令和4年度

ヤシの木

1980年代にグアムでは駐在する日本人の数が急激に増加したために、それまでの小学校では教室が足りないほどになりました。放課後の教室を借りるなど依頼したところ、ある小学校で快く協力してくれたそうです。授業には現地語を学ぶ機会もあり、南国グアムには、雪を表現する言葉がないことを知ります。もちろん、雪を見た経験を持つ子どももほとんどいません。教育活動でお世話になった関係者の中に北海道千歳の方がいたため、グアムの子供たちに雪に触れてもらう機会を考案します。雪を木枠に入れて踏み固め、ドライアイスで凍らせた氷塊を削って雪だるまを作り、保冷コンテナでグアムに運んだそうです。420キログラム程の雪だるまが到着すると、グアムの子どもたちは大騒ぎです。後に、グアムから千歳宛送られた箱には、ぎっしりとヤシの実が詰まっていたそうです。その小学校の子どもたちが、家の庭のヤシの実を一つ一つ丁寧に集めてくれたものでした。ふとした交流が、遠く離れた地域の距離感を大幅に縮めてくれました。思いに溢れたヤシの実が芽を吹きヤシの木になると、新千歳空港内に飾られたそうです。

11月27日(月) 川俣高等学校長