令和4年度

校長より

いつもと違う光景

目の前にあるものを常に正面からのみ見れば、その光景は常に同じです。たとえば、川高生の皆さんは、毎日登校して校門を抜けると、そこには南校舎が見えますね。両側に多くの花が植えられたプランターが置かれている、その階段の上には正面玄関があり、また、2階や3階には、自分のクラスの窓やベランダも見えます。でも、真東側から校舎を見ればどうでしょうか。真西側や真上からの光景もまた、正面からのそれとは異なります。多くの人が通る道の上のみを歩くと、真新しい発見はありません。一方で、誰も立ち寄ることのない場所にも、何かがあります。これは、ビジネスに関わる人が大切にしている考え方です。「人の行く裏に道あり花の山」です。

5月24日(月) 川俣高等学校長

次の一手

将棋の世界では、手詰まりになったときに、最も端にある歩を進めることがあるのだそうです。これを「手詰まりにはし(端)歩をつく」と言います。しかし、その一手から、これまで拮抗していた局面が一気に、自分にとって不利に展開する場合があります。棋士の中には、「最もよい選択としてはし(端)歩をさすのではなく、相手の出方を探るための、とりあえずのはし(端)歩は、相手に付け入るスキを与えるだけの愚手」と指摘する人もいます。勝負には、一息つく瞬間もない厳しい一面があることを再認識させられます。

5月21日(金) 川俣高等学校長

進路を決めるのは生徒の皆さん自身であっても、そこにたどり着くまでの保護者の皆さんや先生方、多くの友人による協力や支援があってこそ、その達成は図られます。だから、進路決定はチーム力による、とよく言われます。チーム力を発揮するには、チームワークを欠かすことはできません。言い換えれば、チームの和です。そういえば、ワカメやネギなどに味噌や酢、ゴマなどをまぜることで料理の風味は格段に高まりますが、これを「和(あ)えもの」と呼ぶのは、こうした由来からだと思います。「今日は楽しい一日だったなぁ。」と感じるのは、もしかしたら、「うまく和(あ)えることができた日」だったからかもしれませんね。

5月20日(木) 川俣高等学校長

ものの見方は人により

同じものを見ても、人の感じ方や思いは異なりますよね。俳句に関わる人の場合には、その感覚が一層顕著だそうです。川高生の皆さんは、テレビに出ている、俳人の夏井いつきさんを知っていますか。夏井さんが「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」の中で、次のように話をされています(一部抜粋 一部改訂)。

俳人の世界では生憎(あいにく)という言葉はありません。「きょうは生憎の雨で桜を見ることはできない」という一般的な感覚は、俳人にすれば、「これで雨の桜の句を詠める」と考えます。雲に隠れて仲秋(ちゅうしゅう)の名月が見えないときには「無月を楽しむ」、雨が降ったら「雨月を楽しむ」と捉えます。

なんとも前向きな考え方だとは思いませんか。夏井さんは、これまでマイナス思考であっても、俳句に出会うことで生き生きとした人生を送るようになった人もいる、とも述べています。

5月19日(水) 川俣高等学校長

新緑の季節

ふと窓の外の山並みに目を向けると、木々の強い緑色が目立つ季節となりました。まさに新緑の季節の到来です。

そういえば、(私だけかもしれませんが)通常5月に使うものと思っていた新緑という表現は、3月頃から6月頃にかけても使うのだそうです。ちなみに、新緑は初夏の季語です。

冬に枯れたかのように見えた木々は、この季節に葉を茂らすべく、着々と準備をしているんですね。自然の持つ奥深さに感心させられます。

 

5月18日(火) 川俣高等学校長

eネット安心講座

SNS等を安全・安心に有効活用できるよう、5月14日(金)に、本校ではeネット安心講座を開きました。本来であれば、講師の方を本校にお招きし実施するところですが、新型コロナウイルスに係る現状を考慮し、講師である武田幸彦氏のティーガイヤ東北支店(仙台)と本校各教室、校長室をオンラインでつなぎ、職員室には先生方が見ることのできるスクリーンを設置するなど工夫して行いました。警察に寄せられる、インターネット等をとおした誹謗中傷トラブルの相談件数は、平成27年以降、全国で毎年1万件以上あります。その増加要因の一つには、匿名性であることがよくあげられますが、名前の特定等はできるなど、匿名性は全く当てはまらない旨、話がなされました。また、こうしたトラブルに巻き込まれることのないよう、事前に行うべき予防策等の講義をいただくなど、今後の参考となる講座となりました。株式会社ティーガイヤは、ネット依存やネットいじめ、なりすましやネット詐欺など、今日の社会にある危険の実態周知を図り、トラブルの未然防止に努める「Eネットキャラバン」に取り組まれています。今後とも御指導や御助言等いただければ幸いです。

5月17日(月) 川俣高等学校長

本を手にして

川高生の皆さんは、月にどの程度、本を読みますか。

読者からは多くの知識を得ることができ、そのことにより間違いなく、私たちの生き方は豊かなものになります。

でも、本を手には取るものの、なかなか読み始める決心がつきにくい場合もあります。

こうした際には、じっくりとタイトルをながめてください。じっくりと本に付いている帯を見てみてください。

限られた言葉ではあるけれど、そこには、本の内容を強く意識した筆者の思いが込められています。

これから読み見始める本が、遠い存在ではなく近くに感じられるはずです。

 

5月14日(金) 川俣高等学校長

人生の岐路に立ち

人が生きるところ、多くの岐路(分かれ道)があります。そして、たとえば、数多くある高校の中から川俣高等学校を選んだことをはじめとして、目的地に向かう交通手段やお昼に食べるものなど、その岐路では何らかの決定が求められ、その決定は、読書などをとおして知り得たことやこれまでの経験、友人からのアドバイスなど、「そのときの自分が持つ一定のルール」に基づき行われます。

3年生となり自らの進路を決めるのは、まさに人生の大きな岐路に立つ瞬間と言えます。その決定をより良きものとするよう、前述した読書や経験、友人に加えて、学びの師である先生方に相談をしてみてください。先生方の体験の下、貴重な意見をいただくことができます。また、先生方の教えをとおして身に着く知識や学校で得た情報もまた、「一定のルール」を一層効果的なものとしてくれます。

本校は、在籍する皆さんの持つ進路目標の実現に向けて、全教職員が一丸となり取り組みます。進路に係る悩みがあれば、全教職員もまた、皆さんとともにその解決策を考えます。川高生の皆さんは、安心して進路実現に向けた学びを進めてください。

5月13日(木) 川俣高等学校長

計算視力

数学の学力向上につながるかどうかは定かではありませんが、少なくとも計算力向上を図る考え方について、奈良市内で大学進学塾を経営する鍵本聡さんは次のように指摘します(「ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書 なぜ学び、なにを学ぶのか」一部抜粋 一部改訂)。

「数学の中には計算視力というものがある、と思っています。簡単に言えば、問題文や計算式を目で解く力です。たとえば、35×18を筆算すれば、それなりに時間がかかりますが、35×18=35×(2×9)=(35×2)×9と考えれば、70×9なので、すぐに630とわかる。これは、「5の倍数×偶数のときには、偶数の2だけ先に掛ける」というパターンによります。また、228×5であれば、228×(10÷2)=(228÷2)×10として1140という答えを導く。これは、「×5のときには、先に2で割ってから10倍する」というパターンに基づきます。こうしたパターンを覚えれば覚えるほど、数字はいろんな表情を見せてくれるのです。」

川高生諸君も、独自の数字パターンを見つけ、計算視力王を目指してみませんか。

 

5月12日(水) 川俣高等学校長

生徒会総会

本日5月11日(火)6校時には、本校の生徒会総会が行われます。その際に話すことについて、少しだけ早くお知らせします。

随分と昔の話です。アメリカで作られた映画に次のようなものがありました。

主人公がある朝目覚めると、後ろ向きに歩いている人を目にします。その周囲にいる人も皆、後ろ向きに歩いています。車も、そして犬や猫までも後ろ向きに走っています。主人公は、ぼう然としたまま街角に立ち続けます。しかし、しばらくすると、主人公の顔から戸惑いの表情は消え去り、むしろ安心感を漂わせながら、彼もまた後ろ向きに歩き出す、といった内容の映画でした。人はすぐに周囲に流されてしまう、ということを表現したものと思います。確か、その映画のタイトルは、順応を意味するconformityを逆から書いたものであった、と記憶しています。

さて、生徒諸君は皆、生徒会に属しています。周囲の意見に耳を傾けながらも、自らが責任の下、しっかりと考えることをとおして、その組織を一層よりよいものとするよう願います。

 

5月11日(火) 川俣高等学校長

知的好奇心その2

「わかる」部分と、対極にある「わからない」部分を知ろうとすれば、それは、間違いなく大きな飛躍を呼び込む第一歩となります。普通、わからない自分の姿を他者に見られたくはありませんが、でも、自分で思っているほど、他者が物事をわかっている、とは限りません。であれば、ぜひ、勇気を持ってわからない自分をさらけ出し、同時に、わからない部分を知ろうとする気持ちを強く持ってもらいたいのです。1コマの授業で1つでも、今までに知らなかったことを知ることができたら、それはすばらしいこと、これは、令和3年度始業式時に、2年生と3年生に話したことでもあります。各授業で1つずつ、新たな知識を1日に6つも得ることができます。わかろうとする気持ちが大きければ大きいほど、知ったときの喜びもまた大きくなります。わかろうとする歩みを進めていく過程に、何の躊躇も必要としません。授業中に心の中で、「わかった」と叫ぶ川高生諸君に、大いに期待します。

 

5月7日(金) 川俣高等学校長

知的好奇心その1

人にとってわからないことは、いつの時代にも存在します。人は、その一つ一つをわかろうとし、日々努力し、研究もしたし、今もまた、そうしています。その過程では、多くの挫折や絶望感を多々味わったことは想像するに難くありませんが、それでも、そうした取組をあきらめることなく継続できたのは、わかることのすばらしさや面白さがあったからだろうし、また、わかる喜びを感じたい、と強く願っていたからに他ありません。知的好奇心(わかりたいと思う心)が、人間心理の中で最も崇高なものである、と言われる所以です。

4月29日(木) 川俣高等学校長

母の一言

生徒の皆さんは植物を育てた経験はありますか。毎日水をやり、季節により肥料を与え、常に太陽に当たるよう置き場所を考える。そうして大きく育った植物には愛情もわきます。一方で、家族の誰かにすべてを任せ、花が咲いた瞬間にだけ立ち会ったとしても、そう大きな感動を味わうことはできません。オークスグループ会長の奥野博さんは、母親の次の一言に大きな衝撃を受けたと述べています。(「1日1話、読めば熱くなる365人の仕事の教科書」致知出版社より 一部抜粋 一部改訂)

一度会社経営に失敗した奥野さんが帰省をした際に、母親から、「倒産したのは会社に愛情がなかったからだ。」と言われます。自分の作った会社に愛情のないはずはない、と考えていた奥野さんに、母親はさらにこう言います。「あんたはみんなにお金を用立ててもらって、やすやすと会社を作った。やすやすとできたものに愛情など持てるわけがない。母親が子どもを産むには、死ぬほどの苦しみがある。だから、子どもが可愛い。あんたは逆子で、私を一番苦しめた。だから、あんたが一番可愛い。」

4月28(水) 川俣高等学校長

 

 

呼吸を合わせる

良好な人間関係を築くのは誰でも苦労するものです。他者に合わせて自分を変える必要があるなど、何らかの制限が加わるわけですから当然です。一方で、様々な取組、たとえば部活動など、団体を基本とした活動が求められる場面も多くあります。生徒の皆さんの進路を決める取組もまた、団体戦と言われています。教育学者の斎藤孝先生が、「記憶を鍛える齋藤孝式「呼吸法」秀和システム」という本の中で書かれていることは、こうした取組を円滑にする一つのヒントになるかもしれません。

「学生時代、アルバイトで新聞のチラシの折り込み作業をやったことがありました。5人くらいで並び、流れ作業の要領で次々とチラシを挟み込んでいきます。流れ作業というと、いかにも退屈で、途中で飽きていやになりそうです。(でも)こうした作業は、5人なら5人の息を合わせないとうまくいきません。リズムがずれると、焦ったりイライラしたりで確かにいやになる。でも慣れてくると全員のリズムが合ってきて、一定のスピードができあがってきます。一種のゾーンに近い、特殊な集中状態に入るのです。真空状態で回したコマが回り続けるように、エネルギーがどこにも漏れず、いつまでも動き続けていられそうな気さえします。こうなると、ほんとうに気持ちがいい。作業はどんどん進むし、疲れることもありません。(一部省略)」

4月27日(火) 川俣高等学校長

相対性の魅力(ドラゴン桜公式副読本より)

理学博士の竹内薫さんは、「ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書 なぜ学び、なにを学ぶのか 講談社」の中で、子どもの理系離れについて次のように述べています。

「そもそも子どもは、宇宙とかブラックホールとかの話が大好きなんです。これは、無限というものに、得体の知れない好奇心を抱くからなんです。私も、子どもの頃、読んだ本に「宇宙飛行士がブラックホールに近づいていっても、無限の時間をかけないとブラックホールの穴の縁には到達しない」とあり、更にそのすぐ後に、「でも、その宇宙飛行士自身は、有限の時間の中で、穴に入っていく」と書いてあるのを見つけて、びっくりした。ふたつの相反する理屈を、どうやって両立させたらいいんだ、と悩みました。こうしたショートしちゃうような知的な状況、これが物理学の魅力です。ブラックホールの話を聞いて、「へぇ、そうなんだ。」で終わってしまったら、物理を面白いと思うきっかけはゼロです。(一部改訂)」

話の中身は少し難しいんだけれども、物理の持つ魅力が竹内薫さんを突き動かした、ということは十分に伝わります。

4月26日(月) 川俣高等学校長

目 標

ずっと先のことを見据えて目標を設定することは大切です。

ただし、遠すぎるために、その目標がかすんでしまうような場合もあります。

そうしたときには、あえて近い将来に目標を定めるのも意外に効果的です。これを、心理学では、スモールステップの原理といいます。

遠くを見ながら歩みを進めれば、道に迷うこともなく目的地にたどり着くことができる一方で、

近くを見ながら歩けば、いろいろなことがよく見え、多くの未知なることを発見できます。

たとえば、来週提出の課題を完璧なまでに完成させるとか、次の授業の予習を丁寧に行うなど、近い将来の目標設定も試みてください。

4月23日(金) 川俣高等学校長

10・10・10の法則(出典 1日1話、読めば熱くなる 365人の仕事の教科書 致知出版社 一部改訂)

帝国ホテルのサービスには、「100-1=0」の精神があるのだそうです。

素晴らしいサービスを展開したとしても、たった1つのミスが生じれば台無し、つまり0になってしまう、ということです。

仕事の厳しさを感じます。

また、「10・10・10の法則」もあります。

信用を築くには10年かかる一方で、その信用を失うのはたった10秒、そして、信用を再構築するのにまた10年かかる、というものです。

物事は人の想定通りにはいかず、よってミスも生じます。その際には、「お詫びとお礼は1秒でも早く」をモットーにしているのだそうです。

私たちの生活にも活かすことのできる考えだと思います。

4月22日(木) 川俣高等学校長.

 

基礎・基本

生徒の皆さんは、基礎・基本を軽視してはいませんか。

写真家の土門拳さんは、写真を撮るときに大切なこととして、まずはレンズのキャップを取ること、と話しています。キャップを取らなければ写真撮影の作業は始まらない、という基本中の基本、当たり前のことではあるけれど、

一方で、私たちは日常において、基礎・基本を無視して、キャップを取ることなくシャッターを押すようなことを

やってはいないでしょうか。

そういえば、千利休もまた、同様に弟子に対して、「稽古とは、一から始めて十を知り、十から返る、もとのその一」

と話しています。

4月21日(水) 川俣高等学校長

夢を磨く、笑顔を作る

今から随分と昔の話です。

経営の神様と呼ばれた、松下グループ創業者の松下幸之助さんが、工場でつまらなそうな顔をして電球を磨いている従業員に、

「あんた、いい仕事をしているよ。」と声をかけたそうです。

「毎日、同じように電球を磨くだけの退屈な仕事ですよ。」と答える従業員に、彼はこう言います。

「本を読んで勉強している子どもたちがいる。でも、夜になると、字が読めなくなってしまう。そこで、あんたの磨いた電球をつけるんや。子どもたちは、夜でも読みたい本を読めるようになる。あんたの磨いているのは電球じゃない。子どもたちの夢を磨いているんや。怖くて通れなかった暗い夜道に、あんたの磨いた電球がついたら、人は安心して、笑顔で通れるようになる。もの作りは、ものを作ったらあかん。その先にある笑顔を作るんや。」

まさに、夢と笑顔に満ちた話です。

4月20日(火) 川俣高等学校長

 

今を大切に考える

生徒の皆さんの中には、すぐにでも取り組まなければならないことを目の前にして、どうしても気乗りがしない、と感じた経験があるかもしれません。これは、心ここに在らず、の状態に陥っているわけです。

心をここに置く、言い換えれば、今を大切に考えることは、学習にも、また、人生においても必要なことです。

孔子は、「心ここに在らざれば、視えども見えず、聴けども聞こえず、食えどもその味を知らず」と話しています。

今を大切に考える姿勢こそ、人生を豊かにしてくれる秘訣の一つです。

4月19日(月) 川俣高等学校長