令和4年度

校長より

人に好まれる

性格心理学を研究されていた東京都立大学託魔武俊教授は、周囲から好まれる人の本質を次のように分析されていました。「総合的に見て、好まれる人には2種類あります。1つは、心の底から湧き出るエネルギーがあり、明るく積極的に生きていこうとする意欲を持つ人です。これを前向きの構えといいます。もう1つは、内面を見る目を持つ人です。静かに自らを凝視し、自分はこれでいいのか、常に自らに問い質す姿勢を持ち合わせている人です。」言われることはよく理解できるものの、実際に取り組もうとすると、難しそうですね。でも、毎日少しずつでも実践を図ろうとすることこそ、大切なのかもしれません。

2月2日(水) 川俣高等学校長

失敗後の対処

茶人である千利休のところに豊臣秀吉が訪ねてくるため、総出で準備をし、すべてが整ったそのときに、小坊主が花を生ける器の花生(はないけ)を落としてしまい、その口のあたりにひびが入ってしまったそうです。別の花生を用意する時間もなく、思案した千利休が取った行動、それが、花生のふちを縁側の端に叩きつけ、さらに大きく斜めにひびを入れ、その裂け目に花を生ける、といったものでした。その風情は、また違った新鮮な美しさを醸し出し、豊臣秀吉を大いに喜ばせたそうです。失敗を積み重ねてこそ人は大きくなれる、といいます。加えて、大切なのは、失敗の後の対処の仕方です。冷静な判断の下、これまでの経験を結集した対応ができれば、想像もしなかった良い結果をもたらすことにもなります。

2月1日(火) 川俣高等学校長

体 格

時代を追うごとに、人の平均身長は伸びていると考えがちですが、意外にそうではありません。桃山時代まで、日本人男性の身長は平均160センチ以上あったとされていますが、江戸時代になると徐々に低くなり、最も身長の低いときが幕末で、155センチであったとの調査もあります。その要因として、江戸時代の肉食禁止措置や雑穀中心の食事等により、人が慢性的なタンパク質不足に陥っていた、という時代背景が関係しているようです。ある事象には必ず、それを引き起こす要因があります。生徒の皆さんも、周囲にある事象に目を向けてみてください。それは、偶然にそこにあるのではなく、確固たる理由の下、そこに存在しているのです。

1月31日(月) 川俣高等学校長

知識と情報

生徒の皆さんは授業をとおして新たな視野が広がったときに、心の底から喜びを感じると思います。知識は生きる上で大切なものであり、また、自らを守ってくれるツールでもあります。そして、知識を吸収する際には多くの情報を必要としますが、ネットに溢れるそれは玉石混淆であり、中には強い思い込みによる偏った主張も含まれているのが現状です。自らの判断を適切に行うためにも、情報の内容を見極める力が求められています。そして、問題の背景に横たわる本質を追求するためにも、本校の授業をとおしてそうした力の育成を図るなど、知的探求心を常に持ち続ける生活を送ってほしいと思っています。

1月28日(金) 川俣高等学校長

親 指

英語では、He has eight fingers.と表現することがあります。数が合わないのは、親指をthumbという別の語として扱うことによるものです。日本語では、その表現からもわかるように、親指を重視する傾向がある一方で、英語圏では、thumbはfingerほどには思われていないようです。His fingers are all thumbs.とは、「彼は不器用です。」という表現であることからも、そのことがうかがえます。どうしてそうした表現を使い、どうしてそうした意味を持つようになったのか、その歴史的・文化的背景を知ることで、一層、知識の深化を図ることができそうです。生徒の皆さんも、身近な言葉から、文化の違いを感じ取ってみませんか。

1月27日(木) 川俣高等学校長