令和4年度

校長より

オンオフ

仕事を極める人には、仕事中には集中して取り組む一方で、休日になると、ある意味集中して、趣味に没頭して過ごすタイプの人が多く見られます。いわば、一流の仕事人とは、オフの過ごし方が上手な一流の趣味人、であるようです。こうしたオフの時間に良質なインプットをすることで、仕事に関する発想力や活力が生み出されます。

10月18日(火) 川俣高等学校長

様々な角度から

現在では、スマホやパソコンを使えば、すぐに一定の情報を集めることができます。でも、その情報は既に誰かがまとめたものであり、新たな側面を示してはくれません。以前には多くいた、見えないものを見ようとするタイプの人が少なくなり、今では、見えるものを確実に見ようとするタイプが多い、との指摘もあります。例えば、植物の研究をするのであれば、膨大な資料を集めて読み込むことに加えて、実際に外に出かけ、対象とする植物を、正面から、横から、真上から、そして土に埋もれた中まで見ようとする姿勢こそ大切です。39億年にもなる地球の歴史をヒシヒシと感じながら、太陽エネルギーの下で育つ生命のドラマに直面するのは、何かワクワクしませんか。植物に限ることなく、どんな分野に関わろうとも、見えないものを見ようとすれば、そこには必ず、筆舌に尽くしがたいロマンがあります。

10月17日(月) 川俣高等学校長

集団の在り方

会社では、集団により、一つの目標達成に向けた取組を求められることが多くあります。アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏のように、圧倒的な個の力により、企業を急成長させる場合もありますが、通常であれば、集団で行う意見交換等をとおして開発は行われます。ものづくりで大切なことは、メンバーの間の信頼感、そして共有意識とされています。集団である以上、そこにリーダーは存在しますが、リーダーが一人で100人分悩むよりも、100人のメンバーで1人分ずつ悩む方が、結果として集団のコンセプトは固まりやすく、修正や深化を図ることも容易とされます。1人の100歩よりも、100人が1歩ずつ歩みを進めれば、1歩進んだ100人全員が、それぞれ確実に成長を遂げるので、集団の力は一層大きくなります。

さて、本校は明日より修学旅行となります。次回の本投稿は、10月17日(月)を予定しております。

10月11日(火) 川俣高等学校長

ゼロからイチへ

人は大抵、前回取り組んだことを基に次回に備えます。つまり、既に持っている1(イチ)に掛けることで、2や3などにしていきます。でも、これまで自分が身に付けてきた知識や経験をすべて消し去り、全くの0(ゼロ)からやり直す場合には、前年踏襲の考えは通用しません。0を1にするエネルギーは相当なものです。こうしたときに、絶対に頭に浮かべてはいけないのは、「どうせ無理」という類の言葉です。この言葉からは、何一つ新しいことは生まれません。これまで様々な開発に関わってきた多くの方々は、過程で失敗をしても常に前を向き、挑戦を繰り返し、0を1にしてきました。今後、この使命を引き継ぐのは、生徒の皆さんです。

10月7日(金) 川俣高等学校長

時間による拘束

「人に対して平等に与えられた1日24時間は、使い方次第で36時間にもなるし、12時間にしかならないこともある。」。生徒の皆さんは、こうした趣旨のことを言われた経験があると思います。好きなことには長い時間でも没頭でき、充実した時を過ごせることを考えれば、確かに言い得て妙ですね。発明王エジソンの工場には、針のない時計が掛けられていたそうです。針のない時計は無意味との指摘に対して、彼は、「時間は自分がコントロールすべきもの。時計というバロメータに左右されていては何もできない。疲れたと思えば、その場で休めばいい。仕事が完成するまでが昼間、その後からが夜。自分のリズムを持つことが大切。」と話したそうです。学校や会社など多くの場所においては、そのすべてを適用することは難しい環境にはありますが、ある程度の自由度の高い日などがあれば、試してみるのもよさそうです。

10月6日(木) 川俣高等学校長

異 論

京セラの創業者である稲盛和夫氏が第二電電設立を発表した際に、各署から反対の声が噴出したそうです。彼は、「一定期間、一定金額を使わせてくれ。それでだめなら設立をやめる。」と明言します。いわば、失敗の線引きをしたわけです。その設立が成果を上げた背景には、異論を基に何度も何度も改善を図ったから、とも言われています。新たな計画に異論が存在しないことは有り得ません。異論がないということは、異論を見逃している場合もあり、大きな失敗につながる可能性があります。正面からこうした意見に立ち向かうことで、異論は私たちに、これまで気づくことのなかった課題や欠点をそっと教えてくれるのです。

10月5日(水) 川俣高等学校長

忘 却

学習活動をしている生徒の皆さんにとって、せっかく覚えたことを忘れてしまうのは残念なことだと思います。一方で、覚えたすべてのことを忘れずにいたとしたら、すぐに頭の容量を超えてしまうことにもなります。ドイツには、「どうにもならないことを忘れるのは幸福だ。」という諺もあるように、忘却とは、人を守る機能とも言えます。忘れてしまえば何も見えなくなるので、色に例えて黒、逆に、記憶は読める必要があるため、その色は輝く白とします。でも、考えてみてください。すべてが白などの光明であれば、何も読むことはできなくなります。白い文字が読めるのも、黒の存在があるからです。生徒の皆さん、忘れることを恐れないでください。もしも忘れてしまったら、また覚え直せばよいのです。

10月4日(火) 川俣高等学校長

仕事のプロ

生徒の皆さんがレストランのスタッフだと仮定します。そこに、若い頃に訪れた思い出のレストランで食事をしたいとの思いから、老夫婦から食事の予約が入りました。皆さんなら、その老夫婦をどのようにお迎えしますか。他のお客様同様、特別なことをせずに対応することも選択肢の一つです。でも、せっかくこのレストランを選んでくれたのだから、何かしたいと思うのも自然なことです。レストランが提供する美味しい料理を、お客様に一層美味しくいただいてもらえるよう、全スタッフによる環境づくりを考えることで、お客様に満足いただける度合いも高まるはずです。当時と全く同じメニューを準備してみたり、当時と同じ店内装飾を施したり、同じ座席に座っていただいたり、料理に合わせて店内に流れる音楽も、またテーブルクロスも変えてみたりするなど多くの工夫をとおして、積極的な舞台創りが可能となります。アスリートが筋トレを継続するように、仕事のプロは考えることを継続します。また、考えるという行為は、自分の感性を磨き、心の筋肉の成長を促してくれます。

10月3日(月) 川俣高等学校長

シャウティング

陸上のハンマー投げの選手がハンマーを投げる瞬間に、大きな声を出す場面を目にしたことがあると思います。また、多くの種目で、試合が始まる直前に選手が輪を作り、かけ声を掛け合うシーンもよく見られます。これは、単に気合を入れるためのものではなく、大きな声を出して叫ぶことで脳に刺激を与え、アドレナリンを分泌させるための行為であり、シャウティングと呼ばれています。これにより、身体機能や筋力、集中力や判断力を高めることが確認されています。野球選手が「ボールが止まって見えた。」と話すのも、この表れとされています。ただし、このシャウティング効果は長くは続かず、最大でも30分程度と言われています。競技によっては、最初から最後までその効果を期待できないため、ピンチになったときなど、ピンポイントで使用されているようです。場面にもよりますが、平時を超えた身体機能や集中力を要するとき、生徒の皆さんも使ってみる価値はあります。

9月30日(金) 川俣高等学校長

計画の微調整

生徒の皆さんは、学習計画を立ててはみたものの、その通りに進まず、自分にイライラした経験はありませんか。Amazonの創業者ジェフ・ペゾス氏は几帳面な性格で知られています。起業前には数十ページにも及ぶ綿密な計画を策定するなどしていますが、一方で、「過去に立てた計画に拘束されるなんて馬鹿げている。」とも話しています。しっかりとした計画であっても、現実は、なかなかその通りには動いてくれないものです。ときに、予期せぬ良いことも生じます。そうした場合に大切なことは、「計画通り」ではなく、「臨機応変に物事に対応する姿勢」です。良い、悪いに関わらず、微調整機能を働かせることで計画と現実のズレを修正すれば、後に大きな発展が生まれます。

9月29日(木) 川俣高等学校長