令和4年度

現実の真実

渋滞に入るとイライラするものです。その原因について、多くの人は、2車線の道路が1車線に絞られるなどしたことによるもの、と考えます。確かにこれは、ボトルネックといって、渋滞を引き起こす一つの要因ではありますが、多くに当てはまる理由は別にあります。たとえば、誰もいない歩道を一人で歩いていれば問題はありませんが、多くの人が近い距離で並んで歩いていれば、何となく歩きづらくなり、そのスピードも落ちます。車も同じです。道路が狭くなるわけでもなく、先で工事をしているわけでもないのに、車の台数が増えて車間距離が短くなると渋滞に陥るのです。多くの車が走っている中を、早く目的地に着くためにスピードを上げて車を運転すると、前の車との距離が狭まりブレーキを踏むことになります。この1台から生じたブレーキの波が雪崩のように後ろの車にも影響を及ぼしていく、これが自然渋滞と呼ばれる現象の原理と言われています。複数の条件にもよりますが、結果として、ゆっくりとしたスピードで車間距離を取りながら走る方が早く着くこともあるのです。東京大学大学院教授西成活裕氏が、この渋滞学について研究されています。現実を成り立たせる真実は、思わぬ要因の場合もあるんですね。

9月6日(月) 川俣高等学校長