令和4年度

2022年9月の記事一覧

シャウティング

陸上のハンマー投げの選手がハンマーを投げる瞬間に、大きな声を出す場面を目にしたことがあると思います。また、多くの種目で、試合が始まる直前に選手が輪を作り、かけ声を掛け合うシーンもよく見られます。これは、単に気合を入れるためのものではなく、大きな声を出して叫ぶことで脳に刺激を与え、アドレナリンを分泌させるための行為であり、シャウティングと呼ばれています。これにより、身体機能や筋力、集中力や判断力を高めることが確認されています。野球選手が「ボールが止まって見えた。」と話すのも、この表れとされています。ただし、このシャウティング効果は長くは続かず、最大でも30分程度と言われています。競技によっては、最初から最後までその効果を期待できないため、ピンチになったときなど、ピンポイントで使用されているようです。場面にもよりますが、平時を超えた身体機能や集中力を要するとき、生徒の皆さんも使ってみる価値はあります。

9月30日(金) 川俣高等学校長

計画の微調整

生徒の皆さんは、学習計画を立ててはみたものの、その通りに進まず、自分にイライラした経験はありませんか。Amazonの創業者ジェフ・ペゾス氏は几帳面な性格で知られています。起業前には数十ページにも及ぶ綿密な計画を策定するなどしていますが、一方で、「過去に立てた計画に拘束されるなんて馬鹿げている。」とも話しています。しっかりとした計画であっても、現実は、なかなかその通りには動いてくれないものです。ときに、予期せぬ良いことも生じます。そうした場合に大切なことは、「計画通り」ではなく、「臨機応変に物事に対応する姿勢」です。良い、悪いに関わらず、微調整機能を働かせることで計画と現実のズレを修正すれば、後に大きな発展が生まれます。

9月29日(木) 川俣高等学校長

伝える

投資家のウォーレン・バフェット氏は、自ら、自社の株主向けに年次報告書を書くことで知られています。その際に、彼はいつも、専門家ではない自分の姉が、読んで理解できるかどうかを念頭に書くのだそうです。自分が本当の意味で理解していれば、他者が理解しやすいよう表現できるはずです。伝えたいことが相手に伝わらないのは、伝え方にも問題があるのかもしれません。適切・的確な要点まとめができるよう、予め、しっかりとした分析と真の理解の定着が求められます。

9月28日(水) 川俣高等学校長

ドキドキ

緊張する場面にいるとドキドキする、といった経験は誰にでもあると思います。これは、緊張するという精神的な刺激によって、カテコールアミンという物質が分泌されることで起こる現象です。以前にも話したように、こうした場合には、アドレナリンやノルアドレナリンも同時に分泌されるので、集中力も筋力もアップするなど、心と身体が臨戦状態になっています。ドキドキは、緊張の証というよりもむしろ、脳も身体も最高のパフォーマンスを発揮できる状態、とも言えます。生徒の皆さんが試験や試合の際にドキドキしたら、いつもよりもうまくできる兆候、成功する証、と考えることができます。

9月26日(月) 川俣高等学校長

言葉の印象

「天使のように」「悪魔のように」に続く言葉を考えなさい、と問われたとします。通常であれば、「天使のように清らかに、悪魔のようにずる賢く」など、天使には良き言葉を、一方で、悪魔には悪しき言葉を続ける傾向にあります。また、それらの言葉に、「大胆に」か「細心に」のいずれかを続けるとすれば、「天使には細心、悪魔には大胆」を続けると、何となくですが腑に落ちそうです。でも、ゲーテの「ファウスト」に描かれている悪魔は、天使と比較して細かく取り決めをするなど、意外にも慎重で憶病な性格をしています。ということは、「大胆なのは天使、細心なのは悪魔」とも言うことができるのです。私たちは長い経験によって、言葉の持つ印象を決めている場合があります。でも、その印象が違っていることもよく見られます。調べてみると興味深いかもしれませんね。ちなみに、「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」という言葉は、映画づくりのコツについて問われた際に、映画監督の黒澤明氏が話された表現です。

9月22日(木) 川俣高等学校長

好きなこと

仕事に取り組んでいるときに、光り輝くような存在である理由を尋ねると、「仕事が好きだから。」と答える方が多くいらっしゃいます。好きなことから得られる経験やスキルは、減ることのない財産になるので、ますます仕事が好きになる好循環を生み出しているようにも思えます。「自由にできる仕事だから。」という答えも耳にします。でも、ここでいう自由とは好き放題することではなく、自分の望んだ人生を、自分で責任をもって選択し生きていくことを意味します。マイケル・サンデル教授が講義の中で述べた、「自由とは、自分のルールに従って行動すること、すなわち、自律のことである。」という内容に匹敵します。一流の仕事人は皆、心から仕事を楽しんでいます。生徒の皆さんの場合には、仕事を学習に置き換えて考えてみてください。本校には今日も、心から学習を楽しめる機会が多く用意されています。

9月21日(水) 川俣高等学校長

直 観

直観は、誰もが備えている能力です。アメリカのヴァンダービルト大学の研究チームによると、論理的に考え熟慮の末に行動するときと、直観によって物事を判断するときでは、脳で行われている情報処理のプロセスが全く異なる、と指摘しています。直観で判断を下すとき、人は論理的な思考プロセスを無視します。では、直観による判断には誤りが多いのか、と言えば、そうではありません。イスラエルの大学での研究によると、左右に2つの異なる数字を瞬間的に表示して、数字の大きい方を尋ねると、被験者の9割は正しい判断をしたそうです。人は、意識的、論理的に思考しても無理なことに対して、直観的に判断することで正しい選択ができる生き物なのです。人が、自分の身を守るために発達したと考えられるこの直観を、もっと大切な存在として扱う必要がありそうです。

9月16日(金) 川俣高等学校長

まとめ

アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏は、ある企業が示した100ページに及ぶ契約書をゴミ箱に放り投げ、「私と話をしたいなら、数枚にまとめよ。」と言ったことがあるそうです。また、GEの売上を伸ばしたジャック・ウェルチ氏は、社内から上がる厚い企画書を指して、「本にするな。」と指示したそうです。共通に言えるのは、厚い書類は自分の思考を整理し切れていない表れであり不要、との信念に基づくものです。例えばA4版1枚の資料であれば、簡潔に要領よくまとめられているため、読む側の時間も奪うことなく、結果としてスピーディーな判断を可能とします。生徒の皆さんが学習する際に、教科書やテキストの内容をノートにまとめていたら、ただもう1冊、同じ教科書やテキストができあがったにすぎない、ということはありませんか。

9月15日(木) 川俣高等学校長

コメントから見える人間性

かつて知事選に臨んでいた俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が、遊説先で観衆から生卵をぶつけられる事件がありました。彼は相手に怒りを向けるのではなく、こう切り返します。「奴にはベーコンの貸しだ」。さて、生徒の皆さんは、このコメントの意味がわかりますか。「生卵をぶつけるなら、ついでにベーコンもよこせば、ベーコンエッグを作れるじゃないか、ベーコンが足りないじゃないか」という、彼独特のジョークです。こうしたジョークが好まれるアメリカとはいえ、普通ならキレることも考えられる緊張した場面で、うまいことを言うものだと感心させられます。では、改めて生徒の皆さんに問います。皆さんがアーノルド・シュワルツェネッガー氏の立場であれば、どう切り返しますか。「投げるのは、ゆで卵にしてくれ。」「塩コショウはないのか。」などでしょうか。「温泉卵もいいぞ。」も、あるかもしれませんね。こうした発言ができるのは、緊張状態の中にあっても、セルフコントロールができている証でもあります。気の利いたコメントは、周囲を和ませるなど、人間関係を円滑にしてくれます。

9月14日(水) 川俣高等学校長

無駄の減らし方

日常的な無駄遣いを減らすには、何か好きなものに置き換えて考える方法があります。パッと財布を開けてしまいそうになるときに、このお金があれば自分の好きな本を1冊購入できる、など、好きなものを思い出すワンクッションを作り出すのです。こうした取組は、時間に関しても同じことが言えます。ぼんやりと過ごす時間を、自分の好きなことに費やせる時間に変換するよう心がけることで、高い満足感も得ることができます。そして自然に、自分の周囲から無駄な存在がどんどん減っている、ということに気づくはずです。自分の好きなものへの変換、生徒の皆さんも、今日から試してみませんか。

9月13日(火) 川俣高等学校長