令和4年度

亀の歩み

亀は休まずに歩み続け、兔は途中で居眠りをしたために亀が競争に勝った、というイソップ寓話をご存じの方も多いと思います。背景には、継続は力なり、を伝えたい意図があります。でも、現実的に亀が兔に勝つことは考えられるのでしょうか。その研究をした睡眠科学の専門家がいらっしゃいました。亀は変温動物なので、外気温により亀の身体は温かくなったり冷えたりします。スタート時は身体が冷えているためノロノロとした動作の亀も、しばらく動きながら筋肉を使うにつれ体温が上昇し、それに伴い四肢の動きも活発になります。加えて、亀は高温に強いため、体温が上がれば上がるほど調子も上がることになります。途中で休むと身体が冷えてしまいパフォーマンスも下がるため、休まずに歩み続けたことは理にかなっている、というわけです。一方で、定温動物の兔は常にウォームアップ状態にありますが、体温変化に対応できる幅が狭く、少しの体温上昇でもパフォーマンスが下がってしまいます。それを避けるには休む必要があり、兔が居眠りをしたことも一理あるわけです。でも、そうすることで時間のロスが生じるため、亀が勝つ割合は格段に高くなるというわけです。さて、兔と亀の競争、生徒の皆さんはどう考えますか。

3月7日(木) 川俣高等学校長