令和4年度

受け入れられる

ゴーリキーが歩いていると、海岸に座っているトルストイを目にします。トルストイが自然の一部と化し、まるで、波やそこにある岩、雲と会話をしているようにも思えたそのとき、彼には言いようのない喜びが心に満ちて、何もかもが幸福な思考の中に溶け合ったように感じたそうです。「自分はこの地上にいて一人ではない。この人がいる限りは。」という胸の内を、彼は「追憶」に記しています。ゴーリキーが老トルストイの姿から何を感じたのかは明かされていません。でも、自然と共にあるトルストイから、自分もまた、自分の持つ良さも欠点もすべてを含めて、周囲から受け入れられている、と感じ取れたのかもしれません。友にも、家族にも、そして自然にも、受け入れられていると感じることができれば、大きな安心感を得ることができます。私たちに生きる喜びを与えてくれるのも、友、家族、自然なのだとも思います。

12月20日(火) 川俣高等学校長