令和4年度

2022年5月の記事一覧

江戸時代の寺子屋で、教科書として使用された「実語教」の中に、「水は方円の器に従い、人は善悪の友による」という表現があります。水は入れ物の形に応じて、四角にも丸にもなるのと同様に、人は交わる友により変わる、というものです。人の友は、人とは限りません。自分の身近な存在、たとえば、本や花、動物なども友です。自分が無意識のうちに向ける目線の先によくあるもの、それが友です。自らの可能性を広げ、高めてくれる友の存在に感謝するとともに、その存在を、いつまでも大切にする必要がありそうです。

5月17日(火) 川俣高等学校長

読 書

正確な情報を得るためにも、読書習慣は大切なものです。でも、2018年度調査によれば、高校生の1週間の読書時間の平均は約2時間とのことです。文庫本1冊を読み終えるのに4時間程度かかるとすれば、2週間かけて1冊の本を読むこととなり、本の内容の興味は薄れてしまいそうです。また、全く読書をしない高校生は57%にもなるとのことです。かつてアメリカでは、多忙な人が短時間で本を読むことができるよう、速読を取り入れる傾向にありました。ケネディ元大統領も速読者として有名です。本を読む際の方法としては、こうした速読もありますが、一方で、一字ずつ文字を追い、文脈をたどり、行間の意味を考えるなど、じっくりと時間をかけた読書法もあります。自分の時間と相談しながら、読書法を変えてみるのも楽しみの一つです。いずれにしても、読書による思索体験の積み重ねが、主体的な人間形成に欠かせないことは確かなようです。

5月13日(金) 川俣高等学校長

心を磨く

私たちは、一日に数えきれないほどの言葉を発しています。言葉は、相手を励まし勇気づけることもできれば、悲しませることもあるなど、大きな力を持っています。「心が言葉をつくり、言葉が心をつくる」と言われます。優しい心を持つ人から、優しい言葉は発せられます。また、優しい言葉から、一層優しい心が形成されます。心を磨く一つの手段として、言葉を意識してみませんか。

5月12日(木) 川俣高等学校長

自 立

ウミガラスの親鳥は、若鳥を1千メートルもの断崖に置き去りにするのだそうです。海にあるエサを食べるためには、若鳥は、その断崖から飛び立つ必要があります。こうした試練を経て、若鳥は自立していきます。自然界には今でも、危険や困難が当たり前に存在しており、その克服に、自立は欠かすことのできない要素とされています。では、自立の先には何があるのか。大きな成長があります。私たち人間も、そこから学ぶことは多くありそうです。

5月11日(水) 川俣高等学校長

無知の知

自分の無知を自分で自覚すること、つまり無知の知が人間行動の始まり、とする考え方があります。少なくとも、湯川秀樹博士のいう、「何もかも知ってしまうことよりも、無知を知ることのほうが一層人間らしい。」という言葉は、よく理解できます。新しいことを知ったときの新鮮な驚きは進歩を呼び込み、未知の分野に挑戦する意欲と興味を引き起こします。私たちは、すべてを知ることはできません。知識に人間の本質があるのではなく、知らないことに気づく知恵こそ、人間にとって大切であると思います。何を知らなくてはいけないのかについて、じっくりと考え、自分を見つめる時間は十分にあります。

5月10日(火) 川俣高等学校長