令和4年度

校長より

色合い

極に近い地域では太陽光が斜めに入り、空気層を通過する距離が長くなるため、粒子やチリにぶつかることで短波長の青色が散乱するのだそうです。一方で、赤道に近い地域では太陽光が直角に入るため、短波長が散乱しないために赤みを帯びた太陽光になるのだそうです。日本で比較すると、北海道では青く見える光が、沖縄や鹿児島では赤く見えることになります。北海道で朱赤色のロウソクの炎に太陽光が当たると、青が混じって紫にも見えることもあり、なかなか幻想的です。広島東洋カープは赤ヘルが特徴的ですね。でも、東日本にあっても、読売巨人軍はオレンジを基調としたユニフォームなので、全てが当てはまるわけではなさそうです。そういえば、色彩心理学という研究分野を研究する方によれば、色に応じた地域の特性があり、人は、18歳頃までに生活していた地域で綺麗に見える色を好む傾向にある、とのデータを示す方もいます。色に包まれた生活をしている私たちにとって、もう少しその存在に注目してもいいのかもしれません。

1月9日(火)川俣高等学校長

技術の進歩は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。効率性や利便性が大幅に高まることで、私たちは豊かな生活を手にしています。でもこれは、人として本来あるべき姿から大きく乖離してはいないのか、私たちが身の丈6尺程度の人間に見合った状況下にいるのか、について、自分に問いかけ続けることは大切です。人は生物的存在であるとともに、精神的存在としてこの世にいます。生徒の皆さん、技術進歩により、24時間という一日の時間帯を36時間や48時間に相当する時間にできたとしても、ただ無機質な生活を送ることは避ける必要があります。

1月5日(金) 川俣高等学校長

旅は目的地に到着することを重視しがちですが、旅の途中にも大切なことが多くあります。今までに交流のなかった方々と話す機会が生じます。日常とは異なるものを発見することもできます。人生を旅に例える人も多くいます。地球は自転しながら365日かけて太陽を一周し、太陽は2億年以上かけて銀河系宇宙を一周するのですから、地球に生活する私たちは、既に立派に旅人です。『日々旅にして旅を栖とす』とした松尾芭蕉は、宇宙的規模の感覚で真理を表していたのかもしれません。

12月28日(木) 川俣高等学校長

こけし

楊枝は、その多くが白樺を材料として作られています。柔らかい白樺は家具には向きませんが、楊枝には最適です。ヨーロッパ南部や東南アジアには白樺がないため、かねてより日本の楊枝が重宝されていました。かつて、イタリアのレストランの格式は置いてある楊枝でわかる、と言われたこともあったようです。この楊枝の頭の部分には、窪みのような装飾が施されています。この部分を箸置きのようにして使用する、という話をよく耳にしますが、これは、ある落語家の方や評論家の方が言い出したことのようで、実は、何もないのはさみしいと感じた楊枝メーカーの方が、昭和36年頃にちょっとした飾りをつけたのが始まりだそうです。ちなみに、こけしを参考にして刻みを入れたことから、この部分をこけしと呼ぶこともあるそうです。でも、楊枝置きとした発想、なかなか粋ですね。

12月22日(金) 川俣高等学校長

難 問

フランスの哲学者デカルトは、疑って疑い抜き、これだけは疑いようがない、というところから考えを進めるべき、と説きました。『我思う ゆえに我あり』という表現は、周囲には疑わしいことが多くあるものの、疑っている自分がいることだけは疑う余地はない、ということを表現している,、との解釈もあります。そして彼は、難しい課題は分割して処理すべき、とも説きます。現在、私たちの周りにある課題は、大抵、諸問題が関係して生じることが多くあります。複雑化した課題解決には、多少の時間や労力を必要としても、一つ一つの事象に丁寧に向き合うことから解決を図ることができます。中国の思想家である老子も、難しいことは容易いことから始め、大きいことは小さなことから手をつけよ、という意味で、『難ヲ易キニ図リ、大ヲ其ノ細キニ為ス』としています。

12月21日(木) 川俣高等学校長