令和4年度

良 心

昭和22年頃の公衆電話料金は、50銭で利用できる、交換手を介して相手と話をするものでした。でも、50銭硬貨というものはなく、また、10銭硬貨を5枚揃えるのも難しかったので、当時の電話局は50銭紙幣を入れることのできる箱を設置してみたそうです。でも交換手には、利用者が50銭紙幣を実際に箱に入れたかどうかを確認することはできません。信用して電話を繋ぐしかなかったのです。数日後に箱を開けた係員は、驚くべき光景を目にします。料金の収納率は105%だったのです。お釣りが出ないことを知っていながら10円札を入れる人もいるなどしたため、100%を上回る結果となりました。人の目があろうとなかろうと、日本人は揺らぐことのない良心を持っている証です。こうした伝統は末永く受け継ぐものだ、と改めて思います。ちなみに、当時のアメリカでは、「日本人の道義心、恐るべし」と紹介されたそうです。

4月20日(水) 川俣高等学校長