令和4年度

1学期終業式時の校長からの話

7月21日(水)午前9時20分から、本校1学期終業式が行われました。その際に、校長から、生徒の皆さんに対して話した内容をお知らせいたします。

 昭和の時代には、大抵の家で七輪を庭に置き、金網の上で魚を焼いて食べていました。すると、少し目を離した隙に、魚を取って逃げていく猫の姿を多く目にしたりします。皆さんが魚を焼いていて猫に取られたとすれば、皆さんなら、その猫に怒りの矛先を向けるでしょうか。結構、そうする人は多いと思います。でも、猫に魚を取られるのは、開闢以来当たり前のことです。このケースでは、自分に非があった、と考えるべきかもしれません。自分の思ったことが正しいとは限らない、こうしたケースは多く見られます。そして、自分が正しいという思い込みに基づく言動により、周囲との軋轢を生むこともあります。一方で、誤った思い込みをしていた自分を知ってしまうと、悩み、落ち込むこともあるので、自分を見つめ直すことを避けたい、と考える場合もあると思います。誰でも好んで、悩みたい、落ち込みたい、とは思わないものです。しかし、自分を見つめ直す勇気を放棄すれば、現状維持あるのみ、少なくとも進歩は見られません。文豪と呼ばれるドストエフスキーやトルストイ、ゲーテであっても、想像もつかないくらい深く悩み傷つくなど、絶望に近い体験をした、と言われています。悩み、苦しむことなく、光と幸福に達することはできない、という点では、天才も我々も変わりがありません。「人間のプライドの究極の立脚点は、あれにもこれにも、ひどく苦しんだことがあります、と言い切れる自覚ではないか。」と、太宰治も本の中で述べています。

 自分を客観的に、様々な角度から考えることは大切です。自分に課題がないことを確認できたら、それは最もすばらしいことです。一方で、もしも課題が見つかり、そして、とことん考えて、一人ではその課題の解決策がわからないとしたら、家族の方や先生方に話し、相談してください。必ず、良きアドバイスをいただけるはずです。こうした自分について考えることこそ、自分を一層、大きな存在にしてくれる原動力です。そして、その解決を図れば、より一層、自分の魅力を引き出すことができます。

夏季休業中は、十分な時間があります。思いっきり、自分を見つめてください。事故には十分に気をつけながら、有意義な夏季休業であることを期待して、校長からの話とします。

7月21日(水) 川俣高等学校長