令和4年度

校長より

歴史を知る

日本の文化や伝統を知るにはどうすればよいか、生徒の皆さんは考えたことがありますか。そんな大層なこと、と思わないでください。小林秀雄さんは以前、「日本の二千年の歴史は、君のこの体に流れている。君が自分自身を大事にすることは、歴史を大事にすることになる。だから、歴史を知ることは、自己を知ることになる。」と述べられました。そういえば、日本の古典には、「大鏡」など鏡という文字が付くものが多く見られます。これらの歴史書に鏡を付けたことで、かねてより、日本人が歴史を、自らの姿かたちを映し出す鏡、と考えていたことがうかがえます。歴史を学べば自分の本当の姿が見えてくる。時間のあるときにちょっとでも、こうした歴史書をひも解いてみるのもいいかもしれません。

1月5日(水) 川俣高等学校長

ゆっくり急げ

ゆっくり急げ、この逆説的表現は、ローマ初代皇帝アウグストゥスが日常的に好んで使った言葉です。何事によらず少しでも先へ先へと急ぐ人は、かえって手間取ったり失敗したりする、という戒めです。日本でいう「急いては事を仕損じる」に似た言葉は、他にも、イギリスの「急ぐときほどゆっくりせよ」や、イタリアの「ゆっくり行く者が遠くまで行く」、あるいはドイツの「あわてる者から、良いものの生まれたことはない」など、世界中にたくさんあります。生徒の皆さんは、たとえば、教科書にある問題の解答のみ求めてはいませんか。また、総合的な探究の時間の際に、探究活動以上に、目的達成に重点を置きすぎてはいませんか。ゆっくり急げ、この精神もお忘れなく。

1月4日(火) 川俣高等学校長

精 進

三冬枯木花(さんとうこぼくのはな)という言葉があります。12月、1月、そして2月という冬の3か月(三冬)に、枯れ木が花を咲かせることを表現しています。「枯れ木であっても、そして最も厳しい環境下であっても、内に秘めた力により花を咲かせることができる。人も同じで、花を咲かせようとする精進や努力を忘れてはいけない。」という戒めです。生徒の皆さんには、学びをとおして得た、知識というエネルギーをたくさんため込み、どんなときにも心に花を咲かせることのできる、そうした存在になってほしいと思っています。

12月28日(火) 川俣高等学校長

衝 突

人と自分の意見が合わないとき、皆さんはどうしますか。もちろん、自分の正当性を主張する姿勢は大切ですが、一方で、そうした主張が強すぎるあまり、人間関係を損ねることは避けたいものです。相田みつをさんの書詩集「雨の日には/雨の中を/風の日には/風の中を」には、次のような言葉が紹介されています。「セトモノとセトモノ ぶつかりっこするとすぐこわれちゃう どっちかやわらかければだいじょうぶ やわらかいこころを持ちましょう」

12月27日(月) 川俣高等学校長

時間の有効活用

時は金なり、時を得る人は万物を得る、など、時間の大切さを伝える言葉は多くあります。人の平均寿命から考えると、睡眠や仕事など必要とされる時間を差し引くと、いわゆる自分の自由時間は約20年分との試算があります。これを長いと見るか、意外に短いと見るかは別として、少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず、という南宋時代の学者朱熹の言葉を待つまでもなく、その瞬間瞬間に、一生という現実の持つ時の重みを感じずにはいられません。時間の捉え方は様々です。一日を24時間とする以上に、50時間にでも、100時間にでも変えることができます。時間の有効活用を丁寧に行う心を常に持ちたいと思います。

12月24日(金) 川俣高等学校長