令和4年度

2021年12月の記事一覧

当たり前

皆さんは、ソーサーを知っていますか。コーヒーカップの下に敷く、陶器でできた受け皿のことです。でも、なぜ、ソーサーがあるのかを考えたことはありますか。イギリスで紅茶を飲むようになったとき、使用していたのは中国製のお茶碗でした。でも、そのお茶碗には取っ手がなかったので、紅茶を注ぐと、熱くて持つことができません。そこで、下にソーサーを敷き、ソーサーごと持ち上げて飲んでいたわけです。では、コーヒーカップに取っ手の付いている現在、ソーサーは必要でしょうか。機能面からだけ考えれば、なくても困らないはずです。ただし、テーブルの汚れを防ぐことができること、または、カップとソーサーの調和が生み出すデザインの美しさなど、以前とは異なる価値があるからこそ、現実として今もソーサーはあるし、また、必要とされているわけです。皆さんの周囲にある物に目を向けてみてください。物は、そこに当たり前にあるのではありません。存在するものには必ず、何か大きな価値、そして大きな意味があります。

12月3日(金) 川俣高等学校長

言葉の重み

ヘルマン・ヘッセは詩をとおして、「太陽は、私たちに光で話す。花は、香りと色で話す。生あるものはみな、言葉にあこがれる」と伝えました。一方で、民俗学者の柳田国男さんは、「言葉さえあれば人生のすべては事足りる、という過信により、人は口達者になった」と、かつて嘆いておられました。言葉は今も、私たちの周囲に溢れています。でもその中で、人の心を満たす言葉はどのくらいあるでしょうか。言葉は、人にとって欠かすことのできない存在です。一層崇高なものとするよう、私たちは今こそ、言葉の在り方について真剣に考える時期にいるのかもしれません。

12月2日(木) 川俣高等学校長

自己の芽

人が精神的にも生活の上でも安定を望むのは、何も不思議なことではありません。一方で、なぜチャレンジしないのか、という観点から見れば、イギリスのグラッドストーンの言葉「人にとって最も恐ろしいこと、それは”恐れること”である」、この中にその回答がありそうです。つまり、失敗を恐れてしまうためです。安定よりも自己改革を求める際には、場合によっては自己否定を伴います。でも、考えてみてください。チューリップの花であれば、球根が球根のままである限り、いつまでたっても花は咲きません。球根ではなくなったとき、つまり球根を否定したときに芽が出て、そして花が咲くのです。自己改革は進歩や発展を生み出します。生徒の皆さんも、自分の芽を大きく育て花を咲かせるよう、日々のチャレンジを心がけてみませんか。

12月1日(水) 川俣高等学校長