令和4年度

以前はなかり固かったパンの耳が柔らくなったのは、1980年代の偶然の出来事が発端でした。パンの製造会社に勤務する方が喫茶店でモーニングサービスを注文すると、パンの耳の固さが気になります。また、希望されるお客様には、パンの耳を切ってお出しする場合もある、とのお店の方からの話も耳にします。時代はソフトを求めていると感じたその方は、会社に耳の柔らかいパンの開発を提案しました。油脂分を少し多めにするなど、原料の配合を少し変えるだけで対応できることがわかるとともに、パン全体にもふっくら感が出るなど、見た目にも良い仕上がりとなりました。地域限定で売り出してみたところ大きな反響であったことから、全国販売に踏み切り、会社経営を支える中心的商品までになりました。大きな効果は、小さな発見や小さな工夫から生み出されることがよくあります。生徒の皆さんも、日常感じているちょっとした違和感を大切にしてみてください。ちなみに、庭にやって来る野鳥に与えるエサとして、これまでの固いパンの耳を活用していた方々からは、自分でも美味しく食べるようになった一方で、野鳥にもエサを与えなければならないとのジレンマがある、などの悩み相談が数件、会社に寄せられたそうです。

11月9日(木) 川俣高等学校長