令和4年度

校長より

伝える

投資家のウォーレン・バフェット氏は、自ら、自社の株主向けに年次報告書を書くことで知られています。その際に、彼はいつも、専門家ではない自分の姉が、読んで理解できるかどうかを念頭に書くのだそうです。自分が本当の意味で理解していれば、他者が理解しやすいよう表現できるはずです。伝えたいことが相手に伝わらないのは、伝え方にも問題があるのかもしれません。適切・的確な要点まとめができるよう、予め、しっかりとした分析と真の理解の定着が求められます。

9月28日(水) 川俣高等学校長

ドキドキ

緊張する場面にいるとドキドキする、といった経験は誰にでもあると思います。これは、緊張するという精神的な刺激によって、カテコールアミンという物質が分泌されることで起こる現象です。以前にも話したように、こうした場合には、アドレナリンやノルアドレナリンも同時に分泌されるので、集中力も筋力もアップするなど、心と身体が臨戦状態になっています。ドキドキは、緊張の証というよりもむしろ、脳も身体も最高のパフォーマンスを発揮できる状態、とも言えます。生徒の皆さんが試験や試合の際にドキドキしたら、いつもよりもうまくできる兆候、成功する証、と考えることができます。

9月26日(月) 川俣高等学校長

言葉の印象

「天使のように」「悪魔のように」に続く言葉を考えなさい、と問われたとします。通常であれば、「天使のように清らかに、悪魔のようにずる賢く」など、天使には良き言葉を、一方で、悪魔には悪しき言葉を続ける傾向にあります。また、それらの言葉に、「大胆に」か「細心に」のいずれかを続けるとすれば、「天使には細心、悪魔には大胆」を続けると、何となくですが腑に落ちそうです。でも、ゲーテの「ファウスト」に描かれている悪魔は、天使と比較して細かく取り決めをするなど、意外にも慎重で憶病な性格をしています。ということは、「大胆なのは天使、細心なのは悪魔」とも言うことができるのです。私たちは長い経験によって、言葉の持つ印象を決めている場合があります。でも、その印象が違っていることもよく見られます。調べてみると興味深いかもしれませんね。ちなみに、「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」という言葉は、映画づくりのコツについて問われた際に、映画監督の黒澤明氏が話された表現です。

9月22日(木) 川俣高等学校長

好きなこと

仕事に取り組んでいるときに、光り輝くような存在である理由を尋ねると、「仕事が好きだから。」と答える方が多くいらっしゃいます。好きなことから得られる経験やスキルは、減ることのない財産になるので、ますます仕事が好きになる好循環を生み出しているようにも思えます。「自由にできる仕事だから。」という答えも耳にします。でも、ここでいう自由とは好き放題することではなく、自分の望んだ人生を、自分で責任をもって選択し生きていくことを意味します。マイケル・サンデル教授が講義の中で述べた、「自由とは、自分のルールに従って行動すること、すなわち、自律のことである。」という内容に匹敵します。一流の仕事人は皆、心から仕事を楽しんでいます。生徒の皆さんの場合には、仕事を学習に置き換えて考えてみてください。本校には今日も、心から学習を楽しめる機会が多く用意されています。

9月21日(水) 川俣高等学校長

直 観

直観は、誰もが備えている能力です。アメリカのヴァンダービルト大学の研究チームによると、論理的に考え熟慮の末に行動するときと、直観によって物事を判断するときでは、脳で行われている情報処理のプロセスが全く異なる、と指摘しています。直観で判断を下すとき、人は論理的な思考プロセスを無視します。では、直観による判断には誤りが多いのか、と言えば、そうではありません。イスラエルの大学での研究によると、左右に2つの異なる数字を瞬間的に表示して、数字の大きい方を尋ねると、被験者の9割は正しい判断をしたそうです。人は、意識的、論理的に思考しても無理なことに対して、直観的に判断することで正しい選択ができる生き物なのです。人が、自分の身を守るために発達したと考えられるこの直観を、もっと大切な存在として扱う必要がありそうです。

9月16日(金) 川俣高等学校長