令和4年度

2022年1月の記事一覧

合理的な解を導く

私たちがよく目にするGoogle、この入社試験に、「シアトルにあるすべての窓ガラスを拭くとして、あなたはどのくらいの代金を請求しますか。」という問題が出たことがあるそうです。清掃業者でもないし、ビル会社に勤務した経験もない、だから答えられるわけがない、と思いますよね。求められているのは完璧な正解ではなく、知識として持っている脳内データから、いかにして合理的な解を導き出せるか、だと思います。たとえば、居住人口や世帯数から窓の数を想定したり、1軒の窓拭きを、何人の人手で何分で終了させる、との仮定から全体では何時間かかる、などと考えていく、その考察のプロセスこそ重要とされるのです。学習をとおして知識を入力するだけではなく、その知識を活用して出力させる、このことの重要性と同じです。ちなみに、前述した入社試験の解答の中には、「シアトルは雨が多いので、雨がガラス窓をきれいにしてくれる。だから代金は無料。」といったものもあったそうです。その方が採用になったかどうかは、定かではありません。

1月12日(水) 川俣高等学校長

姿 勢

就職をした当初には、作成されたマニュアルなどに沿って、その仕事内容の説明を受けることと思います。でも、そうした形あるものから学ぶ以上に大切なこと、それは、仕事に向かう先輩方の姿勢です。集中して取り組む先輩方の様子を感じ取ることができれば、それは間違いなく、生徒の皆さんに最適な仕事と言えます。彫刻家の平櫛田中氏のように、「わしがやらねば、たれ(誰)がやる。いまやらねば、いつできる。」といった気概を先輩方から学ぶことは、皆さんにとって大変幸せなことと思います。マニュアルは時代の変化に応じて書き換える必要がありますが、仕事に向かう姿勢は、いつの時代も変わることのない存在です。

1月11日(火) 川俣高等学校長

最適解

将棋に魅力を感じている人は多くいます。そして、アマチュアの方の中には、一瞬で100手先まで読むことができる人もいるそうです。では、プロであればどうか。羽生善治氏によれば、大山康晴名人は晩年、あえて5手先以上は読まなかった、とのことです。パターン化思考が定着すると、直観を重視して将棋を指したとしても、それはそれで当たるようになるのだそうです。プロは最適解になりそうな候補を絞り込むことに長けており、一方でアマチュアの方には、容易にその手が最適かどうか判断を下すことができずにいる、これが両者の違いなのかもしれません。将棋の世界に限ることなくどの分野においても、熟練領域に入った際には、相手の手を見た上でシンプルに考え、そして対応したほうが、結果として良い判断になる場合が多そうです。

1月7日(金) 川俣高等学校長

歴史を知る

日本の文化や伝統を知るにはどうすればよいか、生徒の皆さんは考えたことがありますか。そんな大層なこと、と思わないでください。小林秀雄さんは以前、「日本の二千年の歴史は、君のこの体に流れている。君が自分自身を大事にすることは、歴史を大事にすることになる。だから、歴史を知ることは、自己を知ることになる。」と述べられました。そういえば、日本の古典には、「大鏡」など鏡という文字が付くものが多く見られます。これらの歴史書に鏡を付けたことで、かねてより、日本人が歴史を、自らの姿かたちを映し出す鏡、と考えていたことがうかがえます。歴史を学べば自分の本当の姿が見えてくる。時間のあるときにちょっとでも、こうした歴史書をひも解いてみるのもいいかもしれません。

1月5日(水) 川俣高等学校長

ゆっくり急げ

ゆっくり急げ、この逆説的表現は、ローマ初代皇帝アウグストゥスが日常的に好んで使った言葉です。何事によらず少しでも先へ先へと急ぐ人は、かえって手間取ったり失敗したりする、という戒めです。日本でいう「急いては事を仕損じる」に似た言葉は、他にも、イギリスの「急ぐときほどゆっくりせよ」や、イタリアの「ゆっくり行く者が遠くまで行く」、あるいはドイツの「あわてる者から、良いものの生まれたことはない」など、世界中にたくさんあります。生徒の皆さんは、たとえば、教科書にある問題の解答のみ求めてはいませんか。また、総合的な探究の時間の際に、探究活動以上に、目的達成に重点を置きすぎてはいませんか。ゆっくり急げ、この精神もお忘れなく。

1月4日(火) 川俣高等学校長