令和4年度

コンパス

歩く方向を示してくれるコンパス(磁石盤)を乳牛に向けると、普段は北を指すコンパスが乳牛の方を指すことを知っているでしょうか。ほとんどの乳牛の胃には磁石が入っているからです。これをカウマグネットといいます。牛は好奇心が強く、エサと思えるものを何でも胃に押し込み、反芻することで消化する性質を持っていることはよく知られています。そのエサに針金などが混じっていると、4つの胃のうち、特に収縮力の強い第二胃の胃壁を傷つけることもあるそうです。金物病と呼ばれるこうした事態の未然防止のために、異物を固定する目的で予め磁石を飲み込ませるのだそうです。1950年代にアメリカで普及したこのやり方は、後に日本でも活用されることとなりました。胃の中に磁石を入れると聞けば少し違和感を感じますが、長ければ15年にもわたりミルクを提供してくれる大切な財産を守る術なんですね。

1月12日(金) 川俣高等学校長