令和4年度

校長より

目的のすり替わり

以前、ある大学で、ビーカーに残った過塩素酸を爆発させる事故が起こりました。本来であれば、専門業者をとおして焼却処分をするところ、処理費を惜しみ、廃液の入った容器のフタを開けて蒸発させ、廃液自体の容積を減らすなどしたことによるものであったそうです。そうすることで、たまたま、過去に複数回うまくいったことから、こうした行為が常習化したことによる事故でした。そもそも、目的は薬品を安全に処理することにあったはずですが、いつのまにか、薬品を完全に蒸発させることが目的となってしまっていたようです。こうした目的のすり替わりは、あまりよい結果を導くことはありません。たとえば、商品開発は世の中の役に立つことを目的とすべきところですが、商品がヒットすると、その商品を作り続けることが目的となってしまうケースも同じです。こうした目先の結果のみを追おうとする傾向は、柔軟な変化に対応できなくなる、という大きな欠陥をもたらすことにもなります。

8月23日(月) 川俣高等学校長