令和4年度

客観的観察

大学の講義の際に、金魚が1匹だけ入っている金魚鉢を机上に置き、客観的観察に基づくレポート10枚をまとめるよう指示して教室を出ていかれた教授がいたそうです。学生は、左右に泳いでいるだけで退屈そう、狭いところにいてかわいそう、口をぱくぱくさせることで水を取り入れている、などといったことを書き始めますが、10枚のレポートをまとめるまでには至りませんでした。次の週になると、教授は再び金魚鉢を置き、同じ指示をして教室を出ていきます。前週にまとめたレポートには、主観的記述とされた箇所が赤字でびっしりと指摘されていました。学生の金魚を見つめる視線の本気度が高まります。尾びれの上部を45度右に動かし左に45度動かすことで胴体を170度ターンさせる、金魚鉢の底から10センチのところから4センチ浮上し8秒後に再び底から10センチのところに戻った、など書き始めると、あっという間に10枚のレポートが仕上がりました。行動観察を研究するこの教授は、主観的観点(思い込み)は客観的観察を行う上での障害に成り得ると教えたかったようです。周囲にいる人との関係を築く際にも、予め自分が抱く主観的観点と実際が異なる場合があります。

6月14日(水) 川俣高等学校長