令和4年度

校長より

我が事

私たちは、いわば慣性の法則がごとく、毎回、決められたことの繰り返しをしている場合が多くありますが、そこからは大きな進歩は生まれません。ある企業では、年間に約60万件もの改善提案が出され、検討の後に、その90%が実行されるのだそうです。当然、自社製品の品質向上とコストダウンを図ることができます。見学に訪れた他企業の方が、「どうして、これだけの改善ができるのですか。」と尋ねると、「なぜ、できないのですか。」と、逆質問を受けたそうです。自分の考えが反映されるとなれば、社員の、会社を見る目線にも力が入ります。自分たちが会社のエンジンとなっている、といった自覚も高まります。会社を一層良くする原動力、それは、常に現場にあります。

10月25日(火) 川俣高等学校長

コメント

小説家である壇一雄氏がパリを訪れたとき、街頭で、日本の大きなリンゴと比較して明らかに小さなリンゴを目にしました。フランス在住の友人が勧めるので、半信半疑で一口齧った壇氏は、その美味しさを次のように表現したそうです。「美味しいからと言われて齧ってみると、小さいながら、なにかこう、緻密(ちみつ)な、フクイクとした香気のようなものが感じられた」。実の詰まったリンゴを、硬い、とは表現せず、普段は味に関しては使わない緻密としたところに、言葉の選択の素晴らしさを感じます。フクイクとは、漢字で馥郁と書き、いい香りが漂う様を言うのだそうです。馥の右側の字は、ふっくらとした、という意味を含んでいるため、香を加えて「フクイクとした香気」とすることで、その様子が手に取るように伝わりますね。何かを問われたときに、咄嗟に含みのあるコメントで応えることができたら、周囲の人を和ますことができる、と、いつも思っています。

10月24日(月) 川俣高等学校長

3人寄れば

会社では、改善提案を求められる場合がよくあります。一人で考えることもできますが、複数人で考えると、様々な意見の集約ができる環境が整います。いわば、3人寄れば文殊の知恵作戦です。改善提案には、課題に気づき、その改善策を考え、それを形にして実行する、という3つのプロセスを必要とするので、3人がそれぞれ得意とする分野を担当することにより、一層効果的な取組にすることができます。「孤立した状態では実力を発揮しにくい人も、組織された社会において、その不足を補填できる」という、心理学者アルフレッド・アドラーの言葉もあります。お互いを支え合うからこそ、大きな成長や成功がもたらされます。チームとは、助け合い、補い合いながら成長を遂げる場なのです。

10月21日(金) 川俣高等学校長

過 去

私たちの経験値は、過去にどう対処したかを拠り所として高めていく側面があります。でも、変化の激しい時代に過去の成功事例にだけとらわれると、それが原因で大きな失敗につながる場合もあります。世の中が変化の中にある現在、過去の蓄積である常識が変容を遂げています。今後は一層、変化に対応する力が求められます。それは、一つには、変化を予想し、どのように対応すべきかを考える柔軟性であり、また一つには、既存の常識を覆す挑戦をとおして不可能を可能にする、本質を見極める力です。本質を見抜いて自分の中で単純明快化し、一つひとつの事象に立ち向かい解決していく過程は、難しいと感じる以上に、むしろ楽しいことにも思えます。

10月20日(木) 川俣高等学校長

PDCA

今では一般的な表現となったPDCAサイクルですが、この言葉が世に出た当初には、本来「Plan計画、Do実行、Check評価、Action改善」であるべきところを、「Plan計画、Delay遅延、Apology謝罪、Action改善」と読み間違えていた人が多くいたそうです。それほど、計画した通りに事は進まない、という現実がありますが、最も問題となるのは、Do実行にあります。やればそれでいいのか、と問われると、そうではありません。やり切ることに意義があります。中途半端で投げ出すことなく結果が出るまで実行し、ダメであれば、ダメな結果を正面から受けとめることが、真の改善につながります。ある種の執念とも言える「やり切る力」は、将来の成功に欠かすことのできない要素です。

10月19日(水) 川俣高等学校長