令和4年度

知 る

現在、私たちの周囲には多くの情報が飛び交っており、知ろうとすればすぐにでも、スマホなどをとおして一定の知識を得ることができるようになりました。以前は図書館に行って、多くの書物の中から目的に合ったものを探し出し、時間をかけて何かを調べるのが当たり前でしたが、今では、自分の部屋にいながらにして、瞬時に多くの情報が手に入ります。また、自分で考えたことを話していると思い込んでいると、実はそれは、テレビや新聞、書籍などからの情報であった事実に気づかされることも多々あります。こうした媒体から得た情報は大変貴重であり、そうした情報ツールは私たちの生活にはなくてはならぬものである一方で、間接体験、言い換えれば抽象的体験であるために、物事を本当の意味で知り、考えるために必要とされる直接体験の機会もまた大切である、とも言えます。論語には、「之れを知るを之れを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり。」という言葉があります。知っていることだけを知っているとし、知らぬことは知らないと認める姿勢を説いたものです。友の心に響くのは、その表現が多少ぎこちなくとも、自分で考えたり感じたりしたことを自分の言葉で語る、生徒の皆さんの中にある真の声、なのかもしれません。

12月16日(金) 川俣高等学校長