令和4年度

校長より

句の心

松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を詠んだ山寺、立石寺は山形県にあります。多くの観光客は、大型バスで到着すると山のふもとを散策し、それほど古くはない句碑を眺めた後に、次の観光地に向かってしまうのだそうです。頂上にある奥の院までは、急な坂を1時間程登り続けなければなりません。それを避けて現地を一望すれば十分、と考えるのは、少しもったいない気がします。芭蕉の句の心に真に触れるには、山門をくぐって樹林の中に立ってみることが肝要と思います。来月には修学旅行があります。多くの場所を巡る中で、こうした句の心に触れる機会を大切にする旅であれば幸いです。

12月14日(火) 川俣高等学校長

もうとまだ

生徒の皆さんが試験問題を解いていると仮定します。「残り、もう5分しかない」と感じれば、多少の焦りが生じていることになります。一方で、「残り、まだ5分ある」と感じれば、少し余裕もありそうです。時間の捉え方一つに限っても、「もう」と「まだ」には大きな差があり、そのことが、結果にも大きく反映します。皆さんが「まだ派」となるためにも、常に計画的な取組を行うこと、強靭な精神力を培うこと、そして、工夫改善を図る姿勢を持ち合わせることを望みます。

12月13日(月) 川俣高等学校長

広さと深さ

「広く浅く」または「狭く深く」といった表現を耳にします。広さと深さに関しては、どちらかのみ成立する感覚で捉えられていますが、実際にはどうでしょうか。知識について言えば、広く深い知識を持っている人は多くいる、と感じます。深く知ろうとすれば、自然に広くなっていくことになるし、一方で、広く知ろうとすると、自然に深くなってしまう、これは当然です。様々なことがつながっているために新たな世界が広がり、また、そうしたつながりを知ると、知識の奥深さを感じ取ることができます。ここにこそ、知識習得の面白さがあります。

12月10日(金) 川俣高等学校長

現存するもの

皆さんが例えば、ペットボトルの良い点をあげるよう問われたら、いくつ答えることができますか。「液体が漏れない」「片手で持つことができる」「静置できる」「リサイクルできる」など、比較的多くの回答が浮かぶことと思います。このように、存在するものには必ず大きな価値や大きな意味がある、このことは前に書いたとおりです。その一方で、消えていったものにも、その理由があるはずです。ペットボトルに関して言えば、以前に、細くて長方形型のスリムペットボトルという商品開発がなされました。カバンにも入れやすく、見た目もスッキリとしていたためにデザイン大賞も受賞しましたが、あまり普及しませんでした。お店で売る際には問題はないのですが、長方形型のため転がらず、自動販売機には入れられないことが原因でした。そういえば、自動販売機では、お茶の多くは缶ではなくペットボトルで売られています。以前は缶であったのに、どうして変わったのか。加熱用ペットボトルの開発がなされたことも要因の一つですが、加えて、お茶は、コーラのように一気に飲む類のものではないため、フタを閉めることができるペットボトルタイプの方が便利、という理由もあるようです。こうして考えてみると、皆さんの周囲にあるものは、様々な課題を一つ一つクリアした、素晴らしいものばかりであることに改めて気づかされます。現存するすべてのものを、大切にしないわけにはいきません。

12月9日(木) 川俣高等学校長

 

 

百聞は一見に如かず

百聞は一見に如かず、この言葉は、「百聞は一見に如かず。百見は一考に如かず。百考は一行に如かず」と続くのだそうです。ただ見るだけではなく、「その意味やその先を考えよ。そして考えたら行動せよ。」ということから、思いつきではなく深謀遠慮した後の行動が大切である、との伝えと理解しています。この心構えは、私たちの日常生活の中でも多く取り入れる場面がありそうです。

12月8日(水) 川俣高等学校長