令和4年度

校長より

悩 み

自信にあふれた人と比べて、些細なことで悩む自分を情けないと感じることもあるかもしれません。でも、自信は悩みをとおして生み出される、ということを生徒の皆さんは知っているでしょうか。悩んだり傷ついたりするのは、むしろ人である証であり、普通のことです。人の持つ豊かな感性、その中にはこうした悩みも含まれています。人は、自分が痛みを感じることで、初めて他者の痛みを知ることができます。

8月3日(木) 川俣高等学校長

文化発祥

スイスのほぼ中央にシュビーツという街があり、1863年2月から不定期に、街中の人が日本人に扮する日本人劇が上演されているのだそうです。日本を忠実に表現しているというよりはむしろ、アジア全体の要素が取り入れられているようですが、遠く離れたスイスの地で日本人劇が始まったきっかけはどこにあるのでしょうか。スイスは時計を輸出して貿易立国を図っていたことは有名です。日本が鎖国を解き外国に門戸を開いたことで、他国同様にスイスも通商使節派遣を決めたのが1861年とされています。スイス国内で日本に対する関心が急激に高まり、それがシュビーツにも根付き、日本人劇発祥に至ったとも言われています。ちなみに、日本人劇が開催されている期間は、シュビーツの街の方々は皆、日本人を演じながら長い冬の厳しさを忘れ楽しんでいるようです。永く受け継がれ、その地の方々の生活の一部にもなっている文化は、ふとしたきっかけによるものが多いようです。

8月2日(水) 川俣高等学校長

思考法

物事を様々な角度から考えることができるようになると、思考を深めやすいとされています。特に、2つ以上の事柄を比較して考えることで、それぞれの特徴を明確に把握することができます。これを対比思考と呼びます。主観により判断してしまうと偏りが生じるため、相対する事項を比べ合わせることは、物事を第三者的に見る上でも効果があるようです。自分のものの見方が理にかなったことかどうかの適切な判断ができるとともに、対比思考により、発想の拡大、そして問題解決能力の一層の向上も図ることができます。

8月1日(火) 川俣高等学校長

決断の瞬間

人は瞬時を生きており、その中には多くの決断を要する瞬間があります。歴史上有名とされる人は、的確にその一瞬を捉え、そして的確なる決断のできる天賦の才があった、とする指摘もあります。生徒の皆さんにも、間違いなく決断の瞬間は訪れます。その時が輝ける瞬間となるかどうか、それは、それまでに培った教養や知識によります。同時に、その決断が輝けるものであったかどうかは、その時以上に、後になってわかる場合もあります。ナポレオンは「四千年の歴史が見下ろしている。」という言葉を発したそうです。四千年後に自分はどう評価されているのか、その責任をもち行動する、との自戒とも解されています。人生の決断には、常に歴史の重みが伴います。

7月31日(月) 川俣高等学校長

神 妙

ミロ90歳、ピカソ91歳、シャガール97歳など、世に知れた画人には長寿を保たれた方が多くいます。奥村土牛氏101歳、横山大観氏も89歳でした。これは体力以上に、絵を描くことへの執念にも近い気力の充実がもたらしたもの、とも言えます。江戸時代の浮世絵師葛飾北斎氏は、こう記しています。「いま73歳になって、ようやく描くものの生命の在りどころが見えてきた。80歳になれば、ますますこの一筋を進み、90歳でその奥意を極め、100歳では神妙の域に達するだろう。そして、110歳になれば、この筆から描き出される点も、線も、生けるがごときものとなろう」。生徒の皆さん、私たちには、まだまだ伸びしろがあることを痛感しませんか。

7月28日(金) 川俣高等学校長