令和4年度

言葉の印象

「天使のように」「悪魔のように」に続く言葉を考えなさい、と問われたとします。通常であれば、「天使のように清らかに、悪魔のようにずる賢く」など、天使には良き言葉を、一方で、悪魔には悪しき言葉を続ける傾向にあります。また、それらの言葉に、「大胆に」か「細心に」のいずれかを続けるとすれば、「天使には細心、悪魔には大胆」を続けると、何となくですが腑に落ちそうです。でも、ゲーテの「ファウスト」に描かれている悪魔は、天使と比較して細かく取り決めをするなど、意外にも慎重で憶病な性格をしています。ということは、「大胆なのは天使、細心なのは悪魔」とも言うことができるのです。私たちは長い経験によって、言葉の持つ印象を決めている場合があります。でも、その印象が違っていることもよく見られます。調べてみると興味深いかもしれませんね。ちなみに、「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」という言葉は、映画づくりのコツについて問われた際に、映画監督の黒澤明氏が話された表現です。

9月22日(木) 川俣高等学校長