令和4年度

言葉の重み

かつて、動物学者がチンパンジーと人の子どもを同時に育て観察記録を取った例があります。2歳から3歳まではチンパンジーの知能が優っていますが、人が言葉を覚え始めると、その優位性はたちまち逆転するのだそうです。人が言葉を持つ事実がどれほど重大なことであるのかがわかります。人は言葉を使って、文学や芸術、科学などあらゆる分野を充実させてきました。でも、あまりにも身近な存在である言葉であるために、通常はそれを顧みることはないようです。世界を情報が飛び交い、海外の人とも異文化の人とも容易に交流を図ることのできる現在であるからこそ、言葉とは何か、を考える時期なのかもしれません。始めに言(ことば)ありき、という表現があります。ギリシア語では、言のことをロゴスといいます。ちなみにロゴスには、言葉に加えて理性や思考能力という意味も含まれています。

9月13日(水) 川俣高等学校長