令和4年度

生徒の皆さんは、一期一会という言葉を知っていることと思います。この言葉は、今日の茶会は、再度繰り返すことはできない一生に一度のものなので、主人も客人も、そのことを心して、共に全力を尽くし素晴らしいものとしなければならない、という思いの下、茶道の教えとして使われました。そしてこの考えは、人生のありとあらゆることに当てはまります。どんなことでも、人生で一度しかなく、再び繰り返されることはありません。たとえ、同じメンバーで同じ場所に集まったとしても、同じ時間にはできません。今、友と会っているのも一期一会であるし、また、何かに取り組むこともまた、一期一会です。だから、何かを話し合う機会があるのであれば、和やかな中にも節度を持って盛り上がり、楽しい一時を過ごす方がずっといいわけです。家族と過ごす時間も、思いやりと感謝の心を持ちながら、明るく話す方がいいと思います。作家の井上靖氏は、「自分が歩んできた過去を振り返ってみると、一生に一度の素晴らしい出会いが、何とたくさんあったことか。その多くは、自分が意識して作ったものではなく、求めたものでもなく、偶然に生み出されたものであるが、長い人生行路において、そこだけが輝いて見える。」と、ご自身の本に書いていらっしゃいます。生徒の皆さんと私たち教員が、ここ川俣高等学校に集うのも、今、この瞬間しかない大切な時間です。家族の方々と話をするのも然りです。間もなくやって来る冬季休業を、今、を考え、今、を見つめ直す機会にするのもよさそうです。

12月6日(火) 川俣高等学校長