令和4年度

校長より

機械科閉科式

本日3月1日には、本校において卒業証書授与式が行われます。それに先立ち、昨日には、本校機械科の閉科式が開催されました。その際にお話したことを掲載いたします。

私たちの周囲には様々なものがあり、それを使うことにより、私たちの生活は一層豊かになります。人の役に立つものづくりができるよう、そのための考え方や方法を学ぶ場所、それが機械科です。ものづくりには、技術の向上を図ることに加え、従来存在するものを別の観点から見て、よりよいものとするための発想力も求められます。そうした柔軟な考えや、その考えを形にする技術を身に着けるべく、機械科の生徒の皆さんは、日々学習に、そして実習に励んでこられたことと思います。本校の開校以来113年のうち、78年間を共に歩んできた機械科、そして、地域から支援をいただきながら、その地域と共に成長してきた機械科が、今年度をもって閉科となり、その歴史に幕をおろします。機械科に寄せられる期待は、川俣高等学校に寄せられる期待でもあります。ものづくりの精神を守るためにも、次年度以降も、普通科の生徒の皆さんを対象に、工業に係る基本的な選択科目を設定するなどして、川高機械科魂の継承を図ります。

3月1日(火) 川俣高等学校長

試 練

明日3月1日には、卒業証書授与式が行われます。本校から巣立つ3年生に、孟子の言葉をとおしてメッセージを送ります。「天が人に対して重大な任務を与えようとするときには、必ず、まずその人の精神を疲れさせ、行動(することなすこと)を失敗させ、しようとする意図と食い違うようにさせるものである。これは、天がその人の心を発憤させ、性格を辛抱強くさせ、今までにできなかったことも、できるようにするための貴い試練である。人は苦しみ思案に余って悩み抜いてこそ、はじめて発憤して立ち上がり、そして、その煩悶や苦悩が顔色にも表れるようになってこそ、はじめて解決の方法を心に悟るのである。」確かに厳しい言葉です。でも、試練は誰にでも訪れるもの、であれば、重大な任務を自分に与えてくれる天(会社)に感謝して、これまでの先人(先輩)もそうであったように、その克服を図るべく全力で取り組んでみませんか。1年後に振り返ったときに、間違いなく、1年前の自分を褒めてあげられるはずです。

2月28日(月) 川俣高等学校長

 

人の教え

書家の相田みつをさんは、兄からの言葉に大きな影響を受けたそうです。相田さんが旧制中学4年生の頃に、家計を助けるべく刺繍をしながら兄が相田さんによく話したこと、それは無抵抗の人をいじめることは最低だ、ということでした。また、相田さんの足先を指さし、「お前の足袋(たび)には穴があいているけれども、そのことは一向に恥ずべきことではない。その穴のために、心が貧しくなることの方が恥ずかしいことなのだ。その足袋の穴から、いつもお天道様を見ていなさい。」とも話したそうです。人生を生きる以上は、自分の心の底から納得できる生き方をしよう、との兄の話があったからこそ、相田さんの作品からは心地よい温かさを感じるのかもしれません。言葉の持つ力は、私たちの想像以上に大きいとも言えます。

2月25日(金) 川俣高等学校長

無用の用

以前は、家族数も多かったことから家も大きく、部屋数も多くあったものです。必然的に、家の中には使われない部屋も存在していました。小さな子どもの感覚でいえば、そうした部屋には一体何があるのか想像してみたり、時には恐怖心を抱くなどしていたものです。今では、不要なものはできる限り取り除かれ、周囲には必要なもののみ存在するようになりました。必要に慣れ切った生活をしているために、不必要で無駄とも思えるものと偶然遭遇すると、戸惑う一方、でも、人生に係る貴重な問いや反省、想像する喜びや刺激などを受ける場合もあります。私たちの心の中に、こうした無用の用的存在を許容することは、自分の価値観を高めるためにも必要なのかもしれません。

2月22日(火) 川俣高等学校長

支 援

人は誰かに支えられて生きています。でも、通常、そうした支援を意識することなく、私たちは生活を送っています。では、そうした支援のありがたさを強く感じるときはいつでしょうか。その人が去った瞬間です。これまで何の問題もなく生活を送ることができた一面には、そうした陰からの支えがあったことを痛感します。人との別れは実にさみしいものです。でも一方で、そうした支援を受けずとも、十分に独り立ちできるとの判断から、その人は去ったのかもしれません。そう信じたい、とも思います。生徒の皆さんの周囲にも、そうした支援を送ってくれる存在の方が多くいます。皆さんを守ってくれています。そのことに感謝するとともに、是非、皆さん自身にも、周囲の人を支える存在になってほしい、と願っています。

2月21日(月) 川俣高等学校長