令和4年度

校長より

自己受容

生徒の皆さんも、自己肯定感という言葉を聞いたことがあると思います。自分の可能性を信じ、自分に自信を持ち、肯定的に自己認識をすること、これが自己肯定感です。一方で、自分に自信が持てないなどの感情を自己否定感といいます。自分の感情にマイナスを掛け合わせてしまうこうした瞬間は、確かにありますね。その改善を図る第一段階として、自己受容に努めることが大切であり、その方法として、精神科医樺沢紫苑氏は、「自己受容の4行日記」を推奨されています。1行目に、「ミスをして叱られた」など、自分の体験したネガティブな事例を書き、次の2行には、「誰にでもミスはある」「少し落ち込んだ」など、自分の自然な感情を書き込み、最後の1行は、「それでも、まずまず良い一日だった」など、前向きな表現で締めくくるのだそうです。自己否定から自己受容を行うとともに、最後の前向きな表現により、脳内にプチ変化が生じ、そしてプチ成長を遂げることができます。

7月4日(月) 川俣高等学校長

単位の考え方

ある企業の経営者が、「これまで7日かかっていたリードタイム(すべての工程が完成するまでの所要時間)が3日になりました。」と話すと、それを聞いた別の経営者はその取組を賞賛した上で、「では次は、72時間(3日)を、1時間、2時間と、さらに短縮化を図ることができそうですね。」と話したそうです。リードタイムを「日」という単位で考えれば、4日の短縮は十分な対応ですが、「時間」という単位で考えれば、まだ改善の余地があることに気づきます。加えて、「時間」を「分」に置き換えて考えることもできます。このような取組を継続すれば、最初の経営者の会社は、将来、リードタイムが2日になっているかもしれませんね。時間の単位(時単)を変えることで、時間の短縮(時短)につながるわけです。生徒の皆さんの周囲にも、改善の余地は無限にありそうです。

7月1日(金) 川俣高等学校長

百聞は一見に如かず

人の話を百回聞くよりも一度でも自分の目で見た方が、はるかに理解できることを表す諺「百聞は一見に如かず」はよく知られています。でも、百回見るよりも一度でも行動してみると、一層正しい判断ができます。「百見は一行に如かず」です。加えて、きちんとした成果が出れば、苦労も報われます。「百行は一果に如かず」です。生徒の皆さんが、スピード感を持って対応しなければならないとき、そして成果を求めたいときの参考にしてみてください。

6月30日(木) 川俣高等学校長

整 理

生徒の皆さんが、工場で働いていると仮定します。ものづくりの現場は、集団作業により成り立ちます。一人ひとりの個人作業で完結することは、一つとしてありません。前工程の後に自分の作業があり、後工程に引き継がれます。前と後ろの人との連携があって、円滑な作業実践を図ることができます。よって、重要なことは整理整頓です。不特定多数の人が手にするものは、定位置を定め、必ずそこに戻すことが大切です。誰もが素早く、ものを取り出せる環境づくりは、一部、皆さんの学習活動にも応用ができます。学んだ知識は、頭の引き出しに入ります。その際に、知識の出し入れをスムーズにできるよう、引き出しの表面にラベル(タイトル)を貼るイメージを持ってみてください。出した知識を、必ず元の引き出しの中に戻すことで、次に必要なときにも、短時間でその出し入れが可能です。考査日程が迫ってきました。知識の整理整頓の重要性が高まっています。

6月29日(水) 川俣高等学校長

個 性

自らの個性を磨くことにより自らの魅力を十分に発揮できる瞬間は、実にうれしいものです。かつては、個性を前面に押し出し過ぎることを躊躇する時もありました。一方で、他との違いをアピールしすぎるなど、奇抜さを個性として捉えた時もありました。でも今では、個性は尊重されるべき存在という考えがしっかりと定着しています。すべてが全く他と同じことはありません。自分が存在していること、そのことが既にあなたの個性です。身に着けたことを自然に発揮すること、そのことが立派にあなたの個性なのです。「他人と違うことを恐れるな。違いこそが個性を生む。他人は他人、自分は自分。他人の人生を自分が歩くことはできない。自分の人生を他人が歩くこともできない。」評論家佐高信氏の言葉です。

6月24日(金) 川俣高等学校長

身近なもの

中松義郎氏は、世界の発明王と称されるエジソンよりも多くの発明をしたことで知られています。彼が最初に特許を取得したのは中学二年生のときでした。第二次世界大戦中の物資の少ない中、冬でも暖房はありません。暖かくする材料はないか探しに探して、あまりにも身近な空気の存在に注目します。空気を逃げないようにして急速に圧縮すると高熱を発する、と本に書いてあったことを思い出し、シリンダーを作り、足で踏んで中のピストンを動かしてみると、放熱器の部分が触れることができないほど熱くなりました。さらに改良を加え、生み出したのが無燃料暖房装置です。無理だ、ダメだ、を禁句として、あきらめることなく取り組んだ大きな成果です。そして、大きな成果も、そのヒントは、意外に身近なところに隠されています。生徒の皆さんも、周囲にあるものを注視すれば、改善を図るヒントが見つかるかもしれません。

6月23日(木) 川俣高等学校長

納 得

人の話を聞く行為は簡単そうに見えますが、意外に難しいものです。でも、人の話には、参考となることが数多く含まれています。だからでしょうか、優れた指導者や経営者は、例外なく相手の話に耳を傾けます。松下幸之助氏も然りです。ディール・カーネギーも、人を動かすには人の話を熱心に聞くよう勧めています。一方で、人に話す立場で考えてみると、無理に説得を試みても、うまくいかないことに気づかされます。人は説得では動きません。納得して動きます。強制力や報酬、専門性を前面に押し出して話をしても、相手の心には響かないのです。では、何をもって話をするのがよいのでしょうか。一つの要素として、人間性があげられます。相手を信頼できると感じれば、人は自然に、その人のために動いてくれます。

6月22日(水) 川俣高等学校長

目標に向けた取組

何か興味のあることを継続して取り組んでいると、ある瞬間に、飛躍的な質の変化を起こすことがあります。人の潜在意識や深層心理に刻まれた経験値が引き起こすこうした事象を、シンギュラー・ポイントと呼びます。知識の深さも関係はしますが、大切なのは、面白いから一層知りたい、という気持ちを持つこと、そして、その気持ちを持ち続けることです。人の持つ能力を開花させてくれるパワーの源、シンギュラー・ポイントに到達できればできるほど、きっと、楽しさに満ち溢れた生活を送ることができます。

6月21日(火) 川俣高等学校長

新たな道

大正生まれの江頭匡一さんは、アメリカのレストラン王と言われたハワード・ジョンソンの本を読み、レストラン経営に興味を持ちます。まだ、飲食業が東京証券取引所一部に上場されていなかった時代に、彼は日本にも飲食業が定着すると考え、故郷福岡市に一軒の店を構えます。そして、江頭さんは常に、店の経営に関して創意工夫を積み重ねます。人通りの多い交通に便利な場所に店がなければ、人は入りません。でも、そうした場所は土地代が高くなります。そこで、全ての調理をお店でするのではなく、業務を分けることはできないか、と彼は考えます。郊外に広いスペースの調理場を作り、調理したものを各店舗に配ることでコストダウンを図る、セントラルキッチン方式を生み出したのも、そうした創意工夫の一つです。後に彼は、日本の外食産業の先駆者と称されるようになりました。新たな道を創り出すことは楽しいものです。そして、新たな道を見つけ出すヒントは、本の中、日常生活の中、生徒の皆さんの頭の中にあるのです。

6月20日(月) 川俣高等学校長

成功の秘訣

経済界のトップの方に成功の秘訣を尋ねると、周囲の方から信用を得ること、という回答が多く聞かれます。信用を得るために必要なことを問うと、時間を厳守すること、だそうです。お金をかけて一定の時間を節約することはできますが、相手の時間を買うことはできません。時間を貯めておくこともできません。一日24時間は、皆さんに与えられた平等な権利です。一年間の8760時間も然りです。使いたくはないと思っても、時間は流れていきます。時間の有効活用を図るためにも、やるべきことが多くあるのは幸せなことなのかもしれません。

6月17日(金) 川俣高等学校長