令和4年度

2学期始業式時校長講話

生徒の皆さんは、大きな障害や困難に立ち向かうとき、どう対処するでしょうか。登山で言えば、山頂にたどり着いた後で、さらに高い山に登りたいときには、一旦は山をおりなければなりません。登山も楽ではありませんが、下山は、想像をはるかに超えてつらいものです。でも、たとえば麓におり立ったときに、自分がそれまで登っていた山を見上げると、登山前に見上げた光景とは別のようにも見えます。異なる領域に達した満足感を感じることができる、と言う人もいます。苦しみながらも登り切り、そして一旦は谷に下りるからこそ、成長もできるのです。

皆さんは、この夏季休業中に、何かうまくいったことはありますか。もしもそうであれば、大きな自信をもって、これからの学校生活に臨むことができます。あるいは、何かうまくいなかったことはありますか。もしもそうであれば、今の下山の話を念頭に、これからの取組に活かしてほしいと思います。そして、自分にとって困難が生じるのは、思いがけず良いことが起こる前兆であることは実際によくあります。

さて、本日から2学期が始まります。やがて季節は秋となり、紅葉が終わると、冬がやって来ます。カレンダーを見ながら、そして季節の移ろいを感じながら、昨日から今日、今日から明日へというように、人は、連続する日々の流れに区切りをつけてきました。そうした区切りをつけることにより、人は敢えて、自分たちの心の動きを不連続にしたのです。でも、誰もが気づいているように、時や私たちの活動は、昨日も今日も、そして明日もまた、途切れることなく続きます。変化のない単調な毎日に敢えて区切りをつけることで、私たちは今日を生き、明日を想う新たな気持ちを手に入れているのかもしれません。区切りはけじめ、一歩を踏み出す大きな力です。不連続な心を繋げていく努力の先に、目標達成の瞬間があります。

8月29日(火) 川俣高等学校長