に葉を茂らすべく、着々と準備をしているんですね。自然の持つ奥深さに感心させられます。

 

5月18日(火) 川俣高等学校長

eネット安心講座

SNS等を安全・安心に有効活用できるよう、5月14日(金)に、本校ではeネット安心講座を開きました。本来であれば、講師の方を本校にお招きし実施するところですが、新型コロナウイルスに係る現状を考慮し、講師である武田幸彦氏のティーガイヤ東北支店(仙台)と本校各教室、校長室をオンラインでつなぎ、職員室には先生方が見ることのできるスクリーンを設置するなど工夫して行いました。警察に寄せられる、インターネット等をとおした誹謗中傷トラブルの相談件数は、平成27年以降、全国で毎年1万件以上あります。その増加要因の一つには、匿名性であることがよくあげられますが、名前の特定等はできるなど、匿名性は全く当てはまらない旨、話がなされました。また、こうしたトラブルに巻き込まれることのないよう、事前に行うべき予防策等の講義をいただくなど、今後の参考となる講座となりました。株式会社ティーガイヤは、ネット依存やネットいじめ、なりすましやネット詐欺など、今日の社会にある危険の実態周知を図り、トラブルの未然防止に努める「Eネットキャラバン」に取り組まれています。今後とも御指導や御助言等いただければ幸いです。

5月17日(月) 川俣高等学校長

本を手にして

川高生の皆さんは、月にどの程度、本を読みますか。

読者からは多くの知識を得ることができ、そのことにより間違いなく、私たちの生き方は豊かなものになります。

でも、本を手には取るものの、なかなか読み始める決心がつきにくい場合もあります。

こうした際には、じっくりとタイトルをながめてください。じっくりと本に付いている帯を見てみてください。

限られた言葉ではあるけれど、そこには、本の内容を強く意識した筆者の思いが込められています。

これから読み見始める本が、遠い存在ではなく近くに感じられるはずです。

 

5月14日(金) 川俣高等学校長

人生の岐路に立ち

人が生きるところ、多くの岐路(分かれ道)があります。そして、たとえば、数多くある高校の中から川俣高等学校を選んだことをはじめとして、目的地に向かう交通手段やお昼に食べるものなど、その岐路では何らかの決定が求められ、その決定は、読書などをとおして知り得たことやこれまでの経験、友人からのアドバイスなど、「そのときの自分が持つ一定のルール」に基づき行われます。

3年生となり自らの進路を決めるのは、まさに人生の大きな岐路に立つ瞬間と言えます。その決定をより良きものとするよう、前述した読書や経験、友人に加えて、学びの師である先生方に相談をしてみてください。先生方の体験の下、貴重な意見をいただくことができます。また、先生方の教えをとおして身に着く知識や学校で得た情報もまた、「一定のルール」を一層効果的なものとしてくれます。

本校は、在籍する皆さんの持つ進路目標の実現に向けて、全教職員が一丸となり取り組みます。進路に係る悩みがあれば、全教職員もまた、皆さんとともにその解決策を考えます。川高生の皆さんは、安心して進路実現に向けた学びを進めてください。

5月13日(木) 川俣高等学校長

計算視力

数学の学力向上につながるかどうかは定かではありませんが、少なくとも計算力向上を図る考え方について、奈良市内で大学進学塾を経営する鍵本聡さんは次のように指摘します(「ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書 なぜ学び、なにを学ぶのか」一部抜粋 一部改訂)。

「数学の中には計算視力というものがある、と思っています。簡単に言えば、問題文や計算式を目で解く力です。たとえば、35×18を筆算すれば、それなりに時間がかかりますが、35×18=35×(2×9)=(35×2)×9と考えれば、70×9なので、すぐに630とわかる。これは、「5の倍数×偶数のときには、偶数の2だけ先に掛ける」というパターンによります。また、228×5であれば、228×(10÷2)=(228÷2)×10として1140という答えを導く。これは、「×5のときには、先に2で割ってから10倍する」というパターンに基づきます。こうしたパターンを覚えれば覚えるほど、数字はいろんな表情を見せてくれるのです。」

川高生諸君も、独自の数字パターンを見つけ、計算視力王を目指してみませんか。

 

5月12日(水) 川俣高等学校長

生徒会総会

本日5月11日(火)6校時には、本校の生徒会総会が行われます。その際に話すことについて、少しだけ早くお知らせします。

随分と昔の話です。アメリカで作られた映画に次のようなものがありました。

主人公がある朝目覚めると、後ろ向きに歩いている人を目にします。その周囲にいる人も皆、後ろ向きに歩いています。車も、そして犬や猫までも後ろ向きに走っています。主人公は、ぼう然としたまま街角に立ち続けます。しかし、しばらくすると、主人公の顔から戸惑いの表情は消え去り、むしろ安心感を漂わせながら、彼もまた後ろ向きに歩き出す、といった内容の映画でした。人はすぐに周囲に流されてしまう、ということを表現したものと思います。確か、その映画のタイトルは、順応を意味するconformityを逆から書いたものであった、と記憶しています。

さて、生徒諸君は皆、生徒会に属しています。周囲の意見に耳を傾けながらも、自らが責任の下、しっかりと考えることをとおして、その組織を一層よりよいものとするよう願います。

 

5月11日(火) 川俣高等学校長

知的好奇心その2

「わかる」部分と、対極にある「わからない」部分を知ろうとすれば、それは、間違いなく大きな飛躍を呼び込む第一歩となります。普通、わからない自分の姿を他者に見られたくはありませんが、でも、自分で思っているほど、他者が物事をわかっている、とは限りません。であれば、ぜひ、勇気を持ってわからない自分をさらけ出し、同時に、わからない部分を知ろうとする気持ちを強く持ってもらいたいのです。1コマの授業で1つでも、今までに知らなかったことを知ることができたら、それはすばらしいこと、これは、令和3年度始業式時に、2年生と3年生に話したことでもあります。各授業で1つずつ、新たな知識を1日に6つも得ることができます。わかろうとする気持ちが大きければ大きいほど、知ったときの喜びもまた大きくなります。わかろうとする歩みを進めていく過程に、何の躊躇も必要としません。授業中に心の中で、「わかった」と叫ぶ川高生諸君に、大いに期待します。

 

5月7日(金) 川俣高等学校長

知的好奇心その1

人にとってわからないことは、いつの時代にも存在します。人は、その一つ一つをわかろうとし、日々努力し、研究もしたし、今もまた、そうしています。その過程では、多くの挫折や絶望感を多々味わったことは想像するに難くありませんが、それでも、そうした取組をあきらめることなく継続できたのは、わかることのすばらしさや面白さがあったからだろうし、また、わかる喜びを感じたい、と強く願っていたからに他ありません。知的好奇心(わかりたいと思う心)が、人間心理の中で最も崇高なものである、と言われる所以です。

4月29日(木) 川俣高等学校長

母の一言

生徒の皆さんは植物を育てた経験はありますか。毎日水をやり、季節により肥料を与え、常に太陽に当たるよう置き場所を考える。そうして大きく育った植物には愛情もわきます。一方で、家族の誰かにすべてを任せ、花が咲いた瞬間にだけ立ち会ったとしても、そう大きな感動を味わうことはできません。オークスグループ会長の奥野博さんは、母親の次の一言に大きな衝撃を受けたと述べています。(「1日1話、読めば熱くなる365人の仕事の教科書」致知出版社より 一部抜粋 一部改訂)

一度会社経営に失敗した奥野さんが帰省をした際に、母親から、「倒産したのは会社に愛情がなかったからだ。」と言われます。自分の作った会社に愛情のないはずはない、と考えていた奥野さんに、母親はさらにこう言います。「あんたはみんなにお金を用立ててもらって、やすやすと会社を作った。やすやすとできたものに愛情など持てるわけがない。母親が子どもを産むには、死ぬほどの苦しみがある。だから、子どもが可愛い。あんたは逆子で、私を一番苦しめた。だから、あんたが一番可愛い。」

4月28(水) 川俣高等学校長

 

 

呼吸を合わせる

良好な人間関係を築くのは誰でも苦労するものです。他者に合わせて自分を変える必要があるなど、何らかの制限が加わるわけですから当然です。一方で、様々な取組、たとえば部活動など、団体を基本とした活動が求められる場面も多くあります。生徒の皆さんの進路を決める取組もまた、団体戦と言われています。教育学者の斎藤孝先生が、「記憶を鍛える齋藤孝式「呼吸法」秀和システム」という本の中で書かれていることは、こうした取組を円滑にする一つのヒントになるかもしれません。

「学生時代、アルバイトで新聞のチラシの折り込み作業をやったことがありました。5人くらいで並び、流れ作業の要領で次々とチラシを挟み込んでいきます。流れ作業というと、いかにも退屈で、途中で飽きていやになりそうです。(でも)こうした作業は、5人なら5人の息を合わせないとうまくいきません。リズムがずれると、焦ったりイライラしたりで確かにいやになる。でも慣れてくると全員のリズムが合ってきて、一定のスピードができあがってきます。一種のゾーンに近い、特殊な集中状態に入るのです。真空状態で回したコマが回り続けるように、エネルギーがどこにも漏れず、いつまでも動き続けていられそうな気さえします。こうなると、ほんとうに気持ちがいい。作業はどんどん進むし、疲れることもありません。(一部省略)」

4月27日(火) 川俣高等学校長

相対性の魅力(ドラゴン桜公式副読本より)

理学博士の竹内薫さんは、「ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書 なぜ学び、なにを学ぶのか 講談社」の中で、子どもの理系離れについて次のように述べています。

「そもそも子どもは、宇宙とかブラックホールとかの話が大好きなんです。これは、無限というものに、得体の知れない好奇心を抱くからなんです。私も、子どもの頃、読んだ本に「宇宙飛行士がブラックホールに近づいていっても、無限の時間をかけないとブラックホールの穴の縁には到達しない」とあり、更にそのすぐ後に、「でも、その宇宙飛行士自身は、有限の時間の中で、穴に入っていく」と書いてあるのを見つけて、びっくりした。ふたつの相反する理屈を、どうやって両立させたらいいんだ、と悩みました。こうしたショートしちゃうような知的な状況、これが物理学の魅力です。ブラックホールの話を聞いて、「へぇ、そうなんだ。」で終わってしまったら、物理を面白いと思うきっかけはゼロです。(一部改訂)」

話の中身は少し難しいんだけれども、物理の持つ魅力が竹内薫さんを突き動かした、ということは十分に伝わります。

4月26日(月) 川俣高等学校長

目 標

ずっと先のことを見据えて目標を設定することは大切です。

ただし、遠すぎるために、その目標がかすんでしまうような場合もあります。

そうしたときには、あえて近い将来に目標を定めるのも意外に効果的です。これを、心理学では、スモールステップの原理といいます。

遠くを見ながら歩みを進めれば、道に迷うこともなく目的地にたどり着くことができる一方で、

近くを見ながら歩けば、いろいろなことがよく見え、多くの未知なることを発見できます。

たとえば、来週提出の課題を完璧なまでに完成させるとか、次の授業の予習を丁寧に行うなど、近い将来の目標設定も試みてください。

4月23日(金) 川俣高等学校長

10・10・10の法則(出典 1日1話、読めば熱くなる 365人の仕事の教科書 致知出版社 一部改訂)

帝国ホテルのサービスには、「100-1=0」の精神があるのだそうです。

素晴らしいサービスを展開したとしても、たった1つのミスが生じれば台無し、つまり0になってしまう、ということです。

仕事の厳しさを感じます。

また、「10・10・10の法則」もあります。

信用を築くには10年かかる一方で、その信用を失うのはたった10秒、そして、信用を再構築するのにまた10年かかる、というものです。

物事は人の想定通りにはいかず、よってミスも生じます。その際には、「お詫びとお礼は1秒でも早く」をモットーにしているのだそうです。

私たちの生活にも活かすことのできる考えだと思います。

4月22日(木) 川俣高等学校長.

 

基礎・基本

生徒の皆さんは、基礎・基本を軽視してはいませんか。

写真家の土門拳さんは、写真を撮るときに大切なこととして、まずはレンズのキャップを取ること、と話しています。キャップを取らなければ写真撮影の作業は始まらない、という基本中の基本、当たり前のことではあるけれど、

一方で、私たちは日常において、基礎・基本を無視して、キャップを取ることなくシャッターを押すようなことを

やってはいないでしょうか。

そういえば、千利休もまた、同様に弟子に対して、「稽古とは、一から始めて十を知り、十から返る、もとのその一」

と話しています。

4月21日(水) 川俣高等学校長

夢を磨く、笑顔を作る

今から随分と昔の話です。

経営の神様と呼ばれた、松下グループ創業者の松下幸之助さんが、工場でつまらなそうな顔をして電球を磨いている従業員に、

「あんた、いい仕事をしているよ。」と声をかけたそうです。

「毎日、同じように電球を磨くだけの退屈な仕事ですよ。」と答える従業員に、彼はこう言います。

「本を読んで勉強している子どもたちがいる。でも、夜になると、字が読めなくなってしまう。そこで、あんたの磨いた電球をつけるんや。子どもたちは、夜でも読みたい本を読めるようになる。あんたの磨いているのは電球じゃない。子どもたちの夢を磨いているんや。怖くて通れなかった暗い夜道に、あんたの磨いた電球がついたら、人は安心して、笑顔で通れるようになる。もの作りは、ものを作ったらあかん。その先にある笑顔を作るんや。」

まさに、夢と笑顔に満ちた話です。

4月20日(火) 川俣高等学校長

 

今を大切に考える

生徒の皆さんの中には、すぐにでも取り組まなければならないことを目の前にして、どうしても気乗りがしない、と感じた経験があるかもしれません。これは、心ここに在らず、の状態に陥っているわけです。

心をここに置く、言い換えれば、今を大切に考えることは、学習にも、また、人生においても必要なことです。

孔子は、「心ここに在らざれば、視えども見えず、聴けども聞こえず、食えどもその味を知らず」と話しています。

今を大切に考える姿勢こそ、人生を豊かにしてくれる秘訣の一つです。

4月19日(月) 川俣高等学校長