令和4年度

大器晩成

作家の深田祐介氏は、26歳のときに小説「あざやかな人々」で文学界新人賞を受賞しますが、その後、苦労の時期が長く続きました。会社勤めをする一方で、悩みながらも休日には原稿用紙に向かう生活を続けていた深田氏に対して、親交のある作家井上靖氏は、「20代で成功を収めるという意識を断ち、しばらくは筆を折って、もう一度チャンスがあったら出直すくらいの気持ちでいいんじゃないか。」とアドバイスを送ったそうです。深田氏が再びペンをとったのは40歳のとき、そして、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したのは44歳のときです。「天才でもない自分が晩成するというのは、たとえ挫折という精神的な苦痛を経ても、愚直なまでにこだわりを持ち続け、自分の能力を開花させる技術を磨くことにつきる。」と、彼は話しています。私たちの生き方にも、大いに参考になる言葉です。

2月14日(月) 川俣高等学校長