令和4年度

校長より

締切仕事術

限界状況になると人は思わぬ力を発揮することから、仕事効率を上げるために、締切を設けることを推奨する本を多く見かけます。締切を設けると、少なからずストレスはかかります。でも、大きすぎないストレスは、程よい緊張感や緊迫感をもたらしてくれます。自然にノルアドレナリンも分泌されるので、注意力と集中力が高まります。生徒の皆さんには、漫然と何かに取り組み始めることに代えて、予め、期日や時間など締切設定を施すことをお薦めします。

9月8日(木) 川俣高等学校長

改善の繰り返し

大抵の場合、人は慣れたやり方で物事に取り組みます。でも、成果の出ない場合には、新しいやり方を取り入れなくてはなりません。もしも、その新しいやり方が原因でトラブルが生じたときに、生徒の皆さんならどう対処しますか。改善しようとして改悪になったのだから、元に戻すこともできますが、そこに成長は期待できません。そうした場合には、さらに改善を加える選択肢もあります。期待通りの結果が伴うまで、改善し続けるのです。何もしないこと、元に戻すことは停滞につながります。変えること、そして変わることこそ大切です。よく言われる、PDCAサイクルを止めたり、逆回転させたりするのではなく、常に正なる方向に回し続けるところから、成長は生まれます。

9月7日(水) 川俣高等学校長

機械の変容

生徒の皆さんが、ある工場の現場責任者だとします。自分の工場に、念願であった新しい機械が導入されました。これで今までのすべての問題が解決できると、皆さんはほっとすることと思います。でも、実はそうではありません。新しい機械は、他社でも導入できます。同じ機械を同じように使っていれば、他社との差別化を図ることはできません。では、どうすればよいのか。その機械に、人の知恵を付けるのです。知恵は、工夫と置き換えることもできます。機械に付けた人の知恵の数だけ、機械は変容を遂げ、その魅力も増します。数か月後に、他社で導入した同じ機械と自社の機械を見比べてみてください。姿・形は同じでも、きっと、全く違ったものとして見えるはずです。

9月6日(火) 川俣高等学校長

うまくいかない要因

あるメーカーで、特定地域の市場シェアが低下傾向にあったそうです。本社責任者が担当者に理由を尋ねると、「景気が悪い」「同業他社と比較して自社価格が高い」など、いわゆる外部要因を多くあげたそうです。そこにシェア低下の原因があると考えた責任者がお客様に直接話を聞いたところ、「こちらのニーズを無視して、売りたい商品の話ばかりする」「見積書の提出が遅い」「そもそも担当者が滅多に顔を出さない」など、内部要因がほとんどでした。営業方法を根本から見直し、より多くの企業の方と接する時間を確保するなど工夫したところ、売上は飛躍的に伸びました。外部要因にはどうにもならない要素も多くありますが、内部要因であれば、工夫次第で改善を図ることができます。また、不振の原因を内に求めることで、知恵が出ます。課題解決には、真摯な要因追求の姿勢が求められます。

9月5日(月) 川俣高等学校長

無茶な制約

車を生産するある会社の社長が、今の費用、そして生産に係る時間の2分の1程度で行うよう指示を出したそうです。何か月もの間、夢の中にも出てくるほど考えた末に、担当者は、他車と一部生産工程を同じにするなど、小さなものも含めて数百項目もの工夫を施し、一台の生産に係る費用と時間を大幅に短縮することに成功したそうです。潤沢な予算と時間があれば、人は何も変えようとはしません。予算と時間の極端な制約があれば、何とかしようとし、知恵を出します。時に生じる無茶な制約は、人に知恵を出すことの大切さを思い出させてくれます。そして、知恵を出すことは、人を大いに成長させてくれます。

9月2日(金) 川俣高等学校長

青い鳥

メーテルリンクの「青い鳥」という童話をご存じでしょうか。チルチルとミチルが夢の中で過去や未来の国を訪れて、幸福の象徴である青い鳥を探しに行く話です。でも、見つけることができずに家に帰った二人は、自分たちが飼っている鳥こそが、幸せの青い鳥であったことに気づくのです。私たちが気づかないだけで、幸せは、いつも自分の身近なところにあります。では、どこに私たちの幸せはあるのでしょうか。具体的には、脳の中にもあります。ある目標や計画を立てたとき、何かワクワク感を感じることはありませんか。それは、脳内にドーパミンが分泌されているからです。そして、その目標の実現が図られると、大きな達成感とともに、より多くのドーパミンが分泌されます。それは、幸福感に満たされる瞬間です。幸せに、大きい小さい、はありません。幸せは、間違いなく幸せなのです。生徒の皆さんも、こうした機会を一層多く持つことで、充実した楽しい生活を送ることができます。

9月1日(木) 川俣高等学校長

目標達成

こうなればいい、というイメージを強く持ったほうがその達成率は高まる、と言われています。ここに、アファーメーションと呼ばれる方法を紹介します。紙を1枚用意して、まず最初に、自分の達成したい目標とその期限、内容を書きます。次に、その目標が達成されたときの自分の気持ちを書きます。そして、目標達成のための計画を具体的に書き込んでいきます。最後に、もう一度、最初に書いた自分の達成したい目標とその期限、内容を書けば出来上がりです。注意事項としては、「~しない」という否定形は使わず、すべて肯定形で書くこと、主語は「私」とすること、目標は「~に取り組んでいる」というように現在進行形で書くこと、が挙げられます。この紙を見える場所に貼り、毎日声に出して読むことで、意欲と自信が高まります。チームとしての目標であれば、チーム全体の士気や一体感が飛躍的に高まることになります。生徒の皆さんも是非試してみてください。

8月31日(水) 川俣高等学校長

気間理

先週金曜日に、本校2学期の始業式が行われました。その際に話したことを投稿いたします。

柔道や剣道で言えばきちんと身構えること、相撲で言えば両手をつくことなど、日本に古くからある競技には、立会いという「きまり」があることを知っているでしょうか。ただし、「きまり」といっても、規則に従うことだけを意味するものではなく、次に述べる言葉から取ってそう呼んでいます。まず、きまりの「き(気)」とは、気合や気迫を指します。試合に臨む際の集中力を高める意味においても非常に重要です。次に、「ま(間)」とは、間合いを指します。剣道に例えれば、相手に近づきすぎれば打ち込まれることもあり、また、離れすぎては竹刀は届きません。自分の実力を十分に発揮するためにも、自分を客観視しながら、相手との適切な距離感を取ることが求められます。最後に、「り(理)」とは、道理を指します。物事をきちんとあるべきように整え、理にかなった方法で取り組むことが、周囲の皆さんの理解にもつながり、また、周囲の皆さんから、多くの協力をしていただけることにもなります。これら3つの気間理(きまり)は、学校生活にも大いに応用できます。今年本校では、公開文化祭が予定されています。川高ここにあり、と示す、大きな、そして大切な文化祭です。気間理の精神により、本気度の高い気持ちを込めながら準備に取り組む中で、時には作品を客観的に眺め、道理にかなった方法により完成を目指してほしいと思います。高校生として、豊かな表現力による発表を行うことで、関係する方々から高い評価をいただくことができるはずです。そして、来校される皆さんに大きな感動を与えることのできる「かえで祭」になると思っています。一糸乱れぬ川高魂の下、生徒の皆さんが取り組むことを楽しみにしています。

8月30日(火) 川俣高等学校長

 

タイムプレッシャー

時間に制約を設けることはあせりにもつながりますが、一方で、思わぬ力も生み出します。皆さんはウルトラマンを知っていると思います。正義のヒーローの代名詞ともなったウルトラマンは、なぜあんなに強いのでしょうか。その秘訣の一つは、3分しか闘えないことにもあります。活動できる3分が迫ると、胸のカラータイマーは点滅します。必ず3分以内に怪獣を倒さなければならない、その緊張感が強さを生むのです。このタイムプレッシャーとも言える時間の制約は、生徒の皆さんが日常取り組むことにも応用できます。普通なら100分でやっていることを80分で終わらせると周囲に宣言し、時計で計測するなど自分に負荷を与えると、大抵、80分でできるのです。60分に時間設定をしたとしても、これも実現可能です。モチベーションは、タイムプレッシャーをかけることで高まります。それは、ドーパミンの一層の分泌も促します。時間の制約を設けるウルトラマン取組術の有効活用は、とても楽しそうです。

8月29日(月) 川俣高等学校長 

過去の自分との比較

自分を知ることは大切です。心理学でも、メタ認知として重要とされています。そして、人はよく他者比較をして、自分をもっと深く知ろうとします。でも、このことで、相手に激しい妬みを感じたり、強い自己否定を起こすこともあるなど、他者と自分との比較には危険も伴います。では、私たちは、何と比較をすればよいのでしょうか。少しだけ背伸びをすれば届くかもしれない、憧れのような存在が近くにいればよいのですが、もしもそうした対象が見当たらない場合には、過去の自分との比較をすればよいのです。今の自分を見て、過去より明らかによくなっていれば上出来です。わずかな進歩であったとしても、それもまた素晴らしいことです。誰を傷つけることもなく、誰に傷つけられることもなく、己を知ることができ、そして、結果として、自分の成長につながります。

8月26日(金) 川俣高等学校長