令和4年度

2021年10月の記事一覧

真の価値

私たちは、多くのするべきことを抱えて生活しているので、どうしても目先のことに注意のすべてを向けてしまいがちです。でも、目先の有効性と比較すると、遠い将来において必要とされるもの、その価値は非常に大きなものです。では、そうした真の価値はどこにあるのか。また、どうやってそれを見つけるのか。韓非子には、「道は見るべからざるに在り、用は知るべからざるに在り」とあります。一見すると無駄と思われるものであっても、じっくりと吟味すると、そこには深い役割があり、また尊い価値もあります。さしあたって役に立たないと思われることの集積が、将来の自らの人生を形作ることもあります。裏に隠れて表面上には出ていないもの、それを見つける力が求められています。

10月29日(金) 川俣高等学校長

小さな親切運動

昭和37年度の東京大学卒業生に向けた当時の学長さんの話の中に、「小さな親切にも心を配ろう」との提唱があり、その実践を図った高等学校の一つに、群馬県の明和高等学校がありました。通学時に、各生徒が自主的に、電車やバスの中で席を譲る活動を始めたそうです。この日常生活のごく自然な取組は、これもごく自然に上級生から下級生に受け継がれました。席に座ることのできた方々からの「ありがとう。」の一言に支えられ、約15年程前に閉校となるまで、百万回をはるかに超える活動として定着したそうです。誰が決めたわけでもない、自らの真の思いの下、行動すれば、周囲の方々に大きな喜びを届けることができそうです。

10月28日(木) 川俣高等学校長

鏡から学ぶ

生徒の皆さんは、一日に何度か鏡を使うことと思います。映し出される自分の姿を見て、何を思うでしょうか。鏡は、自分を客観視できる貴重な道具です。さて、話は変わりますが、日本の古典芸能である能は、能役者が面をつけ、台詞のない、しぐさで演じる極めて精神的、象徴的な劇と言えます。よって、能役者には優れた心と、その心を形として表現する演技力が求められます。能役者は、舞台につながる鏡の間において舞台への出を待ちます。鏡の間には、その言葉通り壁に鏡がかけられており、役者は自分の姿を映し衣装を整えるとともに、静かに心を正すのだそうです。コンパクトな鏡を持ち歩き、自らの姿を確認することも大切である一方で、心の中に鏡を備え、自らの心を映しながら、正しい考え方を求めることもまた大切です。

10月27日(水) 川俣高等学校長

中 庸

私たちは、大小を問わず無意識のうちに、すべての勝負に勝ちたいと願う傾向にあります。そういえば、白黒(しろくろ)をつける、または黒白(こくびゃく)をつける、という言葉もありますね。これは、囲碁に例えた表現です。でも、その囲碁の世界では、先手後手が最善を尽くし、最後には持碁(黒白の面積が同じ)になること、これを理想的な対局とする考えもあるのだそうです。どちらに偏ることもない中庸の考えは、現代においても必要とされています。

10月26日(火) 川俣高等学校長

課題解決

歴史的に成功したと言われる人は、あきらめないことの大切さを強調します。成功した人は、多くの人が感じる、「無理だ、だめだ」の感覚を持ちません。加えて、多くの人が、後々のことを考えて余力を残すのに対して、ここぞというときに、最後の1%まで躊躇なく力を出し切ります。私たちは、全力を尽くして課題解決を図ろうとしているように見えて実は、課題と正面から向き合うことなく、ただ課題解決の先送りをするために、多くの時間とエネルギーを費やしているのかもしれません。こうした場合に大変貴重なもの、それは、自分を客観的に見てくれる友からのアドバイスです。

10月25日(月) 川俣高等学校長

断捨離

物を捨てることを想像してみてください。これまでの努力や苦労、楽しかったことなど、思い出のあるものであればあるほど、捨てる際には当然悩みます。過去のものを捨てることで得られるもの、それは未来です。成功するのかしないのか、定かではない未来に向かう際の一抹の不安も、捨てる行為の妨げになります。でも、「坐忘」という禅の言葉があります。古いものを捨てなければ新しいものは手に入らない、という意味の言葉です。未来に向かう試みの過程で、たとえ失敗したとしても、それは成功のもとになる。その繰り返しが大きな成功につながる。時代の変革期には特に、坐忘の考えは重要です。

10月22日(金) 川俣高等学校長

最も重要なこと

生徒の皆さんは、何かを考え、何かを信じ、何かを知ることで安心してはいませんか。こうした行為は大切なことではありますが、本来の目的とは異なります。最も重要なこと、それは、こうした行為を基にして何をするか、です。

10月20日(水) 川俣高等学校長

3ワーク

生徒の皆さんが、自らの進路目標の達成を目指すときに必要とされること、その第一は知識の定着です。教科書等を活用するこうした学習活動は、ヘッドワークと呼ばれます。第二としては、志望する大学や会社についてよく知ることがあげられます。情報を活用したネットワークです。そして第三に、同じ環境にある友人とのチームワークを要します。一人で行うヘッドワークやネットワークには限界があることから、それぞれの得意分野を持つ者同士が教え合うチームワークは、特に有効です。自らが「一を聞いて十を知る」存在となることと同じくらい、「十を知る人」から教えてもらうことは、理解の一層の深化を図ることができます。受験はチームワーク、と言われる所以はここにもあります。

10月19日(火) 川俣高等学校長

勇 気

新しい局面を迎えるとき、誰でも躊躇します。でも、新たなことに取り組むことができる、これは幸せなことです。自身の進歩がなければ、何の変化も生じません。自身の進歩があるからこそ、新しい局面を迎えることができます。常に、新たなことに挑戦し続ける勇気を持ちたいと思っています。詩人のゲーテは、次のように述べています。「名誉を失うのは、多くを失うことになる。でも、勇気を失うのは、すべてを失ったことになる。」

10月15日(金) 川俣高等学校長

魅 力

人から尊敬される存在になるためには、何が必要でしょうか。多くの知識に加えて、相手を思いやる優しい気持ち、意思決定力、そして行動力も要します。こうした様々な事象が重なり合って、徐々に人の魅力は形成されていきます。そういえば、人を引き付ける魅力(attraction)には、行動(action)という単語も含まれていますね。

10月14日(木) 川俣高等学校長

心の時間

現代では特に、私たちの行動は、その多くを時間により拘束されている感があります。その時間とは、いわゆる時計の時間を指しますが、一方で心の時間も存在する、と、心理学者の一川誠氏は指摘しています。時計が表す時間に対して心の時間は、人の心理状態や体調、置かれている環境など様々な要因により、時の進み方が人それぞれに異なるのが特徴です。こうした時間の持つ側面を念頭に置くことで、他者と時間の共有化を図る際にもお互いを気遣うことができます。相手に対する思いやりも生まれます。

10月13日(水) 川俣高等学校長

感受性

作家の独創性から生み出される漫画。随分以前になりますが、その生みの親の一人である漫画家はらたいらさんは、「創造的で面白い生活を送るためには、心の中の受信機、つまり、ものの感じ方や捉え方を磨き、この世界に飛び交っている見えない電波を心でキャッチすることが肝心」と話されていました。生徒の皆さんの周囲には、電波を発する存在として保護者の方や先生方がいます。その電波を是非キャッチしてほしいのです。学問的な面で、人間性の面でその電波をしっかりと捉え、自らの受信機に収めてほしいと思います。

10月8日(金) 川俣高等学校長

偶然の発見、必然の発見

ペニシリンは、イギリスの細菌学者アレキサンダー・フレミングによって発見されました。ブドウ状球菌を培養していた皿の一つに青カビが生え、その周りのブドウ状球菌を溶かしているのを偶然目にしたことによるものでした。こうした偶然を見逃すことなく発見できた背景には、フレミングの日頃からの意識の高さがある、とも考えられます。観察の領域においては、偶然は予め備えた人にしか幸いしない、と言われます。生徒の皆さんも、周囲に目を配り、気を配り生活することにより、何らかの新たな発見ができるかもしれません。自らの努力により発見した事象は、たとえそれが小さなことであったとしても、うれしいものです。

10月7日(木) 川俣高等学校長

他者の喜び、自分の喜び

受験など進路目標達成に向けた取組は、よく団体戦と言われます。不安を感じる友人を励まし、時に心の支えとなるなど、皆の力で環境作りに努めることからそう言われます。団体で取り組む意義は他にもあります。他者の喜びの中に、自分の喜びも見出すことができます。お互いの強い信頼関係の下、全員の進路目標達成を図ることができたとき、このクラスでよかったな、この学校でよかったな、と心から思えるし、また、そう思えたら最高の幸せです。

10月6日(水) 川俣高等学校長

情報判断

情報化社会の現在、資料として表やグラフが多用されます。その際に、気をつけてほしいことがあります。調査対象となった母数はどのくらいあるのか、または、表やグラフの目盛りや単位はどの程度なのか、等のことについても、是非確認してほしいのです。ほんの数十件の調査対象であったとしても、パーセント表記をすることで、あたかも世の中全体がそうなっているかのように見せることもできます。私たちに求められること、それは情報の正確な判断力です。

10月5日(火) 川俣高等学校長

悩むか、それとも考えるか

社会人になると、新たな企画等を求められるケースがあります。でも、何日かけても良いアイディアが浮かばない、ということもあります。どうしてでしょうか。様々な要因の中で一つあげられるのは、ただ悩んでいるからです。悩みとは、解決策が見つからず、自分の持つ情報や付随して生じる感情が頭の中でぐるぐると回っているだけ、ただ現状に困っていることを指します。一方で、考えることにより打開策は生まれます。この行為は、まず考える対象となる課題があり、それに対する分析や解釈、検証というプロセスを踏みながら行われます。まさに、適切に頭を働かせる活動なのです。今月に行われる本校の校内文化祭企画に係り、生徒の皆さんは、何にしたらよいのか、ただ悩んではいませんか。

10月1日(金) 川俣高等学校長