令和4年度

校長より

理想の人の在り方

論語に、「質文に勝てば即ち野なり。文質に勝てば即ち史なり。文質彬彬として、然る後に君子なり。」という表現があります。質とは人の持つ誠実さ、文とは教養、野とは粗野なこと、史とは、物知りではあるものの心からの誠のない人をいい、また、彬彬とは、美しく調和の取れていることを指しています。つまり、孔子は、生まれながらに持つ誠実心と、後天的に身に着ける教養とが調和した人物を理想的な人と捉えているようです。人としてのバランスを保つことは、いつの時代においても大切なことのようですね。

4月22日(金) 川俣高等学校長

一生涯実行するに値する言葉を問われ、孔子は、「其れ恕か。己の欲せざるところは、人に施すことなかれ」と答えています。恕とは、自分の「心」に対するが「如く」に人に対する思いやり、のことです。歳を取るにつれて、身体には衰えが生じるかもしれませんが、心には永遠に衰えはありません。常にこの言葉を念頭に置いて、人と接する姿勢を持ち続けたいと思います。

4月21日(木) 川俣高等学校長

良 心

昭和22年頃の公衆電話料金は、50銭で利用できる、交換手を介して相手と話をするものでした。でも、50銭硬貨というものはなく、また、10銭硬貨を5枚揃えるのも難しかったので、当時の電話局は50銭紙幣を入れることのできる箱を設置してみたそうです。でも交換手には、利用者が50銭紙幣を実際に箱に入れたかどうかを確認することはできません。信用して電話を繋ぐしかなかったのです。数日後に箱を開けた係員は、驚くべき光景を目にします。料金の収納率は105%だったのです。お釣りが出ないことを知っていながら10円札を入れる人もいるなどしたため、100%を上回る結果となりました。人の目があろうとなかろうと、日本人は揺らぐことのない良心を持っている証です。こうした伝統は末永く受け継ぐものだ、と改めて思います。ちなみに、当時のアメリカでは、「日本人の道義心、恐るべし」と紹介されたそうです。

4月20日(水) 川俣高等学校長

有言実行

国によって人を判断する基準は異なりますが、多くには次の4つの型が見られるようです。第一に有言実行型です。言うまでもなく、最も信頼されるタイプです。次に不言実行型です。言葉を発することはなくても、自分のすべきことについてしっかりと取り組むタイプです。第三に不言不実行型です。言うことも言わなければ、やることもやらないタイプで、周囲からの評価は概ね低くなります。最後に有言不実行型です。やるはずのことに手を付けないわけですから、その穴埋めをするために、周囲の負担はかなり増します。信用の信は、人が言う、と書きます。人は、口に出したことを守る義務があります。生徒の皆さんには、自らの発言に責任を持ち、周囲との良き人間関係を築いてほしいと思っています。

4月19日(火) 川俣高等学校長

時の大切さ

「世の中は三日見ぬ間の桜かな」というように、日々の変化の激しさには驚くばかりです。ほんの少し本を読まずにいれば、考え自体が空疎なものとなってしまうことを言う、「三日 書を読まざれば、その言 含蓄なし」という言葉もあります。このように、時を大切なものとして捉える表現は多くあります。現在は永遠ではありません。中国の詩人陶淵明も、「盛年は重ねて来たらず、一日再び あしたなり難し」とうたっています。青年(盛年)期は、2度はやって来ません。生徒の皆さんの年齢時に学ぶことはたくさんあります。皆さんにとって、毎日が進歩的日々であることを期待します。

4月18日(月) 川俣高等学校長

日本では温帯林が繁茂していたため、かねてより、家や道具に、また燃料としても木が多く利用されてきました。一見すると柔らかく、弱々しくも見える木ですが、法隆寺の修理を担当する宮大工さんによれば、桧の柱は千年以上もの寿命があるとのことです。一方で、法隆寺の改修に必要な桧は日本国内では見つからず、台湾など海外から輸入して対応するとのことです。木の文化は日本の大きな特徴の一つです。私たちの生活に身近な存在である木ですので、これからも大切にしていきたいものです。

4月15日(金) 川俣高等学校長

和よりも積

1957年から1年間、南極観測隊の越冬隊長として昭和基地で業務に関わった西堀栄三郎氏は、個性の強さを基準として11名の人選を行ったそうです。長期間にわたり寝食を共にするメンバーであれば、まずは個人よりも集団を優先するタイプを選びそうですが、西堀氏には一つの信念がありました。「同じ性格の人が一致団結しても、その力はせいぜい「和」の形でしか大きくならない。しかし、異なる性格の人が団結すれば「積」の形となり、その力が格段に大きくなるはずである。」。集団の在り方を考える上で、一つの参考になりそうです。

4月13日(水) 川俣高等学校長

長 崎

坂道の多いことで知られる長崎、そこに住む人は様々な取組や工夫をされているようです。たとえば、引越しのときに、坂道が急すぎるため車を横付けできない家がほとんどなので、横付けできる家の場合には、「車横付け可」が不動産屋さんのキャッチフレーズになっている地域もあるそうです。また、バスの定期券を購入するときには、決まった停留所間を往復分買うものですが、長崎の場合には、往復別々の区間、つまり片道ずつの定期券を買うのだそうです。朝の出勤の際には、自宅を出て坂道を下りて行けるバス停から乗り、帰宅するときには、自宅より高い場所にあるバス停で下り、坂道を下って家に着けるよう工夫しているのだそうです。坂道を意識するのは、何も芸能界に限ったことではなさそうです。

4月12日(火) 川俣高等学校長

生徒の皆さんは、周囲にある物を大切にしているでしょうか。現在のように物に溢れる時代とは異なり、かつて物がなかった頃には、使い古したものを再度加工して使用するのは当たり前で、物に対する意識は相当に高かったと思います。人がそうであるように、物にも命があります。諸行無常という言葉が表すように、物にはすべて命が宿っており、だから変化もします。人と同様に物に対しても、感謝の気持ちや謙虚な心を持って接してみませんか。

4月11日(月) 川俣高等学校長

言葉は戻る

自分の感情の苛立ちから、周囲の人に強い言葉をぶつけてしまう経験は誰にでもあると思います。そうした言葉を発してから後悔することもまた、多くあります。でも、いったん発せられた言葉を消すことは、なかなか難しいものです。そして、自分の後悔にとどまることなく、言葉はそのまま自分に戻ってきます。周囲の人に不快感を与えれば、自分に不快感が戻ってきます。言葉を発する前に自分の心を正す冷静さを持ち、言葉を発した後の行動には責任を持つ、このことを念頭に過ごしたいと常に思っています。

4月8日(金) 川俣高等学校長