令和4年度

2022年6月の記事一覧

達成感

ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンは、ドイツのボンで生まれます。宮廷オルガニストの指導を受け、技術力の向上とともに、彼の中に、自由と平和の考えが築かれていきます。26歳の頃に耳の病に罹りますが、第五交響曲「運命」など、代表的な作品の多くは、この後に生み出されたものです。最後の交響曲となる第九交響曲「合唱付き」では、その素晴らしさから、演奏後に、満員の観客から嵐のような賞賛の拍手が寄せられ、歌手ウンガーとともにその成功を喜び合った、とされています。彼の人生に係る達成感の大きさ、そして満足感の深さは相当のものであった、と推察されます。「諸君、ご喝采を。劇は終わったよ。」との言葉を残し、彼は永遠の眠りにつきます。

6月10日(金) 川俣高等学校長

思いの深さ

長野県伊那群中川村出身の写真家宮崎学さんは、中学校を卒業するとカメラ工場に就職し、カメラの交換レンズの組立て作業を担当します。毎日、ベルトコンベアで流れてくる磨き上げられたレンズを見ているうちに、子どもの頃に地元の自然の中で見た、動物の眼の輝きを思い出すようになります。カメラで生き生きとした動物を撮ってみたい、特に、幻と言われるニホンカモシカに接してみたい、と強く思うようになりました。その思いを叶えるために、宮崎さんは山岳会に入り、登山の基本を学び、山登りに励むようになります。そして、2年が経過した頃、中央アルプスの尾根から下に広がる灌木の中に、褐色のニホンカモシカを見つけます。でも、遠方からでは、生き生きとした写真とはなりません。そこで、宮崎さんはニホンカモシカの生態を知る必要性を感じ、毎日のように山に入り、朝から晩までニホンカモシカを追い、その行動を調べます。ついには、その一つひとつの仕草の意味まで理解できるまでになりました。ニホンカモシカの行動を事前に読むことができるようになったために、信じられないくらいの「生きた」写真を撮れるようになりました。「山に生きるニホンカモシカ」など、多くの写真集を出版され、後に、「動物と話せる男」とまで称されるようになりました。

6月9日(木) 川俣高等学校長

自己改装

お店であれば、数年に一度、多くの業者により店舗改装をすることはあります。では、人はどうやって改装(成長)するのでしょうか。自分の力により行うしかありません。こうした自己改装(自己成長)には、自己啓発と多くの教養を要します。でも、自己改装により、自分の持つ人間力が大きく増します。人間力の向上により、自身の魅力も増します。そして、まさに今取り組んでいる学習も、自己改装の原動力になります。一層輝ける存在となるよう、学習活動の継続を図ってほしいと思います。

6月8日(水) 川俣高等学校長

私たちの生活に必要な水は、空からもたらされます。雨の素となる大気中の水蒸気は、地球全体に平均25ミリの雨を降らす量に相当します。年間では1000ミリの雨が降ることを考えると、365日の中で40回の循環をしていることがわかります。地球に降った雨は、9日経つと再び水蒸気となり、空に戻るわけです。この9日という短いサイクルの中で、水は、私たちの生活に潤いを与えてくれているのです。家庭にある水道も、空の水道も、どちらも大切にしたいものです。

6月6日(月) 川俣高等学校長

進 化

人工知能やコンピュータの進化は目覚ましく、特定分野では、人の能力を超えるレベルにまで達しています。では、人はいつの日か、自らが作り出した人工知能やコンピュータに凌駕されてしまうのでしょうか。そんなことはないと思います。ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈博士は、「人には欠点があるものの、むしろ欠点があるからこそ、人は進化する。」と話されています。欠点による不安定さの中にこそ、創造性が秘められています。自分の気づかない欠点を指摘されたとしても、下を向く必要はありません。まだまだ伸びる可能性がある、ということがわかったのですから。

6月3日(金) 川俣高等学校長