令和4年度

2022年2月の記事一覧

SNS疲れ

スマホユーザーが増えるにつれて、SNS疲れを感じる人の割合も増加しています。ある調査によれば、SNS疲れの経験があると答えた人は全体の42.7%、20代女性では65%にもなった、とのことです。SNSは心理的距離を縮めるのに大きな効果を発揮する一方で、その距離感が近くなりすぎると、トラブルの原因にもなります。そういえば、心理学では、ヤマアラシジレンマという概念があります。寒さの中、2匹のヤマアラシがいます。離れていると寒いので近づこうとすると、お互いの針が相手に刺さって痛みを感じます。離れたり近づいたりを繰り返しながら、ちょうどよい適度な距離感を見つける、といったものをそう呼びます。私たちが日常生活を送る際にも、こうした概念を念頭に置く必要がありそうです。

2月17日(木) 川俣高等学校長

守破離

茶道や武道などにおける学びの姿勢を示すものとして、守破離(しゅはり)という言葉があります。守とは、型を守り基本に忠実に行うこと、破とは、型を破り創意工夫により他のやり方を学ぶこと、そして離とは、型を離れ独自性を打ち出すなど新たな型の創造を図ること、を表現しています。この考えを、4月より社会人となる3年生の皆さんに当てはめると、次のようになると思います。守として、仕事の基本を学び、言われたようにできるようにする。破として、教わったことに加えて独自に学ぶなどして、新たな仕事の領域に挑戦する。離として、教わったことを発展させたり応用したりして、自からの取り組み方を開発する。時間はかかるかもしれません。むしろ、時間をかけてもいいのです。社会人として常に念頭に置き、確実な歩みを進めてほしいと思います。

2月16日(水) 川俣高等学校長

新しい出発

水上勉氏は、9歳で親元を離れお寺に入るなど、様々な経験をされた後に作家になられた方です。彼のエッセイ「くも恋の記」には、「心構えについて、たった一つだけ言っておきたいことがある。それは、挫折は何度でもやって来る、ということである。社会というところは、人生に挫折を与えるよう仕組まれている。この挫折という危機を越える人は大きくなる。一つ一つ、自分の劣等感を克服するチャンスを与えてくれる挫折は、まさしく新しい出発にもなる。」と記されています。誰もが経験したくはない挫折に、新たな出発点という意味合いが含まれていると知れば、その克服を図るエネルギーも湧いてきます。

2月15日(火) 川俣高等学校長

大器晩成

作家の深田祐介氏は、26歳のときに小説「あざやかな人々」で文学界新人賞を受賞しますが、その後、苦労の時期が長く続きました。会社勤めをする一方で、悩みながらも休日には原稿用紙に向かう生活を続けていた深田氏に対して、親交のある作家井上靖氏は、「20代で成功を収めるという意識を断ち、しばらくは筆を折って、もう一度チャンスがあったら出直すくらいの気持ちでいいんじゃないか。」とアドバイスを送ったそうです。深田氏が再びペンをとったのは40歳のとき、そして、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したのは44歳のときです。「天才でもない自分が晩成するというのは、たとえ挫折という精神的な苦痛を経ても、愚直なまでにこだわりを持ち続け、自分の能力を開花させる技術を磨くことにつきる。」と、彼は話しています。私たちの生き方にも、大いに参考になる言葉です。

2月14日(月) 川俣高等学校長

五十歩百歩

孟子による有名なたとえ話「五十歩百歩」は、生徒の皆さんもよく知っていることと思います。五十歩と百歩のどちらも逃げたことには変わりがない、という意味で、大差ないことを指す比喩として使われる表現です。もちろん、その意味は十分に理解した上で、あらゆる場面で程度の差を完全否定することへの、少しだけ躊躇の念があるのも事実です。人が行うことには、完璧ということはあまりありません。完璧とは言えない小さな努力にも、大きな意味があります。「5ではないという点において、2も3も同じである。」という論理は、成り立たない場面も多くあるのではないか、とも思います。特に、教員である私たちには、常に持つ必要のある概念なのかもしれません。

2月10日(木) 川俣高等学校長