令和4年度

無用の用

以前は、家族数も多かったことから家も大きく、部屋数も多くあったものです。必然的に、家の中には使われない部屋も存在していました。小さな子どもの感覚でいえば、そうした部屋には一体何があるのか想像してみたり、時には恐怖心を抱くなどしていたものです。今では、不要なものはできる限り取り除かれ、周囲には必要なもののみ存在するようになりました。必要に慣れ切った生活をしているために、不必要で無駄とも思えるものと偶然遭遇すると、戸惑う一方、でも、人生に係る貴重な問いや反省、想像する喜びや刺激などを受ける場合もあります。私たちの心の中に、こうした無用の用的存在を許容することは、自分の価値観を高めるためにも必要なのかもしれません。

2月22日(火) 川俣高等学校長