令和4年度

校長より

犬は従順

犬は人の言うことをよく聞く従順な動物とされています。でも、警察犬訓練士の方によると、犬には、従順な心に加えて、リーダーシップを取りたいという、もう一面の心も持っているのだそうです。人間以上に優れていると犬が判断すると、自分がリーダーと思い込むため、それ以降は人の言うことに耳を傾けなくなるというから興味深いものです。一般的な話ですが、欧米では、社会に対する責任を重視する傾向にあるので、飼い主の責務として、犬にも厳しく言い聞かせるため、多くの人が集う場所で、犬は迷惑をかけることなくおとなしくする、と言う人もいます。犬を見れば国民性がわかる、と話す人もいます。

5月10日(水) 川俣高等学校長

友人の大切さについては、入学式や集会時に、生徒の皆さんに多く話してきたところです。当たり前のことですが、自分を除けば、一つの集団は自分とは異なる存在から構成されています。その自分以外の他者を受け入れることで、人は自分を再発見できる、とも言われています。自分とは異なる存在の事実を知り、認めることで、人は己を知ります。仮に、自分だけ、あるいは、自分に似た近い存在のみ認める姿勢しか持たないとすれば、同類が集うのみで自己発見にはいたらない場合もあります。ソローは『森の生活』の中で、「太鼓の音に足の合わぬ者を咎めるな。その人は、別の太鼓に聞き入っているのかもしれない。」と書いています。友情形成には、寛恕の心を要します。

5月9日(火) 川俣高等学校長

眠れぬ夜

何か気になることがあると、眠りたくても眠れないときがあります。そうした際にはどうすることが有効な手立てなのでしょうか。耳を澄ますよう心がけることを推奨する人がいます。虫の声、雨の音、あるいは車の音でも構いません。こうした音を無心に聴くことで眠りに陥るのだそうです。聴覚に意識を集中すると人は考え事をしないため、だそうです。そう言えば、羊を数えるよう勧められたこともありますが、頭の中であっても、視覚に繋がる意識が芽生えることでかえって目が冴えてしまう、という説もあります。生徒の皆さんも、何らかの方法を探ってみる価値はありそうです。

5月8日(月) 川俣高等学校長

習 性

江戸時代の末期から、おとりのアユを使う友釣りという手法が用いられました。アユには、一平方メートル程度の範囲に一匹ずつ住み、苔を食べる習性があります。自分の縄張りに他のアユ(おとりのアユ)が侵入すると、怒って追いかけ回すことを利用して、江戸時代の人はアユを釣りあげようと思いついたわけですから、すごいものです。でも、一般的となった人工種苗のアユは、整備された一定の環境の下で育てられることにより、そうしたアユは縄張りを作りたがらない傾向にあるため、結果として、闘争心も弱いことから、友釣りがしにくくなるのだそうです。環境は、そのものの持つ本来の習性をも変えてしまう力があります。

4月30日(日) 川俣高等学校長

変 化

エクアドルの首都キトに仕事で滞在していた日本人の方の話です。富士山の7~8合目あたりに位置するキトでは、平地の70%程度しか気圧がないことから、密閉したビニールなどは風船のようにパンパンになるのだそうです。気圧の低さは、慣れていない人にとっての体調にも影響を与えます。1回の呼吸で摂取できる酸素量も限られることから、頭痛や食欲不振などの症状を引き起こす場合もあるのだそうです。でも、歴史が物語るように、動物も植物も、もちろん人も、その土地で生活するために変化を遂げ、見事に課題の克服を図ってきました。人の持つ柔軟性は、自らが認識する以上に素晴らしいものです。ちなみに、身体を守るためにヘモグロビンが増加したためなのか、あるいは肺活量が大きくなったためなのかは定かではありませんが、前述した方は4年間のキトでの生活をとおして、日本に帰国した後に運動をしても疲れにくくなった、と話されています。一方、キトに住む人たちは、低地に移動すると空気が重くのしかかるように感じ、風の圧力に耐えられずに、すぐにキトに戻りたがるそうです。人には、まだまだ神秘的な面がたくさんあります。

4月28日(金) 川俣高等学校長