令和4年度

2022年6月の記事一覧

百聞は一見に如かず

人の話を百回聞くよりも一度でも自分の目で見た方が、はるかに理解できることを表す諺「百聞は一見に如かず」はよく知られています。でも、百回見るよりも一度でも行動してみると、一層正しい判断ができます。「百見は一行に如かず」です。加えて、きちんとした成果が出れば、苦労も報われます。「百行は一果に如かず」です。生徒の皆さんが、スピード感を持って対応しなければならないとき、そして成果を求めたいときの参考にしてみてください。

6月30日(木) 川俣高等学校長

整 理

生徒の皆さんが、工場で働いていると仮定します。ものづくりの現場は、集団作業により成り立ちます。一人ひとりの個人作業で完結することは、一つとしてありません。前工程の後に自分の作業があり、後工程に引き継がれます。前と後ろの人との連携があって、円滑な作業実践を図ることができます。よって、重要なことは整理整頓です。不特定多数の人が手にするものは、定位置を定め、必ずそこに戻すことが大切です。誰もが素早く、ものを取り出せる環境づくりは、一部、皆さんの学習活動にも応用ができます。学んだ知識は、頭の引き出しに入ります。その際に、知識の出し入れをスムーズにできるよう、引き出しの表面にラベル(タイトル)を貼るイメージを持ってみてください。出した知識を、必ず元の引き出しの中に戻すことで、次に必要なときにも、短時間でその出し入れが可能です。考査日程が迫ってきました。知識の整理整頓の重要性が高まっています。

6月29日(水) 川俣高等学校長

個 性

自らの個性を磨くことにより自らの魅力を十分に発揮できる瞬間は、実にうれしいものです。かつては、個性を前面に押し出し過ぎることを躊躇する時もありました。一方で、他との違いをアピールしすぎるなど、奇抜さを個性として捉えた時もありました。でも今では、個性は尊重されるべき存在という考えがしっかりと定着しています。すべてが全く他と同じことはありません。自分が存在していること、そのことが既にあなたの個性です。身に着けたことを自然に発揮すること、そのことが立派にあなたの個性なのです。「他人と違うことを恐れるな。違いこそが個性を生む。他人は他人、自分は自分。他人の人生を自分が歩くことはできない。自分の人生を他人が歩くこともできない。」評論家佐高信氏の言葉です。

6月24日(金) 川俣高等学校長

身近なもの

中松義郎氏は、世界の発明王と称されるエジソンよりも多くの発明をしたことで知られています。彼が最初に特許を取得したのは中学二年生のときでした。第二次世界大戦中の物資の少ない中、冬でも暖房はありません。暖かくする材料はないか探しに探して、あまりにも身近な空気の存在に注目します。空気を逃げないようにして急速に圧縮すると高熱を発する、と本に書いてあったことを思い出し、シリンダーを作り、足で踏んで中のピストンを動かしてみると、放熱器の部分が触れることができないほど熱くなりました。さらに改良を加え、生み出したのが無燃料暖房装置です。無理だ、ダメだ、を禁句として、あきらめることなく取り組んだ大きな成果です。そして、大きな成果も、そのヒントは、意外に身近なところに隠されています。生徒の皆さんも、周囲にあるものを注視すれば、改善を図るヒントが見つかるかもしれません。

6月23日(木) 川俣高等学校長

納 得

人の話を聞く行為は簡単そうに見えますが、意外に難しいものです。でも、人の話には、参考となることが数多く含まれています。だからでしょうか、優れた指導者や経営者は、例外なく相手の話に耳を傾けます。松下幸之助氏も然りです。ディール・カーネギーも、人を動かすには人の話を熱心に聞くよう勧めています。一方で、人に話す立場で考えてみると、無理に説得を試みても、うまくいかないことに気づかされます。人は説得では動きません。納得して動きます。強制力や報酬、専門性を前面に押し出して話をしても、相手の心には響かないのです。では、何をもって話をするのがよいのでしょうか。一つの要素として、人間性があげられます。相手を信頼できると感じれば、人は自然に、その人のために動いてくれます。

6月22日(水) 川俣高等学校長

目標に向けた取組

何か興味のあることを継続して取り組んでいると、ある瞬間に、飛躍的な質の変化を起こすことがあります。人の潜在意識や深層心理に刻まれた経験値が引き起こすこうした事象を、シンギュラー・ポイントと呼びます。知識の深さも関係はしますが、大切なのは、面白いから一層知りたい、という気持ちを持つこと、そして、その気持ちを持ち続けることです。人の持つ能力を開花させてくれるパワーの源、シンギュラー・ポイントに到達できればできるほど、きっと、楽しさに満ち溢れた生活を送ることができます。

6月21日(火) 川俣高等学校長

新たな道

大正生まれの江頭匡一さんは、アメリカのレストラン王と言われたハワード・ジョンソンの本を読み、レストラン経営に興味を持ちます。まだ、飲食業が東京証券取引所一部に上場されていなかった時代に、彼は日本にも飲食業が定着すると考え、故郷福岡市に一軒の店を構えます。そして、江頭さんは常に、店の経営に関して創意工夫を積み重ねます。人通りの多い交通に便利な場所に店がなければ、人は入りません。でも、そうした場所は土地代が高くなります。そこで、全ての調理をお店でするのではなく、業務を分けることはできないか、と彼は考えます。郊外に広いスペースの調理場を作り、調理したものを各店舗に配ることでコストダウンを図る、セントラルキッチン方式を生み出したのも、そうした創意工夫の一つです。後に彼は、日本の外食産業の先駆者と称されるようになりました。新たな道を創り出すことは楽しいものです。そして、新たな道を見つけ出すヒントは、本の中、日常生活の中、生徒の皆さんの頭の中にあるのです。

6月20日(月) 川俣高等学校長

成功の秘訣

経済界のトップの方に成功の秘訣を尋ねると、周囲の方から信用を得ること、という回答が多く聞かれます。信用を得るために必要なことを問うと、時間を厳守すること、だそうです。お金をかけて一定の時間を節約することはできますが、相手の時間を買うことはできません。時間を貯めておくこともできません。一日24時間は、皆さんに与えられた平等な権利です。一年間の8760時間も然りです。使いたくはないと思っても、時間は流れていきます。時間の有効活用を図るためにも、やるべきことが多くあるのは幸せなことなのかもしれません。

6月17日(金) 川俣高等学校長

間違いの未然防止

やらなくてはならないことを先延ばしして、期限直前にまとめて行ったことで、多くのミスが生じた経験は誰にでもあると思います。会社などにおいてもそうです。締結日が近づいてから多くの承認依頼書等を提出すると、ミスや行き違いが生じ、そのことでやり直しに多くの時間を要することとなります。期限間近にまとめて行う大ロット生産よりも、多少の時間はかかるものの、早期から取り組む一個流し(小ロット生産)の方がミスの未然防止には効果的です。まるで川が淀みなくサラサラと流れていくように、滞りなく仕事が流れていくイメージですね。生徒の皆さんの場合は、試験に臨む際の学習の進め方に当てはまります。大切なのは、言うまでもなく計画性です。間もなくやってくる期末考査に向けて、小ロット生産の実行を図っていますか。

6月15日(水) 川俣高等学校長

兄 弟

孔子の弟子である司馬牛が、兄弟のいないことを寂しく感じる、と話すと、同じく弟子の子夏が孔子の言葉として、「己を慎み深くして過失のないように努め、人との交際はうやうやしい態度で礼儀正しくするならば、天下の人々も、兄弟同様に温かく接してくれる。」と伝えます。「四海皆兄弟(けいてい)たり」という言葉が、まさにそれにあたります。今から2500年前の、孔子と弟子との問答などを集めた論語には、現代にも通じる、人や社会の在り方についての記述が多くあります。

6月14日(火) 川俣高等学校長

達成感

ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンは、ドイツのボンで生まれます。宮廷オルガニストの指導を受け、技術力の向上とともに、彼の中に、自由と平和の考えが築かれていきます。26歳の頃に耳の病に罹りますが、第五交響曲「運命」など、代表的な作品の多くは、この後に生み出されたものです。最後の交響曲となる第九交響曲「合唱付き」では、その素晴らしさから、演奏後に、満員の観客から嵐のような賞賛の拍手が寄せられ、歌手ウンガーとともにその成功を喜び合った、とされています。彼の人生に係る達成感の大きさ、そして満足感の深さは相当のものであった、と推察されます。「諸君、ご喝采を。劇は終わったよ。」との言葉を残し、彼は永遠の眠りにつきます。

6月10日(金) 川俣高等学校長

思いの深さ

長野県伊那群中川村出身の写真家宮崎学さんは、中学校を卒業するとカメラ工場に就職し、カメラの交換レンズの組立て作業を担当します。毎日、ベルトコンベアで流れてくる磨き上げられたレンズを見ているうちに、子どもの頃に地元の自然の中で見た、動物の眼の輝きを思い出すようになります。カメラで生き生きとした動物を撮ってみたい、特に、幻と言われるニホンカモシカに接してみたい、と強く思うようになりました。その思いを叶えるために、宮崎さんは山岳会に入り、登山の基本を学び、山登りに励むようになります。そして、2年が経過した頃、中央アルプスの尾根から下に広がる灌木の中に、褐色のニホンカモシカを見つけます。でも、遠方からでは、生き生きとした写真とはなりません。そこで、宮崎さんはニホンカモシカの生態を知る必要性を感じ、毎日のように山に入り、朝から晩までニホンカモシカを追い、その行動を調べます。ついには、その一つひとつの仕草の意味まで理解できるまでになりました。ニホンカモシカの行動を事前に読むことができるようになったために、信じられないくらいの「生きた」写真を撮れるようになりました。「山に生きるニホンカモシカ」など、多くの写真集を出版され、後に、「動物と話せる男」とまで称されるようになりました。

6月9日(木) 川俣高等学校長

自己改装

お店であれば、数年に一度、多くの業者により店舗改装をすることはあります。では、人はどうやって改装(成長)するのでしょうか。自分の力により行うしかありません。こうした自己改装(自己成長)には、自己啓発と多くの教養を要します。でも、自己改装により、自分の持つ人間力が大きく増します。人間力の向上により、自身の魅力も増します。そして、まさに今取り組んでいる学習も、自己改装の原動力になります。一層輝ける存在となるよう、学習活動の継続を図ってほしいと思います。

6月8日(水) 川俣高等学校長

私たちの生活に必要な水は、空からもたらされます。雨の素となる大気中の水蒸気は、地球全体に平均25ミリの雨を降らす量に相当します。年間では1000ミリの雨が降ることを考えると、365日の中で40回の循環をしていることがわかります。地球に降った雨は、9日経つと再び水蒸気となり、空に戻るわけです。この9日という短いサイクルの中で、水は、私たちの生活に潤いを与えてくれているのです。家庭にある水道も、空の水道も、どちらも大切にしたいものです。

6月6日(月) 川俣高等学校長

進 化

人工知能やコンピュータの進化は目覚ましく、特定分野では、人の能力を超えるレベルにまで達しています。では、人はいつの日か、自らが作り出した人工知能やコンピュータに凌駕されてしまうのでしょうか。そんなことはないと思います。ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈博士は、「人には欠点があるものの、むしろ欠点があるからこそ、人は進化する。」と話されています。欠点による不安定さの中にこそ、創造性が秘められています。自分の気づかない欠点を指摘されたとしても、下を向く必要はありません。まだまだ伸びる可能性がある、ということがわかったのですから。

6月3日(金) 川俣高等学校長

自らを磨く

学校を巣立ち、社会に身を置くときには、自らの判断力やコミュニケーション能力が求められます。生徒の皆さんは、学習活動をとおして、そうした自己力を高めています。やるべきことを疎かにして、自己力育成を図ることはできません。また、自己力のないまま仕事に向き合うことは、仕事に対しても失礼なことです。一方で、陽明学には事上磨練(じじょうまれん)という言葉があるように、仕事は、自らを一層磨く場でもあります。自己力が高まれば、毎日の仕事を、心の底から楽しむことができます。

6月2日(木) 川俣高等学校長

庭 訓

孔子の子である伯魚が庭に佇む孔子の前を通ると、孔子は、「詩を学んだか。詩を学ばねば、人と立派に処することはできない。」と話しかけます。またあるとき、庭にいる孔子の前を通ると、孔子は伯魚に対して、「礼を学んだか。礼を学ばねば、立派に世に処することはできない。」と話されます。庭での教えから、庭訓(ていきん)という言葉が生まれました。「君子はその子を遠ざくる」とあるように、本来、君子は我が子を遠ざけるものですが、庭訓から、孔子の、父としての一端を垣間見ることができます。親であれば、我が子を思います。発する言葉が少なくても、その中には、深い思いが込められています。生徒の皆さんは、保護者の方の話に耳を傾けていますか。

6月1日(水) 川俣高等学校長