令和4年度

平 和

タクアン漬けを考案した沢庵和尚は、織田信長時代に生まれます。乱世の静まりを熱望した沢庵和尚の考えは、「堪忍の二字、常に思うべし。百戦百勝するも、一忍に如かず」にある、とされています。彼は、戦いはどこまでいってもきりがなく、それよりも戦わないことこそ最大の勝利である、と考えていました。三代将軍徳川家光の剣術の指南役として仕えた柳生但馬守宗矩(むねのり)は沢庵和尚に教えを乞うていたために、彼の記した『兵法家伝書』にも、沢庵和尚の考えが色濃く反映されています。その柳生流の極意とは無刀取りとされています。かかってくる相手の刀を奪うという術だそうです。戦わないことを心せよ、と、稽古の際に彼は常に諭したそうです。自分との闘いは、時によってあるかもしれません。でも、他者との戦いにばかり目を向けることは、大きな意味を持たないようです。

9月8日(金) 川俣高等学校長