令和4年度

情 識

『風姿花伝』の中に、『稽古は強かれ、情識はなかれとなり』という一節があります。妬みの心にとらわれることなく厳密な稽古を心がけよ、という戒めです。心の持ちようにより、芸が広がりを見せることもあれば、不完全な表現に留まることもある、という考えは、世阿弥の考えにも通じます。そして、生徒の皆さんには、この稽古という言葉を、学びに置き換えて欲しいと思っています。学問の定着を図る過程では、人が自分より先んじる場面にも遭遇しますが、妬みが学びの障害になることのないよう、常に離見の見を心がけることは大切です。学びは、ある意味自己改革です。昨日の自分より今日の自分は一歩でも歩みを進めることができた、という喜びを胸に日々過ごして欲しいと思います。

12月13日(水) 川俣高等学校長