令和4年度

2023年10月の記事一覧

心を無にして物事に向き合えば、今まで見えなかったことも見えてくる、と言います。無とは、具体的に私意を離れ無私になることを指し、多く武道に関わる際に使われますが、文学に対する心構えにも使われる場合があります。松の事は松に習へ、竹の事は竹に習へ、という松尾芭蕉の言葉があります。思い通りにしようとして、たとえば自ら竹に光を当てるような行為を慎むべき、との教えとされており、それが無の境地に通じます。ちなみに、無とは自分色を一切なくすことを意味してはいません。無であるがために周囲との一体化を図ることができ、その瞬間に、潜在化していた真の自分に出会えるのだそうです。生徒の皆さんの中にも、自分では気づいていない真の自分が潜んでいます。その魅力を引き出すために、心穏やかになる一時を過ごしてみませんか。

10月4日(水) 川俣高等学校長

追いかけっこ

海鼠と書いてナマコと読みます。その見た目から、初めてナマコを食べた人は勇気があった、とも言われますが、コリコリとした食感があり、美味しく食べることができます。乾燥したものはイリコと呼ばれ、中国料理には欠かせない存在です。捕獲には底引き網漁が使われるものの、岩が多くある海底にいるので、古くから底見漁法も用いられています。あまり活発に動き回るタイプではなく、一晩で7メートル程しか動きませんが、一方で、うまく保護色を使うため、船の上から海底を見てもなかなか見つけることができません。そう、捕まらないよう、ナマコも考えています。そこで、昔の漁師さんは、どうしたらナマコを見つけることができるのか考え、その習性から一つの解答を見い出します。ナマコは移動しながら海底の砂泥を吸い込んで有機物を栄養として取り込み、残りは糞として排出します。最初は大きな糞が、二度目、三度目には徐々に小さくなっていくことを考慮して辿っていくと、ナマコに行きつくというわけです。今のところは人の叡智が優ってはいますが、ナマコも海底で、密かに次なる対策を練っているかもしれません。

10月3日(火) 川俣高等学校長