令和4年度

花は咲く

マラソンの瀬古利彦氏の恩師である中村清監督が、瀬古選手とともに知床半島を訪れたときのことです。人が足を踏み入れたこともなさそうな山奥に向かうと、ひっそりと桜の花が咲いていました。心が洗われるようなピンクの花を目にした中村監督は、「この桜は、人が見ようと見まいと、きちんと花をつけている。お前も、人が見ていようと見ていまいと、一生懸命に練習しなくてはいけないよ。つらい練習もそうだが、充実した練習だと感じても、それは敢えて人に見せるものではないよ。」と、瀬古選手に話したそうです。人の目に触れずに取り組み、そして努力すること、また、精一杯の営みに徹し切ることは、ある意味、とても辛いものですが、私は思うのです。人知れず陰で取り組んでいたとしても、どこかで誰かが、そうした努力する姿をそっと見ていて、その人の記憶にとどめているのではないか、と。

3月28日(月) 川俣高等学校長