令和4年度

生物社会

かつて横浜国立大学の名誉教授であった宮脇昭氏は、植物生態学を専門としていらっしゃいました。失われた熱帯林に植林を試みる際に、どの程度の割合で植林すべきかを学生に問いたところ、数メートルの間隔をあけて植えるべき、と答えた学生に対して、彼は、一平方メートルにつき3~4本植えるべき、と、密なる植林を推奨します。養分の取り合いになりませんか、と学生が尋ねると、彼は、密集状態になると、木は一斉に太陽を求めて上に伸びる傾向があるため、実は早く大きく成長する、と諭します。私たちが通常兼ね備えている感覚は、事実とは異なる場合も多くあるようです。ちなみに、彼は、上に伸び切れなかった幼木は、次のチャンスを待ち、少しだけ我慢しながら共存する、この形もまた、 長い歴史の中で繰り返されてきた健全な自然形態だ、と指摘します。 生物社会には、チャンスは何度でも存在します。

1月23日(月) 川俣高等学校長