令和4年度

現存するもの

皆さんが例えば、ペットボトルの良い点をあげるよう問われたら、いくつ答えることができますか。「液体が漏れない」「片手で持つことができる」「静置できる」「リサイクルできる」など、比較的多くの回答が浮かぶことと思います。このように、存在するものには必ず大きな価値や大きな意味がある、このことは前に書いたとおりです。その一方で、消えていったものにも、その理由があるはずです。ペットボトルに関して言えば、以前に、細くて長方形型のスリムペットボトルという商品開発がなされました。カバンにも入れやすく、見た目もスッキリとしていたためにデザイン大賞も受賞しましたが、あまり普及しませんでした。お店で売る際には問題はないのですが、長方形型のため転がらず、自動販売機には入れられないことが原因でした。そういえば、自動販売機では、お茶の多くは缶ではなくペットボトルで売られています。以前は缶であったのに、どうして変わったのか。加熱用ペットボトルの開発がなされたことも要因の一つですが、加えて、お茶は、コーラのように一気に飲む類のものではないため、フタを閉めることができるペットボトルタイプの方が便利、という理由もあるようです。こうして考えてみると、皆さんの周囲にあるものは、様々な課題を一つ一つクリアした、素晴らしいものばかりであることに改めて気づかされます。現存するすべてのものを、大切にしないわけにはいきません。

12月9日(木) 川俣高等学校長