令和4年度

校長より

団 子

3月末から4月にかけて奈良の薬師寺では花会式(はなえしき)が開催されます。平安時代から永く続くこの行事では、金堂が和紙で作られた色鮮やかな造花で埋め尽くされ、薬師如来を祀る須弥壇(しゅみだん)周辺には、丸餅が積み上げられ、その上に灯明が置かれます。造花には、桜や山吹、牡丹など10種類の花が揃い、茎のところには竹を、また花芯にはタラの木を使うなど手が込んだものとして知られています。また、和紙には紅花やくちなしが使用されていて、かつては、その和紙を持ち帰り、煎じて飲むことで血行をよくしたり、胃腸を整えるなどしたともされています。当時は、1つの行事が生活に深く結び付いていたことがよくわかります。ちなみに、花会式が終わると造花は参加した方々に配られますが、中には、造花よりも丸餅など食べ物を所望した方も多くいたようです。花より団子、という表現はここから生じた、と、薬師寺管主 高田好胤師がかつて話されていました。

3月29日(金) 川俣高等学校長