令和4年度

運 命

生徒の皆さんは、ドイツの作曲家ベートーヴェンを知っていることと思います。ウィーンで演奏家として名声を博していた時期に、彼は病により聴覚のほとんどを奪われます。移り住んだウィーン郊外のハイリゲンシュタットで彼が書いた「ハイリゲンシュタットの遺書」には、絶望という言葉も見られます。でも彼は、運命とは抗うものではなく、運命に従うことこそ、運命を克服する唯一の手段との考えに行きついたとされています。ハイリゲンシュタットの苦悶する日々から14年後、彼は日記に、扉を叩くことこそ自分の運命という強い考えの下、「運命よ、思いのままに力を振るえ。」と記します。生徒の皆さん、人は、なぜ一時、耐え忍ぶことができるのか知っていますか。たとえ過酷な運命であっても、受け入れ、乗り越えていく先には大きな歓喜の瞬間が待っているからです。

9月11日(月) 川俣高等学校長