令和4年度

2022年11月の記事一覧

不易流行という言葉があります。不易とは変わらないことを指すのに対して、流行とは流れ動く、つまり変化を意味します。朱子学の思想が主な時代に生きた松尾芭蕉が、変化を好むことも頷けます。彼は、俳諧の世界に、積極的に連句を取り入れます。連句は、何人かの仲間と膝を突き合わせながら、前の人がつけた句に次の句をつけて答えるものです。次の人は前の句に新たな解釈を与えるので、その句は、前の句とは全く異なる変化を遂げることになります。近代文学を孤独の文学と称する人がいます。いわば個の文学に対して、松尾芭蕉は皆で作り上げる座の文学を取り込んだとも言えます。「秋深き隣は何をする人ぞ」からも、孤独を通じて人とつながろうとする、彼の、そして人の持つ本質が窺えます。

11月1日(火) 川俣高等学校長