令和4年度

校長より

異なる

生徒の皆さんはゾウリムシを知っているでしょうか。真核を有する単細胞生物で、身体の周囲にはびっしりと繊毛が生えています。この繊毛が一斉に同じ方向に波打つように動くことで、ゾウリムシは素早く前進することができます。でも、かつて東京工業大学教授であった今田高俊氏は、数本の繊毛が勝手な動きをしていることに気づきます。前進する際には、異分子とも見える、このめちゃめちゃな動きをする繊毛ですが、方向転換をする際には、他の数百本の繊毛がこの繊毛にぴたりと動きを合わせるのです。この数本の繊毛にも、とても重要な任務があったのです。この世に存在しているものはすべて、重要な役割を担っています。

7月20日(木) 川俣高等学校長

仲間の存在

友を持つことの大切さについては、本投稿をとおして何度も話してきたところですが、仲間を持つことについて、生徒の皆さんはどう考えているでしょうか。友との繋がりの原点が友情である一方、仲間の場合、夢や目的が繋がりの原点となります。同じ夢や目的の実現を目指すことが結束力の中心となるため、もしも方向性に違いが生じた場合には、その集団から抜けるなど自由な面も伴っています。関係性にゆるやかさを含む仲間は、気を楽にしながら人間関係を築くことのできる、友にも変わり得る、頼りになる存在です。生徒の皆さん、周囲をよく見渡してみてください。同じ夢や目的を持つ仲間は、想像以上に多くいます。

7月19日(水) 川俣高等学校長

学習効率

一般的に、起床した後の午前中の2~3時間は、脳のゴールデンタイムとされています。睡眠により前日の記憶が整理され、十分な休息も取れていることから作業能率が高まるためです。もともと午前中という時間帯は、脳内物質のセロトニンやドーパミンなどのアミンが優位となり、整合性や気密さ、論理性など高い集中力を要求される作業に向いているともされています。高度で複雑な計算や、冷静さを要する重要な決断などにはこの時間帯を有効活用するとともに、生徒の皆さんには、学習活動に係る目標設定や計画立案などをすることをお勧めします。

7月18日(火) 川俣高等学校長

睡眠中に

人にとって睡眠は重要です。ただ脳を休めるといったこと以上に、睡眠中に大きな発見のヒントを得たとする例は多くあります。たとえば、ベンゼンの亀の甲型の構造式を発見したドイツの化学者ケクレは、ヘビが自分の尻尾を噛んで輪状になっているウロボロスの夢を見て、ベンゼンの六員環構造を発見したとされています。ロシアの化学者メンデレーエフが宇宙にある全ての原子がどういった体系にあるのかを悟ったのも睡眠中であり、化学の教科書にも掲載されている周期表をまとめることができたとされています。もしも目が覚めたときに、生徒の皆さんが昨夜見た夢の一端を覚えていたとすれば、そのことが皆さん自身に大きな影響を与える要素となる可能性も大いにあります。

7月14日(金) 川俣高等学校長

視野の広がり

「白日(はくじつ)山に依りて尽き、黄河海に入りて流る 千里の目を窮(きわ)めんと欲して、更に一層楼(ろう)を上る」と歌った中国の詩人がいます。「太陽は山にかかってその背に落ち、黄河は海に向かって滔々と流れている。その千里の彼方まで見極めようと、楼閣を更に一層上へとのぼった。」という意味の詩ですが、高いところに登ると周囲を見渡すことができる、という、ごく当たり前のことを述べている裏側には、実はもっと深い意味が含まれている、とする人もいます。人は自分の背丈からはあまりものを見ることができないので、もっと先まで見通したいと思うなら、少しでも高いところ、つまり目標に向かって一歩ずつでも歩みを進めていく必要がある、という向上心の尊さを表現している、とする説です。千里の先を窮めたいという強い意思には、人の生き方にも影響を及ぼすほどの力が込められています。

7月13日(木) 川俣高等学校長